千鶴子の変貌
満州国の宮殿。かつて溥儀が使っていた一番広い部屋は毛沢東の私室になっていた。
「千鶴子、おいで。」
ベッドの上に腰掛けると千鶴子を呼びよせる。横に座る千鶴子を沢東は横たえ馬乗りになる。
「またその名前で呼ぶのね。あなたが素敵な名前をくれたでしょ。」
「そうだったな。だけど私は初めてあった時の可憐で清楚な千鶴子も好きだよ。どこか幼くあどけないような。」
千鶴子が芳子の家を出て1人行く当てもなく歩いていたところを一台の馬車が止まる。
「お嬢さん、お一人ですか?」
中にいたのは中華服の男だ。
「女の子の1人歩きは危ないよ。送って行ってあげよう。」
「いえ、結構ですわ。」
千鶴子が再び歩き出そうとした時
「お嬢さん」
男は千鶴子の腕を掴む。
「見るところ家出だろう。行くところがないなら私の家に来るか?」
千鶴子は宿無しよりはいいと思い男に着いて行き馬車に乗った。
屋敷に着くと男は毛沢東と名乗り中国の国民党の党員だと名乗り千鶴子に料理をご馳走してくれた。
「お嬢さん、」
沢東は千鶴子の隣に座る。
「こんな夜中に女の子が1で歩いてはいけないよ。悪い人もいるのだから。」
「お兄様と喧嘩して家を追い出されたのです。」
お兄様とは芳子の事だ。
「お嬢さん、名前は?」
「千鶴子、川島千鶴子です。」
芳子と別れた今では川島と名乗る理由がなくなったがいつもの癖で名乗ってしまう。
「川島?!まさかお前の兄って関東軍の川島芳子か?」
「ええ。でも兄というより私達は夫婦のようなものですわ。」
「そうか。それにしても酷いやつだ。こんなに可愛い娘を捨てるなんて。」
沢東は千鶴子を自分の膝の上に乗せる。
「私なら君の事一生可愛がってあげるのに。川島が憎いか?」
「そうね、お兄様以上に私からお兄様を奪ったあの女のが憎いわ。」
「ならば復讐する気はないか?」
沢東は千鶴子を抱き抱えるとソファーの上に横たえる。
「もしも許せないなら私が手を貸す。その代わり私の仕事を手伝ってもらうよ。」
「あの女に復讐できるなら私何でもします。」
「いい返事だ。」
沢東は千鶴子の唇を吸う。
「君に新しい名前をあげよう。千華はどうだ?君には私の愛人として生きてもらう。」
「私はあの時からお兄様とあの女に復讐するために生きてきた。」
「そしてその悲願が叶う。」
沢東は千鶴子の隣に横たわり長い黒髪を撫でる。
「千華、お前は川島をどうしたい?」
「そうですわね。ただ見せしめにするだけでは面白くないわ。私あの人と交渉がしたいわ。」




