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霊が出る村

「田中中佐、お一人ですか?それもそのような姿で。」

「芳子が部下を引き連れて行ったときは門前払い喰らったって言ってただろう。」

そこで田中は部下を連れず1人で来たのだ。

 田中は村長と話がしたいと言って居間に残り敏麗は鈴花の部屋へと案内される。

「敏麗さんには申し訳ないけど私の部屋使ってもらいますね。1室しか空いてないからそちらは田中中佐に。」

他の子供達は皆で大部屋を使っているが鈴花は最年長で年も14とあってか狭いが1人部屋だ。

「ところで鈴花ちゃん、さっきの子供達は何なの?」

鈴花は俯く。

鈴花を始めとする子供達は土地の奪い合いで両親を日本軍に殺された。身寄りがいなくなった子達を村長が引き取ってくれているのだ。

「あの子達は殺された両親の霊が出るなんて噂して私達を馬鹿にしてくるの。」

「酷い話ね。」

「敏麗さん、両親の霊なんていませんよね?」

鈴花は敏麗に泣き付く。

「それは今夜霊視してみないと分からないわ。そのために来たのだもの。それに霊も悪意だけで現れるのではないわ。もしかしたら鈴花ちゃんに伝えたいことがあるのかもしれないわ。大丈夫、自分の子供を傷つけたい親なんていないわ。」

敏麗は鈴花をベッドの上に座らせ手を握る。

「敏麗、ここにいたのか?」

鈴花を慰めていると田中がやってきた。

「鈴花どうしたんだ?」

泣いている鈴花に目をやる。

「実は。」

先ほどの石を投げてきた子供達の話をする。

「そんな事があったのか。酷いことするもんだな。そうだ敏麗。」

田中は部屋にある椅子に座ると話を続ける。

「村長が男手を貸してくれるそうだ。女子校の建設にな。」



 田中が村長と話していたのはそのことでだ。田中が女子校は中国人の少女達の教育機関になること、そしてスーツケースに入った大金を渡して校舎建設に男手の力を借りたいと頼んだ。

「お話は分かりました。しかし我々は貧しくも支え合って暮らしています。余所者に口を挟まれる筋合いはありません。」

田中は席を立つと地面に膝をつき頭を下げる。

「今回は私の部下が大変取り返しのつかない事をしました。しかし私達日本軍が作りたいのはアジア諸国同士が取り合っていける国をつくることです。まずはその一歩としてここは我々に委ねてはいただけませんか?村民の生活は必ず保証致します。」

村長も田中の熱意に負けて承諾してくれた。



「俺は生まれて初めて土下座した。」

「田中中佐も良いところあるのですね。」

「勘違いするな敏麗。全部芳子のためだ。」

田中の口から芳子の名前が出てくる。

「最近の芳子お前といると嬉しそうだ。」

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