表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
契約結婚のその後〜追い出した夫が私の価値を知るまで〜  作者: 影茸
契約結婚のその後

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/124

第三十話 隠し事 (クリス視点)

 それは侯爵家と比べても豪華な部屋。

 その中で私、クリスは目の前の恰幅のいい男性の前で座っていた。


「ということで、マーシェルが席を外しており、第二夫人にあたるウルガです」


 そう言いながら、私は隣にいるウルガを紹介する。

 そんな私たちを見る男性の視線に一瞬私は身体を震わせるが、男性は気にせずにっこりと笑って口を開いた。


「そうか。この時期に体調を崩すとは珍しい。奥方にも、身体を大事にするよう伝えておくといい」


「はい。ご温情まことにありがたく思います。妻も、大いに感激するでしょう」


 内心私は、大いに安堵しながら頭を下げる。

 床を見ながら、私の頭に浮かぶのはここにくる前、コルクスに口を酸っぱく言われていたことだった。


 ──奥様がいないことはなんとしても隠し通してください。


 最初は何という無茶ぶりだと感じていたが、少なくとも今は目の前の男性……公爵家当主からは何も感じることはなかった。

 そのことに内心大いに安堵しながら、私はさらに次の話へと続ける。


「妻の件だけで申し訳ないところ恐縮であるのですが、実は体調が悪いせいで引継に少し支障がでておりまして……」


「……それは本当か!」


 目の前の男性の顔色が変わったのはその瞬間だった。

 その変化に、一瞬私はひやりとしたものを感じる。


「あの奥方が引継を怠るとは、そんなに体調が思わしくないのか……。我が家からも見舞いの品を送ろうか?」


 けれど、幸いにもその態度の変化はマーシェルの不在に気づいた故のものではなかった。

 内心私は安堵するが、直ぐに愛想笑いをして口を開く。


「いえ、少し体調を崩しただけですのでお気になさらないでください」


 見舞いなどされて、不在であることが分かれば、面倒臭い事態になることは分かり切っている。


「……そうか。だが、もし何かあったのならいつでも言ってきてくれ。私はいつでも協力する所存だ。あれほどの女性が体調を崩しているというのは忍びないからな」


 そんな私に、公爵家当主がそれ以上つっこんでくることはなかった。

 内心私はそのことに安堵しつつ……けれど、複雑な感情が自分の中に生まれているのを私は感じる。


 横にいるウルガが口を開いたのは、そのときだった。


「それはあの女を高く見積もりすぎでは?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] あっ······w
[一言]  あちゃー…。やっちまったなぁッ!?(イイゾ、モットヤレ)(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ