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仇討ち

 翌日上海一のホテル。

エントランスには複数の馬車が降りる。

軍服姿の将校が馬車を降りる。

「さあ、千鶴子ちゃん。」

「ありがとうございます。川島さん。」

現れたのは青いドレス姿の千鶴子であった。千鶴子は芳子の手を取り馬車を降りる。

「千鶴子ちゃん、川島さんはやめてくれ。今日

の僕は君の兄なのだから。」



 昨日芳子は千鶴子から聞いた話で思った。片岡は日本軍の協力者である。上海に会社を作ることを勧めたのも日本軍だ。軍は恩を売ってこれからの軍事政策の仲間にしようとしていたのだ。そして翌日に開かれる軍主宰の舞踏会に彼も招いていたのだ。

「川島さん。私も連れて行って下さい。この手で綾の敵を。」

千鶴子は懇願する。

「君を連れて行くのは構わないが敵打ちは駄目だ。」

「どうしてですか?あいつは自分の娘が目の前で殺されても平然としてるようなんて人間じゃありません!!舞踏会ならダンスに誘う振りをして」

「千鶴子ちゃん」

芳子は千鶴子の手を握り制止する。

「舞踏会に来客は多数いる。そんな中人殺しなんてしたら君は間違えなく捕まる。綾ちゃんがそんなこと望んでいるのか?だけど恨みは晴らしてあげられるよ。」



 千鶴子は今ドレスを着せてもらい芳子の妹として舞踏会の会場のホテルに連れられてきたのだ。

芳子には恨みは晴らすから見届けてほしいと言われた。

 会場は着くとシャンデリアが輝く天井の下着飾った貴族や貴婦人で溢れかえっている。

 千鶴子は芳子の腕を取って歩きながらその中からかつての雇用主である片岡や剛真の姿を探す。

「千鶴子ちゃん、あまりキョロキョロしない方がいい。」

「お兄様、ご主人様、いえ片岡はここに来ているはずでは。」

「絶対に来ている。だが君は今は僕の妹を演じてほしい。やつらが来たら僕が教える。」

 芳子の周りには誰かしらが代わる代わる挨拶にやってくる。その度に芳子は千鶴子のことを自分の妹だと紹介した。

「お会いできて光栄ですわ。」

千鶴子は芳子に教わった通りドレスの裾をつまみお辞儀をする。芳子の元にやって来る者の中には片岡も剛真もいない。

「Excuse me? miss.」

千鶴子は紳士に英語で話しかけられる。

イギリス祖界に在住のイギリス人であろう。

「What's wrong with you, sir?」

千鶴子も英語で返す。

「Would you mind if I ask you for my first dance?」

ダンスの誘いであった。嬉しいが芳子の傍を離れる訳にはいかない。

「I'm so sorry, but I've already had a partner for my first dance.」

千鶴子は芳子の腕を掴み答える。紳士が諦めて去ろうとした時

「Please wait,sir.」

芳子が呼び止める。

「She's my dearest sister. This is her first time to attend the ball.I hope you have some fun with her.」

千鶴子は芳子に背中を押される。不安そうな顔で芳子の方は芳子は行っておいでとだけ一言言う。

千鶴子は紳士の手を取り踊り出す。

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