証人の召喚
玉座の敏麗は鈴花にダンスに誘われる。
「鈴花、悠平さんと踊らなくて宜しいの?」
「敏麗さんがいいです。だってプリティーズは女の子同士で踊るのでしょ?」
以前敏麗は鈴花に話したことがある。満蘭のダンスの授業のパートナーに男装の麗人を選んだ事を。鈴が一番好きだったプリティーズシリーズの「プリティーズ淑女Go!!」の話を参考にしたと。最終回で敵を倒した後に行われたお城の舞踏会でパートナーがいなくて壁の花になっていた王女をヒロインが男装して誘うシーンがあったのだ。
「プリティーズみたいに男装じゃないけどいいかしら?」
「構いません。」
「芳子様みたいなリードはできないけど勘弁してね。」
敏麗が鈴花の手を取り広間へ向かおうとした時
「陛下」
赤いドレスの少女が溥儀に声をかける。
「宜しければ踊って頂けますか?」
「僕でよければ。」
敏麗は溥儀が少女に誘われるのを見届けると鈴花と組んで踊り出す。
「良かったわ。貴女がこの場に馴染んでいるようで。」
「これでも満蘭の授業でれい様に鍛えていただいたので。」
二人が笑い合ってステップを踏んでいると曲はあっという間に終わる。ダンスが終わると向かい合ってお辞儀をする。
ダンスが終わる同時に来客を告げるトランペットの音色が響く。ロビーに続く大階段の真上には燕尾服の紳士が立っていた。首元にはほくろがある。
(大島、来たわね。)
「あの方どなた?」
「渋い紳士ね。私好みだわ。」
会場の少女達は一気に大島に視線を向ける。
(仇を討ってやる。)
鈴花はドレスの中に忍ばせた剣をドレスの上から握り大島に近づこうとするが敏麗が制止する。ここは私に任せてというように。
「大島さん、本日はご来場感謝致しますわ。」
敏麗が大島の腕を掴み共に階段を降りる。
「皇后様の直々の頼みですから。新しいドレスですか。流行を先取りして素敵ですよ。」
大島は敏麗のドレスを褒める。
「まあ、お褒めに預かり光栄ですわ。だけど残念ですわ。」
「残念?」
「今最初のダンスが終わったところですの。せっかく大島さんが気に入ってくれたドレスで一緒に躍りたかったわ。」
「それでしたら次のダンスはご一緒にどうですか?」
「是非。ですがオーケストラが準備に時間が必要のようですわ。宜しければその間わたくしが降霊術をお見せ致しますわ。」
降霊は田中からお願いされていた。1枚の写真を渡されこの女性の霊を降ろしてほしいと。
「この方は誰ですの?」
「鈴花の母親だ。大島の前で白状させてくれ。誰が自分を殺したかと。」
田中は亡くなった本人を証人にして大島に罪を認めさせようと提案してきたのだ。




