皇后の目星
敏麗は皇后の当てに心当たりがあった。
「敏麗、それも予言か?」
「はい、田中中佐。しかし」
「しかしなんだ?」
敏麗は言葉を詰まらせる。
「実を言いますとあと4年待って頂きたいのです。」
敏麗の皇后候補は満蘭女学校の新入生だという。
「彼女が卒業まで待って頂きたいですわ。」
「満蘭の生徒を皇后か、悪くないな。」
田中が敏麗の意見に賛同した。
「だったら1年生じゃなくて最終学年の生徒のがいいんじゃないか?何なら卒業生のがすぐにでも宮中に来れるんじゃないか?」
「田中中佐、わたくしは満蘭の生徒を皇后にしたいのではありません。皇后の候補に挙げているのが満蘭の新入生というだけでございます。」
「敏麗、その候補は誰なのでしょうか?」
敏麗は溥儀の問いかけにほくそ笑んでいる。
その頃満蘭女学校では
「Good morning, small princesses.」
1年生の教室では英語の授業が行われていた。教師はイギリス祖界に住んでいたハーグリット伯爵夫人である。彼女は以前敏麗に娘の霊を降霊してもらったことがある。その縁があって今は敏麗が設立した満蘭女学校で教鞭を取っている。
「Ms.On,please stand up.Would you
read the textbook page 20?」
教科書20頁を読むように指示されたのは音瑛林。敏麗の妹である。彼女も今年から満蘭女学校に入学したのだ。ピンクの制服の瑛林は立ち上がり教科書の英文を読み上げる。
「Wonderful pronunciation, Miss.On.」
瑛林は発音を誉めらられる。
「Thank you ,Miss. My sister introduced me a great tutor.」
瑛林は敏麗の勧めで英語の家庭教師から習っているのだ。
「先生」
1人の生徒が声をあげる。
「What's wrong with you, Miss. Lee.」
「私達は中国人です。なぜこの学校は英語やフランス語、テーブルマナーなど学ぶのですか?歴史も西洋諸国、母国語の授業であっても日本の少女が主人公の物ばかり。音楽で習うのも西洋の歌曲ばかり。中国にだって素晴らしい物語や歌はあるはずよ。」
突然挙手して発言したのは李月乃。彼女は変わった生徒で制服を着用せずチャイナ服で登校している。
月乃は教室を出ていく。
「Ms.Lee, where are you going? 」
教師が止めるのも聞かずに。
「それでねお姉様、月乃さんったら本当に変わってるのですよ。」
家に帰ると瑛林は姉に英語の授業であった事を話す。
「分かったわ。瑛林。貴女はそんな娘とは仲良くしては行けないわ。分かってるわね?」
「勿論ですわ。お姉様。だってあの方休み時間はいつも1人。きっと友達がいないのですもの。」
「偉いわ。それと今日からまた習い事増やすわよ。」
「今度は何を?」
「着付けよ。」




