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直面

 芳子は病院で傷の手当てを受ける。幸い大事にはならなかった。

「芳子様、千鶴子さんはなぜ標的を芳子様からわたくしに変えたのでしょうか?」

病室のベッドに横たわる芳子の傍らで敏麗が尋ねる。

「千鶴ちゃんの狙いは最初から敏麗ちゃんだったと思う。千鶴ちゃん自身も僕は殺さないって言ってたし。」

「だけど鏡の中で撃たれたのはわたくしではなく芳子様だったわ。」

「僕は千鶴ちゃんの話を聞いて思ったんだ。」

千鶴子のお兄様は殺さないという言葉から標的は自分ではなく敏麗だと確信し部下に吉岡の事を探らせていた。

「そしたら予想は的中。」

芳子は田中にお願いして護衛に入れてもらった。敏麗を守るために。

「だけどどうして鏡には芳子様が?」

「きっと君を庇う僕の姿だ。僕は君を失いたくないのだろう。」

芳子は起き上がり敏麗の手を握る。

「敏麗ちゃん、これからも僕の傍にいてほしい。片時も離れずに。」

芳子は敏麗に顔を近づけ唇に触れる。


トントン!!


ノック音が聞こえ芳子は咄嗟に唇を離す。

「お兄様!!」

部屋に入ってきたのは千鶴子だった。千鶴子は敏麗を一瞬睨み付ける。

「敏麗さん、ありがとう。だけどもういいわ。お兄様のことは後は私が見るわ。」

千鶴子は扉を開き敏麗を部屋から出そうとする。

「お断りしますわ。」

敏麗は千鶴子に言い放し扉を閉める。

「邪魔者がいなくなって芳子様を独占できるとお思いになって?」

敏麗は千鶴子を扉に押さえつけ耳元で尋ねる。

「なんの事かしら?」

「しらを切るおつもり?わたくし何もかも芳子様から聞いたのよ。貴女が軍の上層部の人と組んでわたくしを亡き者にしようとした事も。」

「適当なこと言わないでくれる?」

千鶴子は敏麗を突き飛ばす。


「千鶴子ちゃん、適当じゃなないよ。」


扉が開くと田中が部下を連れて入ってきた。

後ろには鈴花と舞蘭もいる。

「芳子の様子を見に来たら君が敏麗と争っていたとは。芳子を撃った狙撃手も自白したよ、させたという方が正しい。ここにいる舞蘭さんが。」

舞蘭は奥から出てくると千鶴子に会釈する。

「綾ちゃんが教えてくれました全て。貴女が皇帝陛下の側近である吉岡さんと裏で繋がっていたことも。そして敏麗さんを暗殺しようとしたことも。」

芳子が吉岡の元に送らせた部下というのは綾の事だった。

「千鶴子ちゃん、言い逃れはできないぞ。」

田中達に詰め寄られる千鶴子。

「全部敏麗さんが悪いんじゃないの。」

千鶴子は開き直ったような態度を取っている。

「だってそうでしょう?貴女が私からお兄様を取ろうとするんだから。ねえ、今すぐ返して。お兄様返してよ。」

千鶴子は床に倒れている敏麗を髪を掴む。

「千鶴ちゃん辞めるんだ。」

芳子がベッドから立ち上がり千鶴子を阻止する。

「千鶴ちゃん、聞いてくれ。敏麗ちゃんは何も悪くない。僕が敏麗ちゃんを選んだんだ。ごめん。」

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