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麻の着物の少女

「ああ、素敵だったわ。如月れい様。王宮のプリンスかと思いました。」

帰りの馬車の中鈴花が興奮気味に話す。

「良かったわね。鈴花ちゃん。」

 如月れい。花夜叉の屋敷で出会った赤い着物の最下級生の男役だ。敏麗は彼女達に建立予定の女学校でダンスの授業で生徒のパートナーになってほしいとお願いした。赤い着物のれいだけが承諾してくれた。

「ダンスですか?僕にお任せ下さい。さあ、お嬢さんお手を。」

如月は鈴花の手を取りステップを踏み始めた。

上級生に嗜められて止められたが鈴花はすっかり夢ごこちのようだ。屋敷をで出て帰りの道中でもまだ余韻に浸っている。

「鈴花さん!?」

「きゃあ!!びっくりしたわ。」

鈴花は御者に声をかけられる。如月とのダンスの余韻に浸るあまり馬車が停車してドアが開いた事に気づかなかったようだ。

「さあ、お手を。」

鈴花は御者に手を引かれ降りる。ホテルに到着したようだ。鈴花に続いて芳子と敏麗も降りる。

(あの娘。)

敏麗はホテルの入り口の前に麻の着物を着た少女を見かける。富裕層の来客が多いホテルには不釣り合いな姿だ。それに両親と思える大人も見当たらない。

「敏麗ちゃん、どうしたんだ?」

芳子が声をかける。

「いえ、何でもありませんわ。」

敏麗は気にはなったが少女を素通りするようにして芳子達と共にホテルの中に入っていく。




「敏麗、芳子、君達に会わせたい人がいる。」

夕食時、ホテル内のレストランで田中と落ち合うことになった。フレンチレストランで男性はジャケット着用ではないと入店できない店だ。敏麗と鈴花も普段のチャイナ服ではなく洋装で向かう。

 田中が会わせたいという人物は先にテーブルで待っていた。その人物は田中や芳子同様にスーツ姿であった。

田中がお待たせして申し訳ありませんと一言添える。

「構いませんよ。僕も今来たところですから。」

彼は名刺を差し出す。名刺には「北川 一」と日本の男性の名前が書かれていた。彼は雑誌の編集者で働いているそうだ。

「さあ、立ち話もなんですから。お座り下さい。」

隣を見ると鈴花が田中に椅子を引かれ着席する。

「さあ、敏麗ちゃんも。」

芳子が椅子を引いてくれる。敏麗が着席した時

「お姉ちゃん!!」

敏麗に幼い少女の声が聞こえた。敏麗が振り替えると店内に麻の着物を着た少女がいた。ホテルの入り口にいた少女と同じ娘である。彼女は敏麗達のテーブルに向かって歩いてくる。

「敏麗ちゃん。」

芳子に声をかけられふと我に返る。

「大丈夫か?」

「ええ、大丈夫よ。」

敏麗は着席する。  

「田中中佐、このレストラン男性のジャケット着用以外はドレスコードはないのですか?」

「男はジャケット着用だが女は大体洋装か振り袖が多いな。」

店内の女性客は敏麗や鈴花のようなドレスかワンピース、もしくは振り袖を着ている。

「子供の入店は?」

「親が一緒なら問題ない。」

「敏麗ちゃん、どうしたんだ?さっきから変だぞ。」

芳子が心配そうに声をかける。

「あの娘。1人でそれも麻の着物で来てるのにウェイターはおろか、誰1人声をかけないのよ。それに両親らしき人も見当たらないし。」

敏麗は少女のことを話す。

「敏麗、麻の着物の少女なんてどこにいるんだ?さすがにそんな格好じゃ入店できないだろ。」

「田中中佐、そちらの通路に。」

敏麗は再び少女がいた場所に目をやる。しかしそこには誰もいなかった。

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