依頼54『ハイネウスの走馬灯④』
私は苦しみを耐えられず水中内で悲鳴を上げていた。
しかし、その声は誰にも聞こえず誰にも聞かれずずっと苦しんでいた。
そんな時であった。
一つの紙が水中内に浮かび上がった。
そこにはこう書かれていた。
『契約を……欲望を満たす契約を……お前の求める願いを叶える契約を……』
それを見て私は思った。
生きたい、生き延びたい、生きて好きな事をしたい、生きて今度はやりたいことをしたい、生きて今度は制限のない生き方をしたい、こんな苦しい事をもうしたくない、神の為に何て生きていたくない!
そう考えて私はその書類を何の躊躇いもなくサインした。
すると
「あああ、可哀そうに、本当に望まれているとはいえどうして神は修行と称してこんな拷問を人間に課すのか! 許せないよねえ、とても許せないさ!」
と一人の男が出てきた。
私は理解した。
その男が悪魔であることを
その男が私の欲望を叶えることを条件に魂を取りに来た事を
私はそれでもいいと思えた。
そして、
「君に力を与えよう、そして君はそれを使って自由に生きるんだ! そして今度こそは君自身の為に生きるんだ! 欲望を叶えることはとても大切さ! 美徳に捕らわれる必要もない! それはとてもとても人間らしい生き方だ! 神の制限に苦しむのはもう止めよう!」
その言葉に同意して私は嬉しくなった。
悪魔は私に欲望という道を記してくれた、
神のよく分らない美徳よりも魅力であった。
あの時信じていた事が霞むほどの楽しそうなワクワク感
満足しそうな生き方
そういった今までして来なかったやりたいことが溢れ出した。
そして、
ドゴオおおお!!
と水の中に入り込んだ。
その中はそこまで深くもないはずなのに深く、深く入っていった。
教祖は呆気に取られたような表情でおかしかった。
だから
「グ! があああああああああああああああああああああああ!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオン!
水中内に連れ込んだ。
「ごぼおおっばああああああ! っぐばあああああ!」
息が詰まり真っ青になっていく、
しかし私は無視した。
無視してそのまま連れ込んで苦しそうにしていた教祖はドンドンと動くことを止める。
そして
動かなくなった。
私は遂に人を殺した。
教会の父親を持っていた私は人を殺した。
なんという気持ちの良い事でしょうか
こんなにも心を満たすことを私はして来なかったことに驚いた。
恨みのある人間を殺した時の高揚感は顔を喜びの表情に変える程である。
そして、私は水中から教祖の死体を上げて顔を上げた。
「ぶはああ」
「教祖様?」
誰かが入って来た。
そして、その女は教祖の死体を見て
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
と悲鳴を上げた。
ぞろぞろと人が入って来た。
私は教祖の持っていた私の頬を切ったナイフを投げた。
ブシャアアアアア!!
大量の血を流す先程の女性
「な! 何をしているう!!」
「この外道! 神の冒涜者め!」
だが無視して水中の中に入り込んだ。
「な!」
他の者達は呆気に取られている。
そんな中私はあることに気付いた。
出口の様な光がもう一つある。




