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敏麗達の描く未来

芳子が異議を唱えていた。

「ご主人様、なんでそんなこと言うんですか?!」

鈴花が反論する。

「僕は鈴花や敏麗ちゃんの目指したい物は否定しない。だけど女の子の中にもスカートやピンクが嫌いな娘だっているんじゃないか?僕みたいに。」

芳子自身も少女時代はお転婆で男の子みたいな子であった。日本に来る前も姉や妹達と人形の髪をとかすより腹違いの兄や弟と木登りや剣術の稽古、馬に乗るのが好きだった。

「弟と2人でよく城を抜け出して馬に乗って街に探検に出かけたりもしたよ。」

『相当お転婆で手がかかる王女様じゃないですか。』

敏麗と鈴花が声を揃える。

「そうだな。」

芳子が納得する。

「途中帰り道が分からなくて2人で大泣きしたことがあったよ。弟がお腹空いたっていうから市場で売ってる野菜をくすねたりもしたよ。」 

「犯罪じゃないですか。」

「よく捕まらなかったですね。」

敏麗と鈴花は若干呆れている。

「たまたまお城の使用人が街まで使いに出てて、僕達は保護された。お代は彼女が払ってくれたよ。」

その後無事お城に帰ると芳子と弟がいない事で騒ぎになっていた。

「その後は僕も弟のお父様にこっぴどく叱られてね1週間の乗馬禁止になった。」

なぜか芳子は笑いながら話している。 

「だけど楽しかったよ。街に住む男の子達とも仲良くなって河原で小石投げの競争したり。だから女の子だからといって型に嵌めるのが必ずしもいい事とは限らないよ。」

「そうですね。芳子様のおっしゃるよう事も一理あります。」

敏麗は芳子の話に納得したようだ。

「ですがその考えが命取りになることだってあるのです。」

敏麗は鈴だった頃に疑問に思っていた。

「わたくしが生きていた未来では多様性や男女平等ばかりを重んじるようになりプリンセスに憧れる男子、またはスラックス姿の女子ばかりがフィクション作品で前に出されるようになりました。その反面でピンクやスカート、プリンセスと言った可愛い物が好きな女子が端へ端へと追いやられていると感じてました。だからわたくしは彼女達の居場所を守ることが女学校設立の意味でもあり、使命だと思ってます。」

「じゃあ僕のようなおとこ女は要らないか?」

芳子が冷たく聞き返す。

「いえ、芳子様のような方こそ必要だと思います。生徒である少女達は芳子様の姿に恋い焦がれるのも、芳子様を目指すべき女性像にするのもよしと思いますわ。彼女達次第かと思います。それに芳子様はおとこ女ではありません。これからの満州国の少女達に必要なプリンスです。」

「良かった。」

芳子は安堵の笑みを見せる。敏麗の話を聞くとと芳子は約束してくれた。必ず女子校は成功させると。



 鈴花と芳子が部屋に戻ると敏麗は巫女装束に着替えると鏡をテーブルの上に置く。鈴を手に持ってシャンシャンと音をたてながら舞を踊る。

「見えてきたわ。」

鏡は未来を映す。女子校の入学式のようだ。 

(わたくし達の野望は達成できるのね。) 

敏麗はほくそ笑む。しかし

「嘘でしょ?!」

鏡の中で芳子は撃たれその場に倒れ込んだ。 

「オネエチャン」

どこからか声が聞こえる。

敏麗は巫女装束の裾を何者かに引っ張られる。

「貴女は?!」

敏麗の裾を引っ張ったのはホテルの入り口やレストランで見かけた少女だった。 

「オネガイ、チヅコネエチャンヲトメテ」

次回からまた大陸に戻ります。


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