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ゆりかの誕生日会

「敏麗ちゃん、成仏させるってどうやって?」

芳子が尋ねる。なぜか皆敏麗と距離を取っている。

「誕生日会をするのよ。芳子様だって聞いたでしょ。」

芳子と田中は敏麗と共に降霊術を行ったためゆりかの生前の経緯を知っている。

「大体なぜあなた方はわたくしから離れたところに座ってるのよ?」

「皇后様、だってそこにあの幽霊がいるのでしょ?怖くないのですか。」

加代子は敏麗の傍にいるのが浴室に現れた霊だと知り敏麗と距離をとっているのだ。

「加代子ちゃんって言ったわね、霊も皆人間に害を及ぼすものばかりではなくってよ。」

ゆりかが紙とペンを持って加代子の前までやってくる。

「ひっっ!!」

加代子は1人でに紙とペンが動くのを見て驚いている。ゆりかがペンに字を書いている。

「お ど ろ か せ て ご め ん な さ い。」

ゆりかは加代子に謝罪してるのだ。

「私こそ怖がったりしてごめんなさい。」

ゆりかは加代子に答えるように再びペンを持つ。紙にハートマークを描く。二人は和解できたようだ。

「ところで敏麗誕生日会ってどういう事だ?」

田中が尋ねる。

「そのままの意味ですわ。ゆりかさんが叶えられなかったダンスを披露していただくの。」 

敏麗は芳子の方に視線を向ける。

「敏麗ちゃん、なんで僕の方向いているんだ?まさか僕が彼女と踊れと?」

「いえ、ダンスのパートナーはわたくしが務めますわ。」

敏麗はゆりかを芳子に憑依させ自分が女役としてダンスを披露しようと考えた。ゆりかは賛成してるのか首を縦に振っている。

「では決まりね。」

「待ってくれ。」

しかし芳子は納得していないようだ。

「僕に憑依させるって事は僕は彼女に体を乗っ取られるって事か?」

「勿論ですわ。」

敏麗はにやりと笑うと首を縦に振る。




 翌週の日曜日加代子が女学校の級友達に声をかけたおかげで20人ほどの少女が集まった。

「さあ、お着替えしましょう。」

パリから婉容にも来てもらい鈴花と一緒に参加者のドレスの着付けをする。

 一方ゆりかの部屋では芳子が燕尾服に着替えメイクを施している。

「芳子様、お似合いですわ。」

バレリーナのような白いドレスに着替えた敏麗がやって来る。

「ゆりかさんが本物の男役のようだと言っておりますわ。」

芳子には見えていないが敏麗の傍らにはゆりかがいる。

「芳子様、心の準備は宜しくて?」

「敏麗ちゃん、本当にやるのか?」

「ええ、ゆりかさんもダンスが終わったら出てくと言ってますわ。それにもし何かあればわたくしが止めます。」

「分かった。今日だけだぞ。」

敏麗は読経を始める。ゆりかが芳子の体の中に入っていく。芳子は一瞬気を失うが再び気を取り戻すとゆっくり顔をあげる。

「敏麗さん、行きましょう。」

立ち上がると敏麗の手を取る。

「ええ、ゆりかさん。」

敏麗は芳子、いやゆりかの手を取る。

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