大陸の未来
敏麗は目を覚ますと病室のベッドの上にいた。
「敏麗ちゃん、目が覚めたようだね。」
ベッドの傍らには芳子と瑛林と田中がいた。
「お姉様、良かった。」
瑛林が抱き付いてくる。
「君は2週間も眠っていたんだ。」
芳子と敏麗は国民党の追っ手に出くわした。初めは1人だったから芳子と銃で一騎討ちになった。しかし追っ手の数は増えて芳子1人では戦えず敏麗を連れて逃げようとした。しかし敏麗は放心状態で立てずにずっと奏の遺体の傍らで先生と繰り返し呟いているだけだったという。
「その時突然光に包まれ少女が現れたんだ。敏麗ちゃんをお願いと。」
廃墟で芳子の母の守護霊が現れた時と同じようだったという。
「そうだわ、田中中佐、皇后様は?奏先生は?」
敏麗は体をお越し田中に尋ねる。
「皇后様は無事満州の新居まで送り届けた。奏先生は軍の捜索隊がご遺体を自宅まで運んでくれた。」
やはり奏が撃たれたのは現実だった。
「先生!!」
芳子は何も言わずに涙し大声を上げる敏麗を抱き締める。
年が明け奏の葬儀が済んだある午後。遺品の整理のため敏麗は屋敷に呼ばれる。
「主人が徐霊や降霊に使っていた物がこんなに残っていたわ。敏麗ちゃんが使ってくれたら主人も喜ぶわ。」
夫人に案内されたのは奏が徐霊などの儀式によく使っていた部屋だ。お札や数珠、鈴なのが残されている。
「これは?!」
敏麗は鏡を見つける。
「奥様。」
敏麗は夫人を呼ぶ。
「敏麗ちゃん、何かいい物見つかったの?」
「はい、この鏡を頂けませんでしょうか?」
敏麗が手にしてるのは古い鏡だった。
「敏麗ちゃんそんな古い鏡でなくてももっと素敵な物が百貨店で売っているわ。」
「いえ、奥様。この鏡でなければいけないのです。」
敏麗は夫人に頼んで鏡をもらい受けることにした。
翌日敏麗は自宅に芳子と田中を自宅の屋敷に招く。2人が着くと女中が敏麗の部屋まで案内してくれる。
「お待ちしてましたわ、芳子様。田中中佐。」
敏麗は白い巫女装束の姿で現れた。壁には奏の形見でもある鏡がかけられていた。
「芳子様、田中中佐、こちらは未来を写す鏡です。奏先生が予言に使っていた者ですわ。」
神降ろしをして見たい未来を鏡で写してくれる。但し鏡に写る未来が見えるのは神降ろしをした者だけだ。
「これで大陸に未来が見えます。」
敏麗は芳子と田中の前で鈴を手にして舞を踊る。鏡に写るのは新国家の建国式の様子だ。皇帝溥儀と皇后婉容が祝福されている。
「芳子様、田中中佐。新国家満州国は建国されます。わたくし達の野望は達成します。」




