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第三話 混沌とした部屋

 私は、メイリの言葉が聞き間違いであることを祈りながら、その顔を見つめる。


「あら、いいわね! せっかく綺麗になりましたしね」


 ……しかし、続いてのネリアの言葉に、私は現実を突きつけられることになった。


「む、無理に決まっているじゃない!」


 そんなメイリに言葉に、対し私はぶんぶんと頭を横に振る。

 同姓である二人の前でも恥ずかしかったのだ。

 この上、アイフォードなど不可能に決まっている。

 そんな私に対し、メイリの顔に浮かぶのは呆れたような顔だった。


「ここまで衣装を整えたのはアイフォード様へのアピールの為ですよ。見せずに終わったら何の意味もないではないですか」


「で、でも……」


「それに、このままだと進展なんて一切ないですよ」


「っ!」


 そのメイリの指摘に、私は思わず言葉に詰まる。

 アイフォードへのアタックを開始してから、私も薄々と自分のやり方ではあまり進展がないことには気づいていた。

 呆れた感情をさらに強く顔に浮かべ、メイリは口を開く。


「契約結婚だと判明しないように、仲良くすべきだでしたっけ?」


 ……それは、私がアイフォードのアピールの大義名分として使っている名目。

 それを復唱したメイリは、その顔に苦笑を浮かべながら告げる。


「大儀名文としては決して悪くはないと思うのですが、それで食事を一緒にとるだけで満足しているのはさすがに……」


 その言葉に、私は何の反論もできずだまり込む。

 しかし、私にも言い分は存在した。


「だって、勇気をだして何かを言っても、アイフォードの反応は凄く薄くて……」


「だから、もっとアピールするんでしょうが!」


 そう髪を逆立てて怒りを露わにするメイリに、私はなにも言い訳できず……それでも納得もできず無言で頭をぶんぶんと横に振る。


「もう……! 純情を拗らせてると、事態もこじれるとどうして学ばないんですか!」


「あらあら」


 必死に私を立たせようとするメイリと、抵抗する私。

 そして、そんな私達を和やかに見ているネリア。

 私の部屋の中は、一気にそんな混沌とした状態へと変化する。


「マーシェル少しいいか?」


 ……扉の外、ノックと共にアイフォードの声が響いたのはそんな時だった。

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