芳子の選択
今章は最終回です。
「お兄様はその女に騙されてるわ。霊感があるなんて可笑しな事を言う女よ。」
千鶴子は敏麗を罵倒し始める。
「千鶴ちゃん、敏麗ちゃんは僕を騙してないし彼女の霊力は本物だよ。」
芳子は倒れている敏麗を起こす。
「千鶴ちゃん、これが僕の答えだ。都合のいい事を言ってるのは分かってる。だけど僕は敏麗ちゃんと一緒にいたいんだ。」
「そう。」
千鶴子はトーンを落とした声で答える。芳子の頬にビンタをお見舞いすると構わず病室を出ていく。
「冷たい!!鈴花、もっと優しくしてくれ。」
芳子はその日のうちに退院できた。自宅に戻った時には千鶴子の姿はなかった。部屋で鈴花から頬の手当を受ける。
「芳子様、相当赤く腫れ上がっているようですわね。」
敏麗が向かいのソファーに座りながら芳子の様子を見ている。
「ご主人様の自業自得ですからね。」
鈴花はシップを救急箱にしまいながら憎まれ口を叩いている。その隣で芳子は暗い表情を浮かべている。相当落ち込んでいるのか。
「ご主人様、言い過ぎました。すみません。」
「いや、構わない。鈴花の言う通りだな。僕は千鶴ちゃんにそれだけの事をした。一生恨まれても仕方ないな。」
鈴花は安静にしていて下さいねというと部屋を出ていく。
芳子の部屋には彼女と敏麗の2人だけが残った。
「敏麗ちゃん」
芳子は敏麗の隣に席移し手を握ると自負の膝に乗せる。
「芳子様、本当に良かったのですか?」
「良かったって何がだ?」
「千鶴子さんですよ。今度は芳子様が本当に命を狙われるかもしれませんよ。」
「そうかもな。」
芳子は平然とした態度だ。
「でも僕は後悔してないよ。千鶴ちゃんが君を狙ってるのを知って迷いが吹き飛んだ。僕は敏麗ちゃんといたい。いいか?」
「勿論です。」
敏麗はおもいっきり芳子に抱き付く。芳子はそのままソファーの上に倒れ込む。
「敏麗ちゃん大胆だね。もしかして僕の事誘ってる?」
敏麗は顔を真っ赤に染め芳子から離れる。
「冗談だよ。顔を真っ赤な敏麗ちゃんも可愛い。だけど今夜は休ませてもらうよ。」
敏麗は芳子の唇に触れるとお休みなさいと言って部屋を後にした。
所変わって北京の繁華街。白いワンピースにボストンバッグを抱えて歩く少女が1人。千鶴子である。彼女は芳子の家を出て宿無し生活となってしまった。行く宛もなく歩く千鶴子。彼女の前に一台の馬車が停まる。
「お嬢さん、お1人ですか?」
中には中華服姿の紳士が乗っていた。
「女の子が夜1人で出歩いたら危ないですよ。送って行きましょうか?」
千鶴子は結構ですと言って歩き出そうとする。
「お嬢さん」
紳士は馬車から降りて千鶴子の腕を掴む。
「見るところ家出かね?行く宛がないなら私のところに来るかい?」
次回スピンオフ一作挟んで新章突入します。




