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今どきの女子高校生の勉強事情?

作者: 南辺万里

これはあくまでもフィクションです!

 高校に入学し漸く4月も終わりを迎え、5月のゴールデンウィークへ突入した今日、私は特に何かをする事無くただテレビを見ていた。そのテレビでは、人口が年々減少すると共に国民の貧富の格差が拡大していっていると専門家と称する人達が話している。


「う~ん、何で人口が減ると貧富の差が広がるんだろう?」


 すでにその事は決まり事のようにテレビでは話している。途中から見ていたからなのか、議論の内容が今一つ理解出来ない中、それでも何となく見出してしまった為、そのまま番組を見続ける。


「貴方にしては珍しい番組を見てるのね」


 洗い物をしていたお母さんが私の向かいのテーブルに座り、私の見ている番組を見て不思議そうな表情を浮かべた。


「うん、何となく見始めちゃって、お母さん、何で人口が減ると貧富の差が広がるの?」


 私の問いにお母さんは考える素振りを見せる。そして、しばらく考えた後、はっきりと言った。


「それが判っていれば我が家はもう少し裕福だったかもね!」


「うん、わたしもそう思うよ」


 あまりの勢いに私は思わずそう返答をしてしまった。


◆◆◆◆


 我が家は普通の一般的な家だと私は思っている。

 両親に子供は私一人、一人っ子家庭と言うそうだけど、私のクラスの半分近くは一人っ子だ。

 父は今年47歳、社員20名くらいの会社の課長さん。母は今年49歳、家の近くの会社でパートをしている。その為、私は小学校の頃から鍵っ子だった。小学校の授業が終わっても、4年生までは母が迎えに来るまで学校にいて宿題を終わらせたり、授業で判らないところを先生に聞いたりして勉強をするのが日常で、5年生からは放課後教室に参加できないから家の傍の塾に通うようになった。


 そのおかげか地元の中学へと進学しても学校の成績も一学年120人中50番くらいにはいた。おかげで両親も私にあんまり口煩くない為、比較的のんびりとした中学生生活をしていた。

 そして現在、成績に無理のない程度の高校を何校か受験して取り敢えず学費の安い公立のそれこそ偏差値も真ん中よりちょっと上かな? といった高校へと進学が出来た。同じくらいの成績の子が集まる高校では油断していると一気に落ちこぼれると言われていたけど、入学してすぐの学力テストでは155人中67番と自分ではまずまずの順位がとれたのでほっとしていた。


 そんな最中のこのテレビ番組は私に思いもしない衝撃を与えてくれた。


「お母さん、うちって中流家庭?」


 先程に続きそう尋ねたのは、テレビでは少し前の世代では1億総中流家庭という言葉が流れたから、そして帰ってきた言葉は無常だった。


「中流家庭の奥さんがパートなんてしているはずないでしょ」


「え? じゃあ下流家庭なの?」


「下流家庭なんて言葉聞いたこと無いけど、でも我が家は良い方よ? 子供が2人も3人もいる家だったらもっと大変よ」


 パート仲間のお母さんや、私の学校の友達のお母さんなどから聞いていると、子供が多いととてつもない食費に、衣料費にとお金が掛かるらしい、特に男の子だと目も当てられないそうだ。その目があまりにマジだったので背筋が寒くなる。その日の夜、帰宅したお父さんに同じ質問をすると「ギリギリ中流だといいな」と言った訳の分からない返事が返って来た。


 ゴールデンウィーク後に学校へと登校した私は、先日のテレビ番組の話を友人の小谷沙耶ちゃんにした。

 この沙耶ちゃんは私からするとちょっと変わった子だ。教室で席が隣になったのが縁で会話をするようになったんだけど、彼女は先日の学力テストでなんと学年1番だった。それよりも、私の印象に残ったのはその順位表で自分の順位を見て、ほっとしていた私と違い、偶然私の目に飛び込んできたのは彼女のニヤリといったちょっと女の子がしたら不味いんじゃないかなっといった笑みだったんだ。

 その後、少し親しくなった時にその事を話すと、また同じようにニヤリと笑った変な子だ。


 そんな沙耶ちゃんに先日のテレビの話題を話した。


「でさ、将来ってどうなっちゃうのかって思って、沙耶ちゃんはどう思う?」


「ん? 今更な問題だね。そもそも私がこの学校を受験したのはその対策の一環と言えなくもない」


 私の問いかけに、相も変わらず斜め上? 下? の返答が帰って来て首を傾げる。


「この学校であれば学年上位の成績が取れそうだし、そうすると教師からの対応も、内申点も良くなる。高校生活も過ごしやすくなると判断した。偏差値がここより高い所も受かってたけど、そこだと成績上位は厳しそうだったから敢えて此処を選んだんだよ」


「え? そうなの?! でもそれって損じゃないの?」


 少しでも偏差値が高い高校へ行く方が良いと私は思っていた。

 もっとも、家の経済的な理由などで受かっても行けるかどうかは判らない。でも沙耶ちゃんの家は聞いている限り結構裕福そうだ。


「そもそも社会に出て価値が出るのは大学だね。有名国立大学や私立大学を出てることは知ってても、逆にその人の出身高校や中学何か余程親しくないと知らないと思う」


 考えた事も無い理由に私は逆に驚いた。わざとランクを下げた学校に行き優等生として生活するか、それともランクの高い学校へ行き平均に埋没するか・・・・・・そんな考え方もあったかっと思いもしなかった発想に称賛を送ろうとして、ちょっと頭に別の思いが引っかかった。


「でも沙耶さん? ランクの高い学校に行って上位の成績を取れば良いんじゃないの?」


「私はそこまで頭は良くないぞ? 金蘭のトップ連中など化け物揃いだ。一度聞いたことは忘れない者、一を聞いて十を知る者など真面目に競う事など不可能だな、私はまだ人間を辞めてはおらん!」


 力説する姿にきっと過去に何かあったんだろうなと思わず温かい眼差しを彼女に注いでしまった。


「でも、その良い大学に行くんだったら上位の高校の方が良いんじゃないの?」


「ふふふ、良い大学に行くのなら学校ではない、今の時代はどれだけ良い塾に通うかなのだ。そして良い塾の費用は高い、それであるなら公立の学校へ進学し、少しでも無駄な出費を減らすべきだな」


「そうなの?」


 私が尋ねると、沙耶ちゃんは大きく頷いた。


「弥生ちゃんは今この厳しい現実を知った。残り時間は少ない。これから2年強の時間を如何に使うかでその後の人生は変わるの、どうする?」


 薄っすらと笑みを浮かべる沙耶ちゃんの問いを聞きながら、何か悪魔の誘惑の様と私は思った。


 そして、結局の所私の沙耶ちゃんに振り回される地獄の高校生活が始まったのだった。


「誰だって将来幸せになりたいもん!」


「未知程ほど不安な物はないものね」


 沙耶ちゃんはやっぱり悪魔かもしれない。

私が思った今どきの勉強方法!

なんてお話をしようとして、うん、異論など凄そうでw

ちなみに、友人の考えはあくまで個人の発想ですよ!

ほら、成功したとは限らないですし、お話書いてないもんね(ぇ

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