地縛霊
敏麗は鈴を鳴らしながら舞を踊る。
その姿を田中と鈴花は後ろで見ていた。
鈴花は敏麗が舞う姿を灯りで照らす。
「えっ?!」
敏麗の周りには農民達が集まってきている。
しかし農民達からは生気が感じられない。皆虚ろな目をしながら敏麗向かってゆっくりと歩いてくる。
「あれは新廉のお父さん、そしてあっちは蘭々のお母さん。」
鈴花は農民達の顔に見覚えがあるようだ。
「私と同じ村長に預けられた子達の家族。」
日本軍に殺された農民の霊だ。
シャン シャン
敏麗は農民達に向けて鈴を鳴らす。
「ウッ」
鈴の音を聞くと農民の霊達は浄化され姿を消す。しかし数が多く切りがない。
「ココ ワレワレノトチ」
「ヨソモノ キエロ」
彼らはト土地を守りたくて現れたのだ。
「この土地は中国人のために使われるわ。村の女の子のための女子校を作るの。だから安心して成仏なさって。」
敏麗が農民の霊達に語りかける。しかし
「ココ センゾダイダイマモッテキタ」
「ニホングン ユルサナイ」
「ヨソモノ タチサレ」
(駄目だわ。悪霊になりかけてる。)
「きゃっ!!」
霊の眼力で鈴が弾き飛ばされる。
(しまったわ。)
「うっっ」
一体の霊が敏麗の首を絞める。
「くるしぃ、、」
敏麗の意識が朦朧としていく。もう駄目かと思ったその時どこからか塩が飛んで来た。
自分の首から霊の手は離れていく。息苦しさがなくなっていく。
「敏麗しっかりしろ!!」
敏麗が意識を取り戻すと田中が霊目掛けて塩を投げている。
「お前達が憎いのは彼女じゃない。日本軍だろ!!連れてくなら俺にしろ!!」
霊達は田中の元に集まってくる。
敏麗は鈴を探すが見当たらない。徐霊道具の入った鞄は遠くにある。取りに行っていたら間に合わない。
「田中中佐!!逃げて!!」
敏麗は叫ぶ。しかし田中は動かない。敏麗は田中が取り殺されるのを覚悟し目を閉じる。その時。
「やめて!!父ちゃん!!」
子供の声に敏麗が振り返る。
鈴花が村長のとこの子供達を連れてきた。子供達は霊の元へと歩いてく。霊達も田中の元を離れ子供達の元へと向かっていく。
「皆逃げて!!」
敏麗が立ち上がろうとさた時
「大丈夫だ。」
田中が肩を抱く。
「よく見てみろ。」
霊達の顔が先ほどよりも穏やかになっている。
「お父ちゃん、あの人達。」
少年の1人が田中の方を指差す。
「あの人僕達のこと助けてくれたんだ。だから悪い人じゃないよ。」
男の霊は敏麗と田中の方に一例すると消えていった。新廉を助けてくださりありがとうございますと言うと。
敏麗がベッドの上で目を覚ます。傍らには田中と鈴花がいた。
「お姉様」
部屋には妹の瑛林がいる。
「瑛林?!どうして貴女がここに?」
「どうしてって自分の家ですもの。いるに決まってるでしょ。」




