依頼49『入るのは』
ハイネウスは口から血を流しながらも大量に針金で片口を縫っていた。
そして、
「うぐぐいぎぎぎいいい!! ゆるざなあいいいいいい!! ぶっごろどおおおおお!」
と唸りながらナイフを持った。
そして、大量の鏡を持って
『これで私の姿は分からなくなる、水中の中では鏡が何処にあるか魔で分かるわけがない! 絶対にお前等をぶっ殺す! ランチェルはぶっ殺す! あの子の芸術を壊しておいて許されるはずがない!』
と考えながらハイネウスは浮上しようとするランチェルを捕まえようと猛スピードで追いかけた。
「うぐぶぶぶぶ」
と息が切れそうになるランチェルは何とか元の場所へと戻ろうと光ある場所へと向かう。
きっとそこが先程の出口であると信じて
しかし
「うぐう!!」
足元を見るとすでに先程の暗殺者がランチェルの足を引っ張っている。
ランチェルは手を蹴るが
「ぐgばあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
と大量の泡を吐き出しながら掴んだ手を離そうとしなかった。
ランチェルはそのまま再び下へ下へと落とされていく。
息がどうしようもなく出来なくなる。
死んでしまう。
もう息が続かない。
そんな状態をランチェルの判断能力をドンドンと奪っていく。
そして、
「ぼう……だべだ」
ザグ!
と足にナイフを刺した。
しかし、そんな事に対しても気付けない程頭がボーっとしてランチェルは死の寸前だった。
「助けに来た!」
その声と共にランチェルは息が出来た。
「ああああはあああああああ!! っごほおお! ごごお!!」
と大量の水を口の中から出して息を整えようとした。
助けた相手の声は分かるが確かめる程余裕はなかった。
死ぬ寸前まで息が出来なかった。
そして、やっとのことで生き残ることに嬉しさと喜びが出てきた。
そして、
「良かった、間に合って」
そこのいたのは啓示であった。
啓示は嬉しそうにランチェルに手を伸ばした。
ランチェルは血が噴き出す足を布で縛って立ち上がる。
そして
「ありがとう」
と言っていると
ヒュン!
と水を切る音と共にナイフが飛んでくる。
啓示はその剣を聖剣で弾く。
ランチェルは
「一体どうして……どうやって」
と聞くと啓示は笑いながら
「賭けだったよ、奴の悪魔の能力の中に入れるかは……」
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啓示は沈められたランチェルを助けたくてひたすら血で濡れた床に叫んでいた。
「ランチェル! ランチェルうううう!」
しかし、全く返事がない。
彼は完全に悪魔の能力に引っ張られてその領域にいる。
彼は今この世界から断絶された場所にいるのである。
そして、啓示は悔しそうに地面を殴って
「糞おおお!」
と唸る。
すると聖剣の聖霊は
『啓示、私に出来るのは空気を吸わせることです、ここまで悪の力が大きい場所だと打ち消すことも難しい、そして例え出来ても貴方とランチェルを殺してしまいます、地面であることが一番の問題です、戻せばそこはもう地面になり貴方とランチェルと暗殺者は死ぬでしょう』
と悔しそうに伝える。
それを聞いて啓示は希望を持った目で
「助けられるのか!」
と聞くと聖霊は
『しかし、中で私の力は使えません、そのまま貴方とランチェルを殺してしまうかもしれません』
と話す。
それを聞いても尚啓示は
「行く! 行くに決まってる! 大切な仲間が死ぬのはもう嫌だ!」
と思いをぶつける。
するとリストアは
「じゃあ私も! 私も入るよ!」
と御願いをする。
しかし、聖霊は
『ごめんなさい、この能力は貴方には待っていて欲しいです、貴方は舞から話を聞いただけではなくこの中で身体能力をランチェルと同じぐらいの者です、だからもしランチェルを助けられなかった場合は貴方を魔王退治の際に残しておきたいのです』
と御願いをした。
それを聞いて啓示も
「リストア、大丈夫、必ずランチェルは救って見せる」
そう言ってリストアを安心させようとした。
レジリアもシャーレ―も
「我々はその中では役に立てないだろう、弓の方が得意だが水の中ではさすがに」
「私の魔法も悪魔の能力の前ではさすがに」
その言葉を聞いて啓示は
「分かった、俺がきっと!」
そう言って聖霊は
『今です! 悪魔の能力にリンクして入れます! 出来るのは空気が吸えるようになるオーラを放つ事ぐらいです』
そう言って啓示は聖剣と共に血の海へと入っていった。
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「ランチェル! ここで倒すぞ!」
「ああ!」
そう言って二人はハイネウスの方を見た。
ハイネウスは嗤いながら
『ふん、無駄だ……お前等なんて殺せるんだよ! 見えるわけがない! ここから武器を放てばお前等は死ぬ! 勇者ごと殺してから他の面々もぶっ殺してやる!』
そして、一気に水中を駆け抜けながら
ヒュン!
ヒュン!
ヒュン!
と武器を投げつける。
「フン! フン! フン!」
と武器を弾き続ける。
しかし
キンキン!
と何かに跳ね返って武器は戻ってくる。
「糞! こいつ! まさか!」
何か水中で跳ね返る様に細工をハイネウスはしていたと考えた。
しかし、この水中はハイネウスの領域であることをまだ理解出来ていない。