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依頼23『汚物は国外へ廃棄』

ロメイトは顔面を思いっきりランチェルに殴られて


血飛沫が飛び散る。

縛られていた柱ごと


バゴオオオオ!


と砕けてそのまま血を噴射しながら後ろの窓を


パリイイイイイイイイイイイン!


と打ち破りながら飛んでいった。

周りには血以外の何も落ちていなかった。


ロメイトが飛んでいく。

悪魔の時間は解除される。


「何だあれは!」

「うわ!」


周りの者は飛んでいくロメイトの死体を見て驚く。

しかし、勢いよく飛んでいくロメイトの死体は血を出している事ぐらいしか分からず。

どうやって死んでいるのか分かっておらず、呆然と見ているだけであった。

そして、そのままロメイトの死体は地面に


ゴシャアアア


と人知れない路地へと汚く血を撒き散らしながら落ちた。


取れかけていた目玉や骨の破片、歯が散らばる。


そこへ


「ああ、可哀そうにい、何て可哀そうなんだああ……私の大切な娘よおお」


と一人のスーツを着た男性がにたりと笑いながら見ていた。


「心半ばで殺されて、勇者を芸術にすることなく死んだか……哀れな娘よ」


と言って死体に触れる。

すると


『ああ、……最高だよお……作れなかったが見れたよ、絶望が……最高だよ……例え芸術に出来なくても鑑賞出来たよ、せめての救いだよ……』


と言ってスーツ男の手で魂が取り上げられた。


『ああ、デマフォス様……お久しぶりです』

「久しぶりだなあ……全く死んでしまったかあああ……もう私の者になることが悲しく思うよ」

『ハハハ、本当にい?』

「本当だとも……とても悲しく思うよ、神の力は強い、でも君が幸せそうに、欲望を満たしたように嬉しく死んだことにはとても喜ばしい」

『そうなんだ……それは良かったよ』

「ウヒヒヒヒヒヒ、とてもいいねえ、どうやら来たよ……君は彼らにどうされるのかな? そして、それを見て君はどう思うのかな?」


と嬉しそうにしていた。

ロメイトは指さす方向を見るとたくさんの衛兵や騎士や兵士が現れて中心に王がいた。

べクレール王は


「フン、吹っ飛ばされたものを見に来たと思えばなるほど、この下種が暗殺者か、全く汚らしい」


とゴミでも見る様にロメイトの死体を睨んでいた。

兵士は怒りを抑えられないのか


「べクレール王様! 我慢なりません! この下種を! この屑を! このゴミを早く潰させてください!」

「その通りです! こいつみたいなゴミの存在だけを見てるだけで吐き気が催す!」

「こんな奴が鍛冶の人間国宝だと! ふざけている! こんな汚物は芸術でも何でもない! ただただ汚い汚物だ!」


とそして、べクレール王は


「そうだな、こいつは今まで我々の武器を作っていたが、それを使うのも汚らわしい、全て処分しろ、そして、……やれ」


その命令のみで皆


「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」


と声を上げながら剣や槍やハンマーを持ち、


ごしゃあ!! ズシャア! ズンズン!!


と様々な武器でロメイトの死体をぐちゃぐちゃにしていった。


「この武器は貴様が侮った少年の作った物だ……存分に味わえ」


と言ってぐちゃぐちゃになるロメイトの死体に


「ぺ!」


と唾を吐きかけた。

デマフォスは


「どうだい? 君の死体がぐちゃぐ……」

『雑』

「うん? 何だい?」


ロメイトは真剣な表情で


『あいつが作る武器は本当に雑、いや才能がないと言った方が良いのか……とにかく作りも悪ければ切れ味もそこまで良くない、ほら見て、私の死体を切る時の音と動きを』

「うーむ、確かに悪魔の私から見ても武器の性能が明らかに屑だこれじゃあ材料の無駄遣いだ……人間と言うのは本当に愚かだなこれすらも見抜けないとは……」

『まあまあ、あの子ならきっと見抜けた……後アメナガスとか今多少見て勉強しているハイネウスもね……やろうと思えば見てそれを真似てそして試行錯誤させるぐらいは出来るんだよ、それなのにあのバカには出来なかった……さっさと才能がないと認めて諦めて欲しいぐらいだよ……まあこの見る目のない奴等にとっては別に構わないんだろうけどね』


と本気で呆れていた。

そして


『全く、あれは本当に何を見ていたんだろうか……』


ロメイトは頭を抱えた。

デマフォスも


「君の苦労が見てわかるよ、やたら冷たかったのは本気で才能がないと判断できてしまったんだろうね」

『そもそも、この国の武器は全部才能がなかった、そしてそれを扱う奴等も見る目が無かった、結局そこなんだよ、天才や本気の努力家がいない限り武器は所詮この程度で止まってしまうんだよ、私の見てきた鍛冶屋は全て自分の家系に誇りを持ちすぎただけの成長のないボンクラ共だよ、安心しきっていたといっても過言ではない、何が先代が作る武器には敵わないなだ、追い付き進化するのが人間だというのに……ああ、全くこの武器のせいで萎えたわ』


デマフォスは


「で、君が今モチベを上げれるのは?」

『そうだね、ハイネウスや皆が絶望をまだまだたくさん作ってくれると祈って』

「そうだな、祈りは大切だ、では行こう」

『うん、絶望に感謝!』


そういってデマフォスの手を取ってロメイトは地面へと消えていった。


そして


「フン、人間の形もとどめず汚い死体だ」


べクレール王は満足そうにしていた。

兵士は


「この汚物をどうしましょうか?」

「国の外のその辺にでも捨てておけ、こんな汚いのが国にあるのが我慢ならん、どこぞのモンスターが喰い散らかせるだろう」


そして、ロメイトの死体は袋に詰められて国の外にぞんざいに捨てられた。


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ハイネウスとイナミは


「もう! しつこい!」

「うう……ウザい」


と言って詰所から出て行っていた。

すると衛兵たちは


「こら待ちなさい! ちゃんと謝りなさい! あ! 勇者様! こいつらですよ! こいつらが」

「すまない、今は何も言わないでくれ、今は止めないでくれ」


と言って真っ青になって俯いていた。

ハイネウスは


「ほら! そいつらもそう言ってるんですし! もういいでしょ! 金は払ったんですから帰ります!」

(どうやら女の方がいない、ラベルは殺されていないのか? アメナガスに暗殺を続行をすると聞いていたが……まあいいや、帰ったら確認しよう)


とハイネウスはイナミを連れてアジトへと帰った。

啓示は涙を流して


「すまない、舞」



と言っていた。

舞の体は崩れて消えた。

そして、聖剣の聖霊から言われた。


『そんな、舞の魂ごと……崩れ去っている』


その言葉を聞いて啓示はもう心底疲れていた。

ランチェルは


「うう……」


と涙を流していた。


他の者達も

「「「……」」」


と黙っていた。


「すまない、俺のせいで」


ラベルは責任を感じていた。


--------------------------------------------------------


アメナガスは


「ナリア、ノリア、戻ったか」

「ああ、見届けたよ」

「全く、ロメイトはああ!」


とノリアはぷんすか怒っていた。

すると


「ただいま、少し時間が掛かったわ」

「ごめんね」


と言って二人が現れる。

ハイネウスは


「ロメイト―! 早く作品を飾りましょう! いるんでしょ? まだ戻ってないの?」


とアメナガスに確認すると


「死んだ」

「え」


ハイネウスはその言葉に言葉を詰まらせた。

イナミは真っ青になって


「そんな……そんな……」


と動揺していた。

ナリアは


「間違いないぞ」


と肯定する。

ハイネウスは


「そんな……嘘よ、だってあの北島舞がいなかったわよ! みんな揃っていたのに田舎たのよ! あの子が殺したんでしょ!」

「そうだな、殺しは出来たよ、でも同時にランチェルに殺された」

「嘘よ……そんなの」


ハイネウスは膝を付いて絶望する。

イナミは


「ごめん、私が煙草にキレなかったら」

「そんなこと言わないで! 貴方のせいじゃないのに! あいつ等のせいなのに! 私に貴方を憎ませないで!」


ハイネウスはイナミの言葉を否定した。



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