表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/132

皇后の脱出作戦

「日本人がわたくしに何の用かしら?」

婉容は配達員の正体が日本軍だと分かると素っ気ない態度をとる。

「皇后様、我々は貴女様を満州の地へお連れする命を受けやって参りました。貴女の夫である皇帝溥儀も我々の仲間と共に満州へと向かっております。」

田中が婉容に説明する。しかし

「満州?そこに何があるのかしら?」

「到着してからご説明」

「田中さん!!」

話す田中を芳子が遮る。


「新国家満州国の皇后になって頂きます。」


芳子が告げる。

「我々日本軍はアジア民族の共存を目指す国を作る計画をしています。」

隣で田中がやめろと目配せしているが芳子は続ける。

「貴女の夫溥儀が皇帝、貴女が皇后です。」

「わたくしに日本軍の言いなりになれとおっしゃるのかしら?!」

婉容は先ほどよりも不機嫌そうな顔をして答える。芳子は部屋にあるピアノに目を向ける。

「皇后様はピアノがお好きなようですね。マザーグースですか?」

ピアノの椅子に腰かけると芳子は楽譜に目をやる。マザーグースとはイギリスに童謡を集めた歌集みたいなものだ。

「勝手に触らないでくださる?」

婉容が芳子を退けようとするが

「これは失礼致しました婉容様。美しい音色廊下から聞こえてましたので。」

婉容を自分の膝の上に座らせると耳元で囁く。

顔を真っ赤に染める婉容。

「婉容様、皇后になれば貴女は自由です。」

「自由?」

婉容の表情が少しばかり穏やかになる。

「我々はアジア民族の共存を目指しております。しかし貴女が望むなら西洋諸国との交流も不可能ではありません。」

「どういうことかしら?」

婉容は芳子の話に興味を持ったようだ。

「貴女の美しさは西洋諸国との外交に大いに役立つでしょう。」

「うふふ」

満面の笑みを見せる婉容。

「芳子って言ったわね。貴女面白いわね、いいわ。貴女の話に乗るわ。」




 婉容が話に乗ると宅配業者に扮した日本軍は城を後にする。持ってきた木箱を荷馬車に積んで。

「止まれ。」

紫禁城の入り口に荷馬車が差し掛かったとき、門番に止められる。

「荷台の中を見せろ。」

御者は荷台の中を開けるが中には木箱が積み上げられ配達員に扮した日本軍の軍人が乗っているだけだった。

「よし、通れ。」

馬車は再び走り去っていく。

 どれほど走った頃だろうか。芳子と田中が木箱の積み荷を下ろしていく。

「もう大丈夫です。婉容様。」

積み荷の裏には婉容が隠れていた。それから

「芳子様」

さらに奥からは巫女装束の少女が出てきた。

「敏麗ちゃん。」 

「お姉様。」

少年は帽子を外し敏麗に抱き付く。

「よく頑張りましたわ。わたくしの妹瑛林」

彼女は少年ではなく少女だ。

「それから奏先生」

敏麗は軍の男の1人に声をかける。

「わたくしのせいで大変なことに巻き込み申し訳ありませんでした。」

敏麗は奏に頭を下げる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ