水面下で
新章スタートです。
1932年8月に入った頃
「千鶴子ちゃん、来てくれたんだね。ありがとう。君みたいな可愛い娘と二人きりで会えるなんて嬉しいよ。」
上海のとある高級レストランの個室。千鶴子は人と会う約束をしていた。
「こちらこそ、お時間頂きありがとうございます。吉岡さん。」
千鶴子が会ってるのは溥儀の側近吉岡であった。
「吉岡さん、本題ですが」
千鶴子は吉岡に近づき耳元で囁く。
「千鶴子ちゃん」
吉岡は千鶴子を離す。
「ここは個室だから誰も聞いてないよ。それとその前に先に食事を楽しもう。」
二人は注文したコース料理を頂く。
「さて、千鶴子ちゃん。君のお願いだが」
食後吉岡が話を切り出す。
「君の頼みは聞いてあげない事もない。部下に頼めば朝飯前だよ。あの女は僕、いや日本軍にとっても邪魔な存在だからね。」
「話が分かるようで嬉しいです。」
「だけどタダとは言えないな。こちらも非常に危険な任務だからね。」
「いくらご希望ですか?」
「お金じゃないよ。」
吉岡はホテルの部屋の鍵をテーブルの上に置く。
「夜景の綺麗なスイートルームを取ってある。そこでゆっくりお話しようか?」
吉岡は距離をつめてくる。千鶴子は一瞬怯む。
しかし
「いいですよ。」
千鶴子はを手に取る。
「それなら話は早い。行こうか。」
千鶴子は吉岡に肩を抱かれながら店を出る。
店の入り口の前まで来た時
「敏麗さん?!」
店の前には巫女装束の敏麗がいた。傍らには妹の瑛林もいる。
「これは敏麗さん、奇遇ですね。妹さんとお食事ですか?」
吉岡が挨拶をする。
「いえ、わたくしは千鶴子さんに用があって来ました。」
「私に?だけどうしてここが分かったのかしら?お得意の予言ですか?」
「まあ、そんなところですわ。今日は貴女に会わせたい人を連れてきました。」
「会わせたい人って妹さんですか?」
千鶴子は瑛林に目線を合わせる。
「どうしたの?瑛林ちゃん。」
瑛林は何も言わない。
「千鶴子さん、わたくしが会わせたいのは別の方です。」
敏麗は千鶴子の耳元で囁く。
「誰それ?そんな子知らないわ。」
千鶴子は吉岡と共に行ってしまう。
「千鶴子姉ちゃん!!」
千鶴子が去っていくのを麻の着物の少女が呼び止める。日本から敏麗に憑いてきたのだ。しかし千鶴子には聞こえてない。
「綾ちゃん、大丈夫よ。」
彼女は綾というようだ。
「お姉ちゃん、千鶴子姉ちゃん私の事忘れちゃったのかな?」
「必ず千鶴子さんとお話できるから。」
敏麗は綾に優しく声をかける。
「敏麗お姉様。」
瑛林に話しかけられ我に帰る。彼女の周りではレストランのウェイターやお客さん達が敏麗を物珍しそうに見ている。
女子校計画は続きますが千鶴子さんも裏で動いていきます。




