依頼28『ナリアとノリアの暗殺』
ノリアは壁に隠れて見ていた。
「情報ありがとうアメナガス、もう一つの隠し武器を手に入れれて良かったよ」
『そうか、では期待している』
そうして通信を切った。
ノリアは
「良し! じゃあ始めますか! ナリア姉!」
『おう、来い』
そしてノリアは
「悪魔の食事!!」
そして、手が口の様に開いた。
『あへへへへあははははは!!』
と舌をべろべろと揺らしながら歯を剥き出す。
そして、口の中から小刀を出して
「紐を結んでっと! よし! そら!」
と紐を持ったままそのまま勇者に投げつけた。
そして、思った通り勇者を守ろうと騎士が庇い刺さる。
「いひあははははあ!! 最初っから君に当たるとは思ってないよ! どうせ私達の能力が効かないなら! 知らない内に翻弄すればいいだけの話なんだから!」
そして、ノリアは敢えて姿だけをバレる様に見せて視線を感じた瞬間に逃げ出した。
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ナリアは小刀が飛んでくるのを待った。
「良し、ロメイトの方は順調そうだな」
紐が切れたのを見てナリアはニヤリと笑った。
「私の姿はバレていない、ならばノリアを全面的に出せば私には注目しないだろう、ほら来た! 小刀!」
と壁に突き刺さった小刀を抜いて付着している血を舐めた。
「良し、喰らわすぞ、悪魔の人形!」
そして、頭から骸骨の傀儡子が現れた。
そして、ナリアは
「殺せ! 勇者啓示を!」
と命令を与えると傀儡子は赤い糸を出した、媒介は相手の一部であった。
それを使い先程斬り付けられた騎士の体を操作していた。
「うわ! 何だこれ!」
他の皆がノリアに気を取られている間に騎士は戸惑っていた。
ナリアは
「殺せ、殺せ、殺すんだ、動いて殺せ、刺して殺せ、そのまま心臓を貫け!」
と命令を送ると騎士はそのまま啓示に斬りかかった。
だが
「!! 危ない! 勇者様!」
ともう一人の騎士が声を上げて啓示を庇った。
そして、庇った騎士はそのまま心臓を貫かれた。
「あ、まあいいか、邪魔だったし、だが残念」
と少し惜しそうな表情になった。
そして、ナリアは連絡で
「ノリア、私の方に来るから私は少し遠くに逃げる、もちろん隠れた状態で」
『了解、私も隠れながら逃げるよ』
「さてと、乱闘を起こして逃げますか、皆殺し合え、潰し合え、隙あらば勇者を殺せ、相手を殺せ、大切を潰せ」
そう言った瞬間
「いやあ! 止めてえええ!」
「来るな! 来るなアあ!」
「止まってくれ! お願いだ! 俺ええ!」
様々な人々が悲鳴を上げながら目の前の相手を殺す。
「逃げてくれええええ!」
啓示の近くにいた人間は武器を取り勇者を襲う。
「良し、今のところは大丈夫、おら行くぞ」
「はい……糞」
ナリアは止めていた御車に命令をした。
そして、馬車は動き出す。
ナリアは荷台の布の中に潜んだ。
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「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「痛いよおお! お母さん痛いよおおお! 止めてよお……があ!」
母親は自分で刺し続ける娘に
「いやめてええ!! お願い! 私! どうして! こんなああああ!!」
と涙を流しながら刺し続ける。
「貴方!! 来ないでえ!」
「お父さん! 怖いよおお!!」
「お前等も逃げるんだ! 私は! 一体どうしたんだあ!」
「それはこ……ああがあ」
「え、そんな、いやあああああああああああ!!」
阿鼻叫喚が町中に響く。
啓示は
「あああ……そんな……止めろ……」
動揺しながら震える。
「しっかりしろ!」
ドゴオ!
とランチェルはそんな啓示を叩いて
「しっかりしろ! お前の力で皆を元に戻してあげるんだ!」
その言葉にハッとなった啓示は聖剣に集中した。
聖霊は
『啓示、強い悪を感じる、ここを戻してからすぐに移動をしましょう!』
その言葉に啓示は頷いて
「分かった、行けええええ!!」
そして、光は操られている人全員に雨が降り注ぐように流れていった。
しかし、
「ああああ! ああああああ! そんなああああ!」
「ちくじょう! ちくじょおおおおお!!」
「私が、お母さんを……殺した」
「エリアム! お前は何も悪くない! 何も悪くないんだあ!」
「ああ……俺は独りぼっちに」
と様々な人達の絶望があった。
だが啓示はじっとしているわけにはいかなかった。
「すぐに! 移動を!」
『はい!』
そう言って啓示は聖剣の力で皆を移動させようとすると
「待て! 俺らまで行かせるな! 操られればお前を殺しかねない! お前一人で行くんだ!」
とラベルが言った。
シャーレ―も
「私も同じ意見です! ここに居る死んだ方々を蘇生させなければ……」
ヒュン!
バキイイ!!
「きゃ!!」
シャーレ―の杖の宝石に向かって何か光る物が飛んできた。
それを見ると再び小刀だった。
杖の宝石はヒビが入っていた。
シャーレ―は
「そんな……これでは蘇生が出来ない、この王宮に眠る秘宝とまで呼ばれた聖の杖が……」
と真っ青になりながら言った。
それを聞いて啓示は
「一体それは!」
と聞くとシャーレ―は
「これがあってこそ蘇生魔術は出来るのです、しかし……これを壊されると精々治療ぐらいしか……」
それを聞いてランチェルは
「糞! 飛んできた方に人はいねえ! どこへ行った!」
と探すが気配どころか陰すら見当たらなかった。
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「さてと、私も少しは手伝えたかな?」
とアメナガスは資料を読みながら計画を練っていた。
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啓示は悔しそうにする。
ラベルは
「早く! 今行かないとまた犠牲者が!」
と慌てたように言うとランチェルも
「そうだ! こいつの言う通りだ! 今お前が止めないと他にも犠牲者が出る! 早く!」
「!! 分かった!」
そして、啓示は光に包まれて転移をした。
そして、目の前は馬車の中であった。
目の前には男が馬を引いている。
啓示は
「答えろ! お前が暗殺者か! お前が俺達を狙っているのか!」
と問い質すと御車は涙を流して
「違う! 後ろだ!」
と声を上げる。
聖霊も
『そこの布です! 避けて!』
その言葉に聖剣を構えて振り向くと一人の女性が布から現れて剣を振るった。
キイイイイイイイイイイイイン!!
甲高く刃が鳴り響いた。
啓示は即死のスキルを使おうと考えて意識を集中させようとすると
『啓示! 危ない!』
聖霊の言葉を聞いて振り向くと御車の男が小刀を持って啓示に襲い掛かる。
思わず女から離れて男の小刀を聖剣で弾き飛ばす。
すると首を
ガシイイ!
と付け根を掴まれて振り向けないようにされた。
女は
「終わりだ、死ね」
そう言って剣を啓示に差し込もうとすると
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ドゴオオ!!
「がはあ!!」
真横からランチェルが現れて女の横腹を殴りつける。
女は血を吐き散らしながら馬車から吹っ飛んで行った。
啓示は首を放されてそのまま横に倒れ込む。
ランチェルは
「大丈夫か!」
啓示を支えた。
啓示は
「すまん、あいつを見て即死させれなかった」
と申し訳なさそうにするとランチェルは
「まだそう遠く行ってない! それにまだ近くにいるかもしれない!」
そう言ってそのまま馬車の外を見ると人が馬車を囲んでいた。
「まさか、まだこんなに」
「畜生が!」
二人は絶望した。