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依頼44『戦いの傷跡』

暗殺者ナリアとノリアの姉妹を倒すことが出来た。

しかし、二人は勇者一行に不快な感情を与えた。

目の前で大切な家族を守ることが出来ずに死んで逝った騎士達。

大切な仲間のラベルはバラバラに惨殺されてしまった。


べクレール王が現れ、


「何という事だ……我が忠実なる騎士達をここまで酷く惨殺するとは……ラベル殿を殺すとは……どうして奴等は魔王退治の邪魔をするんだ……奴等とて魔王がいると困るだろうに……どうしてここまで残酷な事を……ベルマズサは? あの者はどうした? まさか! そこの肉片が!」


べクレール王は想像して青ざめた。

ランチェルはそんな王様に


「それはノリアという奴の死体です……しかし、ベルマズサさんは殺されました……啓示を……勇者を庇って魔剣で魂ごと壊されました……」


その言葉に悔しそうにしながらべクレール王は


「何と汚らしいう奴等だ、正義の為に戦った者を安寧の地である天にすら誘わせないとは……奴等には慈悲というものがないのか……」


そして、汚らしい肉片を見てべクレール王は踏みつけて


「汚い! どうしてこうもドス黒い者はこんなにも汚いのか! 汚らわしい! 皆の者! そこにある汚いのを国の外に捨てよ! 魔獣共の餌にしてしまえ!」

『は!!』


そして、衛兵達はそこらへんに散らばったノリアの肉片を集めていった。

啓示は項垂れていた。

悔し涙で顔を濡らし、苦しそうに地面に伏せていた。

シャーレ―は勇気を出して


「立ちましょう、まだ戦いは終わっていません、まだ暗殺者はいるかもしれません、でなければ奴等はわざわざ死ぬような戦い方はしないと思います」


と言って肩を貸して啓示を立たせた。

啓示は少し意識をしっかりさせて


「ありがとう、シャーレ―、本当にすまない」


と謝るとシャーレ―は


「いいんです、私なんて何も出来ませんでした、せっかく蘇生の魔法を使える宝石を宿した杖も壊される始末、本当に情けないです」


シャーレ―は自分の無力さに涙を流した。

啓示は励ます様に


「そんなことはない、今の傷も皆シャーレ―が治してくれたんだろ……街の人の怪我も全てシャーレ―が、蘇生なんて本当はとても奇跡的な力であると俺だって理解出来る、今までそんな魔法は見た事は無い、書物に乗っているのを見て貴方の事を知ったぐらいです」


シャーレ―は苦しそうに


「でも、それが無くして私は何の価値があるのですか」


ランチェルはシャーレ―の肩を叩いて


「安心しろ、俺達は死なない、もうな、誰も死なせはしない、奴等の様な暗殺者に絶対に仲間を殺させはしない、絶対にな!」


そう決心するように、自分に言い聞かせるように言い切った。


『フン、死なせない? 次死ぬのはお前だ、そして、もうすでに一人……』

「?」

「どうした? 啓示?」

「いや、誰か女性の声が……」


その時啓示はハッとなった。


「まさか! ダべダルドは! ダべダルドは何処だ!」


ダべダルドがどこにもいないことに気付いた。

皆それぞれがダべダルドの姿を探そうと辺りを見回す。

しかし、どこにもダべダルドはいなかった。

啓示は思い出す


『どこでだ! どこからダべダルドはいなくなった! ノリアの姉が食べられているところを見るまでは確かにいた! ノリアに対して嫌悪を見せていた! それなのに!』


その時、啓示は思った。


「まさか……ノリアの姉が食べられたあの場所からもう……」

「!!」

「まさか!」

「そんな!」

「いやだ……」


皆がそれぞれ不安に駆られる。

そして、ナリアの死体まで啓示達は走った。

そして、そこには


「うそ……ダべダルド……」


溺死してしまったダべダルドが横たわっていた。


「いやああああああああああああああああああ!!」


リストアは飛びつくようにダべダルドを抱きしめた。


「嫌だああ! ダべダルドオオオ! どうして死んでるのおおお! 誰に! 誰にやられたのおおお!!」


しかし、ダべダルドは動く様子も話し返すこともなかった。

いつの間にか血だまりの中で白目を向いてもがき苦しんだように口いっぱいに血が溢れていた。

そして、口をガバッと開けて首を掻き毟っていた。

そんなダべダルドを見て啓示は涙を流して


「結局、結局死なせてしまった、俺は……俺は誰も守れない……何が魔王退治だ……糞……糞おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

らい

悲鳴の様に声を上げながらダべダルドの前で膝を付いて泣き叫んだ。


その後、ラベルの死体、ライベルザルトの死体、ライベルザルトの姉の死体、ベルマズサの父親の死体、ベルマズサの妹の死体、そして戦いに巻き添えをくらって死んでしまった人々の死体を王国は引き取り丁重に安置した。


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アメナガスは


「糞……ナリアとノリアも殺されたか……」


苦しそうにしながら酒を飲んだ。

すると


「アメナガス……ごめん、ハイネウスが逃げた」

「……そうか……何で逃げた?」

「おしっこを出して……ごめん」

「いやいい、イナミ、ナリアとノリアが死んだ」


その言葉にイナミは黙ったままだった。

そして、


「どうする?」

「そうだな、次は……取り敢えずはハイネウスに暗殺を任せよう……そしてお前はそうだな……四天王を殺しておいてくれ」

「……いいの?」

「ああ、奴等はお前の方が暗殺をするのに適している、情報係も今回手伝う様に伝えておく」

「……分かった……」


そう言ってイナミは魔王城へと向かった。

アメナガスは涙を流しながら


「またか……また奴等はこんな運命を背負うのか……」


と呟いていた。

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