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依頼40『ノリアの走馬灯①』

「ああああああああ!! なんでええええ!! 腹があああああ!!」


ノリアは悲鳴を上げながら裂けた腹を見た。

そして、近くに落ちている武器を拾って


「ぐがああああああ!! ギギギギギg!!」


呻きながら啓示を睨み着ける。

啓示は見下す様に


「お前にはもう能力は使えない、さっきそうした、お前は俺の聖剣の力で能力を無効化された、だからもう体に武器をしまう事は出来ない」

「あああ! ふざけんじゃねえぞ! てめえ!!」


グシャアアア!!


「ぎぎぎがあああがあああああああああぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」


次にノリアは腕を落とした。

そして、その腕は


グシャアア!! ズシャアア!!


とチリジリに刻まれていった。

そして、腕から武器が二つ出てきた。

ノリアは


「ああああ……そんないやあだああ……離れないでええ……お母さん……お父さん……ナリア姉ええええええ」


と涙を大量に流しながら震えだす。

そして、グチャグチャになっている腕を縋る様に拾おうとすると


グジョオ!!


「ああがああああ!!」


肩から突然斧が出てきた。


「いだいいだいあいぢあいあいあいいああああああああ!! いあああああああ!! お父さんがあああ! お母さんがあああ! ナリア姉えええがあああ! 離れていくうううう!! 嫌だああああああああ!! わたじは一緒なんだあああ!! ずっとずっとずっといっしょにいるtってえええええ!!」

「さあな、お前の家族も皆お前の事なんて思ってもいなくて薄情なんじゃないのか」

「黙れえええええええ! お前がそうしたんだろうがあああああ! あいつ等の様に自分で離れたような奴と一緒にするなあああああ!! 私は食べることで永遠の絆で結ばれたんだあああああ!」

「違うな! お前はそう思い込んだだけだ……そう思い込みたかっただけだ……食べた事が絆だと……お前のそれは絆じゃない、自己満足だ……お前なんかの偽りの絆何かより、ベルマズサさん達の助けようとする絆の方がよっぽど綺麗だ!」


ノリアは歯ぎしりをしながら


「っぎぎいいい!! ごろずうううう!! 絆を馬鹿にしやがってええええええ!! 私を冒涜しやがってええええ!! てめえらはいつもそうだあああ!! この屑があああ!!」


ごしゃああ!!


「がいあああああああああ!!」


顔面が武器で裂けていく。

腸が飛び出た。

ドンドンと家族が離れていく。

削られていく。

絆が

心が、

思いが、

中に溜め込んだ武器によってちりじりに離れていく。

体の痛みより、ノリアは家族が離れていくことの心の痛みが一番痛かった。


「ああああ……嫌だあああ……そんなあああもういやだあああ……離れないでえええ……どうしてノリアを一人にするのおおお……ずっと一緒って言ってたじゃああああんなんでええええええ」


と子供の様に泣きじゃくりながら脳天を


グシャアア!!


次なる刃が貫いた。


--------------------------------------------------------


私は……とても幸せな家族に生まれた。

誇りある仕事に就くお父様

とっても優しくて愛に満ち溢れたお母様

私をとっても大切にしてくれて色々と教えてくれる尊敬できるお姉さま

私はとっても幸せだ。

この家庭に、この家族に、この家に、この環境に、この日常に、この幸せに


そんな人生に生まれてこれて、本当に幸せであった。


お姉さまは言った。


「ノリア、私とノリアでいつか勇者様と一緒に魔王を倒す為に魔術を学ぶの! お父様は私達の学ぶ魔術はとっても大切でいざって時の切り札だからって! だからお姉さまと一緒に頑張りましょう!」


その言葉を聞いて私はお姉さまの為に一生懸命頑張った。


私は勉強が苦手であるがお姉さまの教え方が上手くてとても勉強が分かりやすかった。

そして、魔術の基礎は何とか4歳で覚えることが出来た。

お母様の手伝いも頑張った。

お料理が出来ればきっと勇者様や他の仲間達に喜ばれると。

武器の目利きも頑張った。

武器の良し悪しが分かれば皆の武器を調達出来ればきっと役に立つと。

私はとてもとても頑張った。

お父様は言った。

お前達はよく頑張っていると。

とても嬉しいと喜んでくれた。

私は家族みんなの笑顔がとても大好きだ。

家族が喜んでいるのはとても心が満たされる。

ナリア姉様も喜ぶ。

お父様も喜ぶ。

お母様も喜ぶ。

私も喜ぶ。

私達はとても仲の良い家族である。


そして、私はこれからもこの仲の良い家族と一緒に暮らしていく。

そして、きっと勇者様の役に立ってもっとお父様やお母様に褒められたい。


だけど、その生活に変な事が起こった。


お父様が何か様子が変になった。

お父様はお仕事を頑張っている。

お父様はお仕事を全うしている。

とてもとても偉い事である。

そんなお父様の仕事が侮蔑され始めた。

バカにされ始めている。

そんなのおかしい。


頑張っている人がどうして報われないのか。

人の為に役に立つ人が、人の為と思い尽くしているお父様がどうして馬鹿にされるんだろう。

子供の私でも不思議に思った。

しかし、まだお父様は大丈夫だって言った。

お父様はいつだって気丈に振舞ってくれて私とナリア姉様とお母様を安心させた。

とても優しいお父様。

お母様もご近所から酷い扱いを受けた。

それでもお母様は私とナリア姉様に笑顔を見せて安心させた。

とても素晴らしいお母様。

そんな親を持てて私はとても幸せなんだとこの時はまだまだ思っていた。

消えたりしない。

家族の絆は砕けたりしない。

壊れたりしない。

この絆は消えたりしないという確信がまだまだあった。


どうしてそうなるの……おかしい

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