大陸への帰国
「芳子さん達、帰っちゃうのですか?」
年が明けた1943年1月。敏麗達は大陸に戻る事になった。加代子が横浜の港まで見送りに来てくれた。
敏麗は皇后の地位を捨てこのまま芳子と日本に残る事を提案したが芳子は王朝を復活させたいと言い敏麗達と大陸に戻る事にした。
「皇后様、また日本に入らしてくださいね。」
「ええ、復興した暁にはまた来るわ。今度は少女歌劇を観に。」
「はい、待ってます。」
敏麗達は加代子との別れを済ませると船に乗り込む。今度は田中が1等客室のスイートルームを取ってくれたのだ。スイートルームには寝室が2つある。
「田中さん、こちらは女子の部屋ですから入って来ないで下さいね。」
鈴花が奥の部屋を女子部屋にする。女性陣は奥の部屋へと移動する。しかし
「あら、困りましたわね。わたくし達4人なのにベッドが2つしかありませんわ。」
今この場にいるのは敏麗に芳子、鈴花、それから婉容だ。敏麗は婉容に溥儀とより戻す話を持ちかけた。彼女はイギリスで暮らせるならと言って承諾した。そして敏麗自身は芳子を満州国の皇帝に即位させ復縁しようとしていたのだ。
「いいんじゃないのか、ベッドも大きいし二人づつで寝れば。」
「でしたら芳子様は敏麗さんと寝ます?」
鈴花はニヤニヤしながら芳子と敏麗を交互に見つめる。
「ちょっと、何考えてらっしゃるの?!」
敏麗は顔を真っ赤にして大声をあげる。
「敏麗ちゃん、僕と一緒は嫌か?」
芳子が敏麗を膝の上に乗せる。
「ちょっとこんなところでやめて下さい。芳子様まで」
「あまり熱くならないでもらいたいわ。」
婉容が芳子と敏麗の方に視線をやる。
「見てるこっちが恥ずかしくなってくるわ。」
「だからなんでそうなるのよ?!」
航海は1ヶ月続き船内にはダンスホールやバーも隣接していた。夜の部屋では女子のおしゃべりが絶えなかったため船旅に退屈する事はなかった。
1943年2月8日敏麗達は船を降りる。甲板に出だ5人には陸地で待機する憲兵達の姿が見える。
「お出迎えかしら?」
敏船を降りた直後憲兵達が病院麗達を取り囲む。あまり好意的ではなさそうだ。
「愛新覚羅敏麗とその手下達、お前達を連行する。」
憲兵達に銃を突き付けられ敏麗達は辻馬車に乗せられる。
どれくらい馬車は走っただろうか?馬車は停泊し扉が開けられる。
「降りろ。」
敏麗達が降りたのは彼女が暮らしてる宮殿であった。
「さあ、歩け。」
再び拳銃を突き付けられ歩かされる。
「ちょっとそんな物騒な物下ろして下さる?」
敏麗が憲兵の1人にお願いする。
「口答えするな。」
敏麗は拳銃で殴られる。
「おい、僕の敏麗ちゃんに何をするんだ?」
芳子が拳銃に殴りかかろうとするが他の憲兵に拳銃を突き付けらる。
「芳子」
田中が咄嗟に制止する。
「待て、様子がおかしい。大人しく従おう。」
5人が連れて来られたのは宮殿の広間だ。
舞踏会を行っていた場所だ。
玉座には人民服の男が座っていた。




