敏麗の告白
「敏麗ちゃん、どうしたんだ?むしろ僕は逆だと思うよ。日本は女子大だってできてるし、女性の仕事だって増えてきた。満州国も見習うべきところだろう?」
芳子は敏麗の発言に異議を唱えた。女性の居場所がなくなるというのが理解できずにいた。
「芳子様、わたくしが宮中入りを受けたのは芳子様をお守りするためでもあります。ですが遠い未来に起こる出来事を防げると思ったのです。」
敏麗は以前芳子に未来の話をした。日本と中国が全面的な戦争をすること、日本軍の政策を批判した芳子のその後、そしてさらに遠い未来にアジアにもテレビが普及されること、そして鈴時代に好きだったプリティーズのこと。
「確か敏麗ちゃんが鏡に予言で見た物だよな。」
「はい、わたくしは予言といいました。しかし予言というのは全て嘘なのです。」
「どういう事なんだ?!」
芳子が敏麗に詰め寄る。
「わたくしの前世の記憶です。」
敏麗は全て告白する。自分の前世は今から91年後の未来の日本で生きていた女子高生福田鈴であったこと。芳子のことはあらゆる書物で知識を得ていたこと。
「つまり君が恩師から譲り受けた鏡には何の力もなかった。つまり僕は君のままごとに付き合わされていたってことか?」
「断じて違います。」
敏麗が否定する。
「鏡に未来を予言する力があるのは本当です。あの鏡は自分の言動で私の知る歴史と変わっているか確認するためにしか使っていません。」
「どうだかな。前世がどうとかいきなり言われてはいそうですかって信じられるか?」
芳子の言うことは全く持って当然だ。
「ご主人様。」
お茶を入れたトレイを持って鈴花がやって来た。
「私は敏麗さんの言うこと信じます。敏麗さんは農村のあの土地で霊と必死に戦ってくれました。敏麗さんの霊力は本物です。田中中佐も見てました。ご主人様も敏麗さんに助けられたのではないでしょうか?」
悪霊の巣と化した廃墟から敏麗の力で脱出できた。亡き母と再会できたのも敏麗のおかげだ。
「敏麗さん、敏麗さんがいた未来ではどのようにして女の子の居場所がなくなっていくのでしょうか?」
鈴花は少女雑誌をテーブルの上に置く。
「鈴花、今は敏麗ちゃんと大事な話の最中だ。」
芳子が鈴花に席を外してもらおうとする。
「構わないわ。鈴花ちゃんも一緒に聞いて。」
「この雑誌のような世界もなくなってしまうのですか?」
鈴花は敏麗の隣に座ると敏麗に顔を近づける。
「鈴花ちゃん、落ち着いて。」
敏麗は鈴花のを座らせると口を開く。
「少女歌劇は存続されている。だけど少女雑誌や女学校にも変化が起きるわ。」




