芳子の夢
芳子様と千鶴子さん2人の話はさみます。
夜自室。芳子は白いバスローブ姿でワインをグラスに注ぐ。1日の芳子の締めくくりである。
「御兄様」
ノックと共に可愛らしい声がドアの向こうから聞こえる。
「千鶴ちゃんか、入って。」
訪問者は千鶴子であった。白いフリフリのネグリジェ姿でドアの前に立っている。
「千鶴ちゃんおいで。」
千鶴子は芳子を手招きされソファーへと腰掛ける。
「千鶴ちゃんもどうぞ。」
芳子はワインをグラスに注ぎ千鶴子に勧める。
「ありがとうお兄様。」
「千鶴ちゃんがこんな時間に来るなんて珍しいな。」
千鶴子は芳子のバスローブの袖を掴む。
「どうしたんだ?僕の奥さんのは甘えん坊だな。」
「お兄様本当に行くんですか?紫禁城に。」
芳子は紫禁城にいる皇后を護衛し満州までお連れする任務を引き受けたのだ。
「任務だからな。寂しいのか?」
「心配なんです。お兄様が危ない事に巻き込まれないのか。」
「千鶴ちゃんは優しいだな。」
千鶴子の肩を抱き寄せる。
「でも安心して。僕達愛新覚羅一族の夢清王朝の復活のためには必要なことなんだ。田中さんも一緒だし敏麗ちゃんもいる。」
「敏麗さん?」
芳子の口から先日訪れた天才霊能少女の名が出てきた。
「あの娘が今回の任務とどう関係があるのですか?」
皇后を護送するのに通る道に霊の目撃情報があったので芳子が同行をお願いしたのだ。
「それだけ?」
千鶴子は芳子の腕にしがみつく。
「それだけだよ。嫉妬かい?」
「お兄様?!」
芳子に抱き上げられベッドの上に運ばれていく千鶴子。仰向けの状態でのし掛かろうとする芳子を見上げる。
「これでも信じられない?」
芳子に唇を奪われ顔を真っ赤に染める。
「僕が愛してるのは千鶴ちゃんだけだ。上海の路地で初めて会った時から。」
千鶴子が芳子と出会ったのはちょうど1年前。行く宛のない千鶴子を見かけて声をかけたのが芳子だった。
「あの時は君を放っておけなかったんだ。君みたいな可愛らしい娘に何かあったら大変だろう。千鶴ちゃんは僕には必要不可欠な存在だ。可愛いだけでなく知性に満ちた僕には勿体ないくらいの奥さんだ。」
「お兄様、私にはお兄様以外考えられません。」
2人はベッドの上で手を握り合い指を絡め合う。
「建国したら僕達は王族に戻れるんだ。千鶴ちゃんも王家の一員だ。」
千鶴子は芳子の手を離すと起き上がる。
「本当に私なんか務まるのかしら?私のような孤児に。」
「千鶴ちゃん」
背後から芳子に腕を回される。
「僕は君の支えがあったからここまで来れた。これからもずっと君が必要だ。」
2人は再び唇を重ね合わせるとベッドの上と横たわる。




