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蘇った記憶

敏麗の前世の話です。

「それじゃあ課題を集めるぞ。」

これはずっと昔敏麗が敏麗である前の話。昔というには語弊があるだろうか。

 時は2023年の日本。敏麗は高校2年生の少女だった。日本史の授業の最中出された課題を担当教師に提出する。

「福田」

教師に呼び止められる。福田鈴。それが当時の名だ。

「これは何だ?」

「何って課題ですよ。」

「これのどこが課題だ?テーマと合っていないだろう。」

教師から出された課題は武将を1人選んでレポートを書くというものだった。しかし彼女が書いたのは信長の妻濃姫についてびっしり書かれていた。

「宝塚で以前私の贔屓の娘役が演じていて素敵だったので書きました。それに武将って全員男で可愛くないじゃないですか。」

鈴は物事は可愛い可愛くないかで決める少女だった。宝塚にはまったのも可愛いから歴史の授業で男性の人物を極端に避けるのは可愛くないからだ。

「あのな、授業に可愛いも可愛くないもないだろう。」

「先生みたいな人がいるから今期の魔法少女に男なんかが入るんですよ。」

今まで見ていた人気魔法少女シリーズも可愛いからという理由で好きになった。しかし今年度になって始まった新シリーズに男が入ったことで可愛くなくなったから見るのをやめてしまった。 

「福田、お前テストはできるんだから真面目に授業受けたらどうだ?推薦で東京六大だって狙えるぞ。」 

「いえ、私は一般で女子大に行きます。東京六大は全部共学なので可愛くないので。」

 休み時間になると鈴は本を読み出す。小説「男装の麗人」だ。川島芳子。清王朝出身で男装して王朝復活に身を捧げた実在の人物だ。

以前宝塚のOGが舞台で演じているのを見て一瞬で恋に落ちた。王朝出身で乗馬もできる男装のプリンス。鈴から見ればクラスの男子よりもかっこよく思えた。

 鈴の夢は女性だけしか載っていない歴史の教科書を作ることだ。芳子のことは絶対に載せたいと思っている。芳子に関するありとあらゆる文献や資料は読んだ。移動教室や学校の行き帰りの最中も読んでいた。そしてある日の帰り道いつも通り芳子に関する本を読みながら歩いていたら走行中のトラックに気付かずそのまま轢かれて亡くなったのだ。

 


 そして転生したのがまさかの芳子と同じ時代、同じ国。そして今目の前に芳子がいるのだ。

「お嬢さん、僕のことご存知のようですね?」

「ええ、文献も資料も読み漁ったものですから。」

「文献?資料?」

「い、いえ。お噂は耳にしてますわ。有名ですもの。」

なんとか敏麗は誤魔化す。その時

「敏麗お姉様。」

妹の瑛林が敏麗にしがみついてくる。瑛林はドアの方を指差している。ドアは音もなく閉まった。

濃姫は私の贔屓の娘役の方が実際に現役時代に演じています。

 芳子様も宝塚のOGの方が演じてますがいつか現役生で見れたらいいなと思ってます。

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