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山道の女

「敏麗ちゃん、僕はかまわないよ。日本軍からはそれなりの報酬は得てるからね。ただ」

「ただ何でしょうか?」

奏は懸念そうな顔をしている。

「田中さん、霊がでるというのはどの辺りですか?」

田中は地図を広げる。

「確かこの辺りでした。」

田中は地図上で記された山道を指す。

「その道は行きにも通った道ですよね?」

「そうだが。どうかされましたか?」

「実を言いますと。」

奏は腕にはめている数珠を外す。

「霊が集まる場所ではこの数珠が知らせてくれるんです。じゃらじゃらと音を立てて。」

過去に力の強い霊と対峙したときは音を立てるだけでなく珠がはじけたこともあるという。

しかし行きの道中一度も数珠は音を立てなかったという。

「先生、わたくしの鈴も同じでした。」

敏麗は青いリボンが垂れた鈴を手にしている。

敏麗が普段徐霊に使っている道具だ。

「わたくしの鈴も霊が近づくとシャンシャンと音を立てて知らせてくれるのですが全く反応しませんでしたわ。」

霊が出るという噂は嘘だったのだろうか? 

「もしかしたら霊が気配を消して潜伏してるだけということもある。」

強い霊は霊力のある者に自身の存在を悟らせないためにする常套手段だという。

その時


ヒヒーン


外から馬の鳴き声と共に荷馬車が急停車した。

「僕が見てきます。」

芳子が外に出る。荷馬車は山道に止まっていた。馬がひどく興奮していた。御者が手綱を引いて落ち着かせようとする。 

「どうした?」

「それが突然人が横切りまして馬が驚いてしまったようです。」

御者が言うには長い黒髪の女が突然現れて慌てて手綱を引いて辺りを見渡したがそこには誰もいなかったという。

「こら落ち着け。」

馬は同じ方向を向いて鳴いている。これでは馬車を走らせるのは難しいようだ。

「そうか。」

芳子が荷馬車の中に戻ろうとしたとき  

「芳子様?」 

敏麗の声で振り返る。

「皆降りてきたのか?」

一同皆馬車から降りて来たのだ。

「外は冷える。皆戻ろう。」 

その時


ヒヒーン ヒヒーン


再び馬が興奮し始める。

「嘘でしょ?」

馬が指す方向を見ると黒髪の女が立っていた。

敏麗が過去に柳の木の下や廃墟で見てきた強い霊と同じ姿をしている。やはり奏の言う通り力の強い霊が存在を消していたのだろうか?

馬はまだ興奮している。

女は手招きをするとゆっくりと奥へと歩いていく。

奏は敏麗に目配せをする。

「敏麗ちゃん」

「はい、先生行きましょう。」

2人が女に近づこうとした時

「待て、俺も行く。」 

田中も同行すると言い出した。

「田中さん、僕も行きます。」

「川島、お前はここに残れ。皇后と瑛林を頼む。」

「分かりました。」

芳子は残り田中と敏麗と奏で女を追うことになった3人を見送り婉容と瑛林の2人を荷馬車の中に戻す。外で見張りをしながら軍服の内ポケットから煙草を取り出し一服する。  

「動くな!!」

芳子は背後から銃を突き付けられる。ゆっくりと振り返る芳子。

「そういうことか。」

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