表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/132

綾の記憶

鈴花は千鶴子の部屋を掃除したときこっそり見つけてきたのだ。

「敏麗さん、これ使えますか?」

「ええ、ありがとう。」

敏麗は蝋燭に火を付けるとテーブルの中央に置き部屋の電気を消す。敏麗は着席すると隣の人の手を握るように促す。敏麗から時計周りに鈴花、田中、芳子の順に着席し手を握っている。

「降霊の間、何があっても手を離さないで下さい。」

敏麗は読経を始める。次第に風もないのにカーテンが揺れ始める。綾はゆっくりと敏麗の身体の中に吸い込まれるように入っていく。


バタッ


敏麗はテーブルに突っ伏す。

「敏麗さん?!」

鈴花が声をかける。

「大丈夫だ。鈴花。敏麗ちゃんの身体に霊がは入ってる。」

芳子は過去に母の霊と対面した時に目にしている。敏麗が顔をゆっくりと上げると芳子の方を見ている。

「お兄ちゃん?」

子供のような高い声で敏麗は芳子を呼ぶ。厳密に言えば敏麗の中の綾である。

「綾ちゃんか?」

「うん。そうだよ。お兄ちゃん、いつも千鶴子姉ちゃんとお墓に来てくれる人だよね?」

綾は生前芳子とは面識がないはずなのに芳子のことを知っている。

「僕のこと覚えられたのか。嬉しいな。」

「勿論知っているよ。だって千鶴子姉ちゃんの大切な人でしょ。」

芳子は気まずそうな顔をする。

「だって私はずっと見ていたもの。」

綾の霊は遺骨を上海の墓地に移した時に一緒に着いてきたという。

「そうか、千鶴ちゃんも会えたら喜ぶだろうな。」 

「千鶴子姉ちゃんの様子最近おかしい。」

「それに関してはこの人が聞きたがってる。」

芳子は隣に座る田中に目配せをする。

「君が綾ちゃんだね?」

「そうよ、田中中佐。」

綾は田中の事も知っていた。

「俺の事も知っているのか?」

「うん、だって皆の事ずっと見てたもの。そっちのお姉ちゃんは鈴花ちゃん。千鶴子姉ちゃんの家の女中。」

綾は鈴花の事まで言い当ててしまう。

「綾ちゃん、君は俺達の事を見ていた。でもなんで今になって姿を現したんだ?」

「千鶴子姉ちゃんを止めてほしいの。」

「千鶴ちゃんが何をしようとしてるんだ?」

芳子が尋ねる。

「千鶴ちゃんはお兄ちゃんを殺そうとしてる。」

綾の一言でその場が凍りつく。

「千鶴ちゃんが僕をどうしてだ?」

「それは分からない。だけど私見ちゃったの。千鶴子姉ちゃんが軍の男の人と会ってるとこ。千鶴子姉ちゃんが男の人に頼んでた。女の人を始末してほしいって。」

綾は助けを求めようと霊力のある敏麗に助けを求めに来たのだ。

「この霊力のあるお姉ちゃんを介して千鶴子姉ちゃんと話をしようとしたの。だけど取り合ってもらえなかった。姉ちゃん私にすら気付いてくれなかった。」

千鶴子には綾の姿が見えなかったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ