第二話 王都編①
王都に引っ越してきた事を
メールで兄に報告する。
豪華な宿と思ったら
自分の家の離れが来客用の宿泊施設に
なっていたとは…
学校から近いし
これからは気軽に会えるな!
兄からのメールの返信だ。
これが兄さんの部屋だよ!
兄さんの部屋の
写真を送った。
前の家の全体と同じくらいの広さある?
って返事がきた。
いや兄さんの部屋だけで
前の家の全体の倍の広さだよ。
って思ったけど
そのくらいだと思う。
って返信した。
俺は初めての王都だから
散歩したいって両親に言った。
1人じゃ危ないから
サムに案内してもらいなさい。
サムとはうちの執事らしい。
たまに野菜を仕入れにうちに来ていた
商人と俺は思っていたが
実はうちの執事だったのだ
うちが田舎にいる間
王都の家を管理してくれていたのだ。
そして何かある時は商人のフリをして
定期の連絡や報告をしていたらしい。
うちにはサムの他に若い執事の
ウィルとメイドのミナとサナが働いていた。
他にもコックや私兵など
たくさんうちで働いている人たちはいたが
この4人が俺の世話をしてくれている事もあり
最初に名前と顔を覚えた。
こっそりと携帯電話で写真を撮り
兄さんに送ってみた。
兄さんからの返事は
どっちがミナでどっちがサナ?
だった(笑)
さすがの兄さんも男の子だもんな。
右がミナで、左がサナです。
と返事する。
ネッスはサナがタイプでしょ?
俺もサナがタイプ
でも2人とも美人だね。
って返信
さすが兄さん(笑)
サムと街に出かける。
王都は広いですが
街の作りはわかりやすい
王城が中心にあり
大きく分けると
貴族街、商店街、住宅街、スラム街の4つだ。
王城の近くが貴族街
貴族の家や他の地を治める貴族の別邸がある
ちなみにうちも貴族街だが
王城から
1番遠いところにある。
基本的に貴族街には一般人は入れない。
貴族も基本的には住宅街や商店街には行かない。
貴族達の買い物は商人が直接家まで持ってくるのが主流で特に上級貴族達は専属の商人がついているみたいだ。
ただ、下級貴族などは商店街などに直接買い付けに行くところもあるらしい。
だが他の貴族の家と比べても
大きい方だと思う。
貴族街を一通り見て
公爵家の次くらいに大きい屋敷だ。
サムに聞いてみた。
「うちって貴族なの?」
『旦那様は公爵の爵位を国王陛下から頂いておりますがそれよりも英雄様と呼ばれる方が多いかと思われます。』
「英雄?」
『国の発展や国難の解決など様々な功績を残した方だけが頂ける特別な証です。その証が与えられた時点でその方とその家族は3代に渡り貴族の最高位である公爵と同等の扱いとする。それが王国特別英雄証明書です。ですので…坊ちゃんとそのお子様までは爵位が公爵の貴族の扱いになられます。現在までにその書を与えられた方は4名です。1人目はボストモレックス将軍。2人目はシュスター博士。3人目はチキーユ・レグラン初代王国学園長。4人目が旦那様です。』
俺でも知ってる名前にうちの父が並んでいる…
将軍は乱世の時代に戦争に勝ち続けこの国の国土を広げた智勇兼ね備えた人だ。
博士はたしか流行り病の特効薬を開発した人だよな。
レグラン学園長は教育者として
この国の識字率などを大きく引き上げた人だ。
3人は歴史上の人物だけど
それと並ぶうちの父は
何をしでかしたんだ?
「サム。父さんは何の功績で英雄になったの?」
『旦那様は国王陛下を暗殺者からお守りになった功績で英雄になりました。更にその暗殺者がリークダルトという大物であった為、英雄認定されました。』
「え?あの大量殺人鬼の?」
『はい。各国の王族や貴族を殺害し小国をいくつか滅ぼしたとされる。あのリークダルトです。』
「そんなこと俺に教えて良かったの?」
『坊ちゃんであれば自力でそこまで調べる事は可能でしょうから。私が、言おうが言わまいがいずれ分かる事です。』
「サムは俺の評価が高いんだね。まあ20年振りの学園満点首席の弟だもんね。ハードル高くなるよな」
『坊ちゃん。坊ちゃんのお兄様のカルロス様ですが…10年に1人の天才だと思っております。しかし、私は坊ちゃん。あなたの方が天才だと思っております。それも1000年に1人の天才だと』
サム (48)
ウィル(28)
ミナ(21)
サナ(19)