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瑛林の気持ち

敏麗の目の前には長い髪を切り落とした瑛林がいた。

「瑛林、何のつもり?」

「玉李さん!!」

瑛林は玉李の名前を呼ぶ。

「私、いや俺も仲間に入れて下さい。俺も日本軍と戦います。」

「ああ、共に戦おう。」

瑛林は玉李と固く握手を交わす。

「敏麗さん!!」

今度は敏麗に鋭い視線を向けられる。

「貴女が日本軍と仲良くするのは自由です。だけどこれ以上俺を利用しないで下さい。」

「利用?わたくしがいつ貴女を利用したというの?」

「してたじゃないですか!!幼い頃から降霊の仕事に付き合わせて、満蘭女学校なんて行きたくもない学校に通わされるし。」

「日本は開国以来西洋諸国の文化を取り入れてるわ。女の子が望む華やかな物もあるわ。日本から学べる事だってあるわ。」 

「俺は中国人だ。おまけに俺が皇后?!利用してるだろう。俺はあんたの操り人形じゃない!!」

敏麗は返す言葉が見当たらない。

「こいつ新聞で見たことある。」

1人の若者が敏麗を指差す。

「敏麗って宮殿の巫女だ。」

「日本の手先だ!!」

若者達は敏麗に掴みかかる。その時


バン!!


銃声音が響き渡る。

「芳子様。」

芳子が部下を引き連れてやってきた。

「お前達そこで何をしている?」

「日本軍だ!!逃げろ!!」

玉李の合図で皆一目散に走り去る。瑛林も一緒に。

部下達が一斉に銃を向けるが

「銃を降ろせ。」

芳子が制止する。

「しかし川島さん」

「いいから降ろせ。」

部下は一斉に銃を降ろす。

「やつらを追いましょう。」

「その必要はない。それよりも」

芳子は傍にいる敏麗に目をやる。その場に倒れている。

「彼女を頼む。」

芳子の部下が敏麗を抱き上げると馬車に乗せる。







「川島、どういう事だ?!」

軍の本部に戻ると芳子は田中の元へ呼ばれた。

「何がですか?」

「何がじゃないだろう。日本軍に歯向かう若者の集団を逃がしたとは何の真似だ?」

田中は芳子の部下から報告を受けていた。デモに参加した中国人の若者達を芳子の指示で捕らえなかったことを。

「僕の判断です。」

「お前の判断だと?敏麗の妹がいたからか?」

「違います。」

芳子はソファーに腰かける。

「違うって何が違うんだ?」

「僕達は日本と中国の友好を願って満州国を建国したはずです。しかし中国人は我々日本軍は中国人の土地を奪い自分達を牛耳っていると思っています。我々が銃を向ければ彼らも同じ事をしてくる。僕にはそれは耐えられません。」

その時

「失礼致します。」

敏麗が部屋に入って来た。

「敏麗ちゃん、もう大丈夫なのか?」

芳子が敏麗の心配をする。

「ええ、ご心配遊ばすな。わたくしはこの通り。」

「敏麗、今は川島と大事な話の最中だ。」

田中は敏麗を部屋から出そうとする。

「田中中佐、こちらも重要な話がございます。新しい皇后の事です。」

「誰か候補はいるのか?」

「ええ、このわたくし音敏麗でございます。」

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