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第六話 あの方

公爵家の屋敷では

使用人たちが慌ただしく動いていた。


「いいこと?これは公爵家の名にかけてあの方を探してお礼をしなければなりません。私だけではなく私の親友でありこの国の王女様であるエリィや私の護衛たちも命を救って頂いた。何も返せていないなんて、私のプライドが許せない。それに…」


少女は何か言いかけてやめた。


(それに、運命の出会いに間違いないわ)


この辺りは全てうちの領地だし

どこを通ったとしても

どこかから情報が出てくるはず

まだ海の近くにいる可能性もあるはずよ!

早く探すのよ。


しかし、その者は行きは認識阻害の車を使って

帰りは転移魔法で一瞬にして王都に帰ってしまっていた。


海に着いてクラーケンを倒したあと

人気の無い場所で釣りをしていた。

釣り人とは数人すれ違ったが

その他の人間には会っていない。


そのため関所を通過してないし


いくら探しても

見つかるわけがなかった。


それから2日が経ち


怪我がある程度回復した

サムの師匠であり現第二王女の専属家庭教師であるフィリップスが言った。


「私が寝ている間に公爵家が総力を上げ見つからないのであれば、もうその方はこの領地にはいないのでしょう。実は私あの方の行き先に心当たりがございます。今からエリス様と王都に戻り陛下に此度の報告を致します。ハンナ様もご一緒にいかがでしょうか?」


『フィリポがそう言うなら私は従います。あの方は王都にいらっしゃるのですね。』

ハンナとフィリップスが話をしている間


エリスは顔を赤らめ何か考えている顔をしていた。




そして王都に戻り王に報告をした。




『おお。フィリップスよ。部下から簡単な話は聞いたが、お主の口からも余は話を聞きたい。』


「はい。陛下もご存知でしょうが、クラーケンはBランクの魔物です。大きさは大柄な大人の男くらいです。ただ、まれに巨大化したクラーケンが現れます。普通のクラーケンの2〜3倍でランクもAランクです。そのくらいであれば私で問題なく倒せます。しかし今回現れたクラーケンは普通のクラーケンの15〜20倍の大きさがあり剣で傷をつけてもしばらく経てば傷が塞がり魔法で攻撃しても少しの足止めにしかなりませんでした。近海の主クラスではないでしょうか。」


『なにっ!?つまりSランク以上の化け物が出たのか』


「はい。私はお嬢様方が安全圏に逃げられるまで時間を稼いでいましたが、途中で私が傷を負い劣勢になりクラーケンがエリス様の方に狙いを変えました。そこからはエリス様をお守りできず力尽きました。」


『そうか。そこに急に現れたエリスとそう年が変わらない少年がクラーケンを切り刻み倒したのだな。少年ではないが…Sランクの魔物を簡単に斬る冒険者は1人思い浮かぶのだがな。』


エリスの護衛でその場にいた護衛隊長が


「そういえば。剣で切る前に魔法を使いクラーケンを痺れさせ行動停止にさせました。かなり高度な魔法です。」


と言った。


『Sランクの魔物に通用する魔術師か…少年ではないが、そんな魔法が使える人物は1人しか思い浮かばないな。さっき思い浮かんだ人物の妻だ。』


王がそう言うとフィリップスが言う


「今思い浮かんだ方々のご子息が学生でありながら既に授業を終了し今は冒険者活動をしているとの話を聞きます。これは偶然でしょうか?」


そこにラファエル家当主であり国の財務大臣兼外務大臣のジオが入ってくる。


「陛下!!エリス様とうちの娘が巨大クラーケンに襲われたのは本当ですか?」


『ジオ。お前くらいだぞ余の部屋に勝手に入ってくる奴は。今その話をしておった。近日中にカルロスリリオールを王城に呼び出す。ペッレとマリーナは呼んでも来ないだろう。説明もせねばいかぬ…今から会いに行く。お前も同席しろ。』


「陛下…嫌です。お断りします。」


『余の命令を断るのもお前くらいだぞ。』


「行けばいいんでしょ。行けば」


『決まりじゃ。おい!マクレンを呼べ!!』


王の一声で

宰相のマクレンが呼び出され


王とフィリップスとジオとマクレンの4人と3人の護衛でリリオール家に向かうことになった。



国王が乗っているとバレないように

ラファエル家の馬車で移動した。


そして一同はリリオール家に着いて早々

驚きの光景を目の当たりにする。


自転車に乗って移動するメイドだ。


あれは何だ?と馬車の中で王が聞くが

全員が、初見のため誰も答えられなかった。


門兵にジオが

「ラファエル・ジオ・ホルストだが、ペッレリーニ殿とマリーナ殿に極秘の話があると伝えてくれないか」


と言うとすぐに広い部屋に通された。

部屋の外に護衛を待機させ


そこで王は変装を解き言った。


「この部屋は涼しいな。マリーナが氷魔法を使っているのかな。」


そこにペッレリーニとマリーナが入ってくる


「何の用だよ。おっさん」

『陛下に対しておっさんは失礼でしょ。陛下、それに皆さん。ご無沙汰しております。』


フィリップスとジオが

これまでの話を説明する。


「なるほどな。カルロスは確かに天才だし強いがさすがにまだSランクを単独で討伐は無理だろうな。ただ、うちの子なら可能だな。」


皆が頭に?が浮かぶ。


『上の子は無理だけど、下の子ならやりかねないって事ですわ』


マリーナの助言で皆理解した。



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