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依頼18『尋問』

ロメイトは柱に縛られていた。


(なるほどねえ、私から情報を聞き出すのかなああ……でもこいつらそんなこと出来るのおお?)


と侮りながら見ていた。

すると啓示は


「舞、こいつに情報を聞くってどういうことだ? 何か知ってるのか?」


舞は啓示や他の皆を見ながら


「実はもしかしたらこの国に犯罪を行う闇組織があってそいつらが魔王に与しているかもしれないんだ……それを探りたい、答えろお前はどうしてこんなことをしているんだ!! お前は何処に雇われている!」

「え? 趣味ですけど? 金何て別に要らないし……武器も趣味で作った物を使って相手の首を撥ねるのが趣味だしねえええ」


と意気揚々に答える。

ロメイトにとっては本当の事であるため嘘は言っていない。

すると舞は


「そうか、なるほど趣味かそういう人間が居ても不思議ではないなあ」


しかし、ギロリと睨み着けて


「だがお前は嘘を言ってはいないがそれが全て真実ではないという雰囲気がある……他に何か隠していることは無いか? 一体何を誤魔化している?」

「人間は誰しも人には言えない秘密があるのでは? それも含めば全てなんて話せるわけないよねえ?」


と舌を出して舞を揶揄う様に馬鹿にする。

ランチェルはイラつきながら


「こいつ! ふざけるなよ!! 馬鹿にしているのか! 隠していることを全て話せ!」


と怒鳴るがロメイトは


「プイ!」


とそっぽを向いた。

舞は確かめるように


「お前の仲間に相手を操る奴はいるか?」

「操る? 仲間? ……あ?」


ロメイトはとぼけて知らないふりをする。

舞は睨みながら


「わざとらしいな……」

「はあ?」


怪しむ舞に心底どうでも良さそうにする。

すると啓示は


「舞……どういう事だ? レイミーの犯人はこの鍛冶師じゃないのか?」


と不審そうに聞くと舞は


「確かに犯人はこいつだ……だがそれだけでは終わらない気がするんだ……こいつが首を持って行ったのにも関連性があると思っている……」


その時だった


「あの絶望の顔! 本当にいいいい!! 良いよねえええ!!」


目の色を変えて興奮しながら話し始めた。


「いやあああ!! 本当に最高だよねえ!! 特に自分を助けてくれると思っていた人が本当は自分を殺そうとしていると知った時の恐怖の表情! 自分の首が体から切り離されたって知った時に一気に沸き上がった絶望の表情! それもこれも今まで手を斬り落として足を斬りとして皆を動かなくして徐々に徐々に恐怖を助長させていく時の快感!! ああ! こいつは私の行動でドンドン希望が失われていく! 薄れていく感情を正常に保とうと正常であろうとして自分自身を見失わない事を誇りとしてそして、そんな中で相手を思いやれる心を持とうとする意志の強さ! まだ大丈夫! まだ自分にも出来ることがある! きっと皆の事を守る力は残されている! そんな感情を無理矢理希望を持ち直そうと無駄に頑張る姿! それを持って頑張って皆に伝えようと私を使おうとしていたの! このことを啓示様に勇者様に伝えてって! 馬鹿だよねええ!! そんな事が伝わるはずが無いのに! それに魔王の手先だってええ!! アハハハハハ! 魔王関係ないのにねえええ! 貴方が今対峙している相手はただの殺人鬼だってのにいいいい!! アハハハハハ!!」


豹変したように笑いだしながら楽しそうに話し、自分の喜びを、自分の楽しみを、自分の趣味を勝手に語り出した。

舞は怒りで頭がおかしくなりそうになった。

だがそれでも止まらないロメイトは、未だに嬉しそうに勝手に語る。


「本当に! あの時の絶望の表情は私が今まで集めた絶望ハンティングトロフィーの中でも結構傑作だよ! 今までの中でえええ! 断トツ一位ではないんだよなあ……何と二位! 二位だよ! 一位は何だと思う何だと思う! そう! 二年前ぐらいに手に入れた妊婦の表情なんだよおおお! 腹を斬った瞬間! 何と破水しちゃったんだよおお!! でもそんなことも分からないまま女の人は絶望の表情で自分の子供が殺されたという恐怖と苦しみで絶望に……」

「黙れ」

「はあ? 何言ってるの! 語りは止まらないよ! だって……」


グシャリ!!


「イガアアファアアアアアアアアアダアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


ロメイトに激痛が襲った。

見ると横腹が切裂かれていた。


「いbbっじゅううだああああ! 良い!! あああ! 絶望が私に降り注ぐ!! わつじしんぼ!! ざぐいんがあああああああああ!!」


ザシュ!!


もう片方の横腹も切裂かれてしまった。

切裂いたのは誰かがロメイトにも分かった。

啓示であった。


「お前はもう黙れ……今まで散々どれだけの罪のない人を殺してきた……作品だと……お前は人間を何だと思っている……」

「いぐうういいいいいいいい……人間? アハハハハ! 馬鹿じゃないの! 人間だけじゃないに決まってるじゃん! アハハ! 他にも絶望の表情を見せるのはいるんだよ! 亜人も魔獣もモンスターもオークも皆絶望をするんだよ! アハハ!! 馬鹿だねエ! 理性があるから絶望するんじゃない!! 理性は絶望を助長させるだけ! 根本の絶望は生き物であれば変わりはしないんだよ! 根本の絶望は誰だって持っている! 生き延びようとする生き物だって死の前では見えにくいだけで絶望している事には変わらない! だからこそ獣だって私の作品の一つなんだよ! 馬鹿だあああ!!! アハハはあ! お前はバカだあああ!!」


ケタケタ嗤いながら足をバタバタさせていた。

そして


「変わらないよ……それに……罪のない人間だって? アハハハ! そんなのがいるはずがない! まあ君らには永遠に分からないだろうねえ!! まあいいさ! ゴミ!」


グシャアア!!


「あがあああああああああああああああ!」


啓示はロメイトの肩を切り裂いた。


「おやおやあ? イイヒヒヒヒ! 貴方ももしかして分かってきてない? 人を殺す快感!」

「勘違いするな、お前の様な趣味何て持ち合わせていない……お前の様な外道を簡単に殺してしまえばお前に殺された罪のない人達が報われない……お前はそれだけの罪を犯したんだ……お前はただ苦しみなく殺すわけにはいかない……お前はこれから激痛に苦しみ自分のしたことをその体で味わうんだな!」


それを聞いてロメイトは


「偽善め……」

「何だと?」

「偽善だと言ったんだ……お前はそうやって自分を正当化して人を苦しめて楽しみたいんだ……だからお前等には分からないって言ったんだよ……他の奴も止めようとしない……つまりはそういう事だ……」

「何だと!」

「お前等も同じだと言いたいんだ! お前等も私と同じだ! 人を正義の名の元に苦しめて殺したい欲求を誤魔化しているだけだ! 寄ってたかって皆で罪人を痛めつけて楽しみたいんだ! お前等に眠っている殺意と狂気を楽しみたい理由を偽善で誤魔化している! アハハハ! そうやってお前等も楽しみたいんだろ! そうやって相手を苦しめたいんだろ! そうやって罪びとを作って何としてでも絶望の表情を見たくて見たくて仕方ないんだろ! 貴様等だっていや他の奴等も私と変わりはしない! 分かっていないだけだ! 自分達のおぞましさを理解しようとしたくないだけだ! 皆で痛めつけることは皆が皆が心の奥底にあるのに自分を正義だと思っているだけなんだよ!!」


その言葉に啓示は


「違う! お前なんかと一緒にするな!」


と言って剣を振るおうとする。

舞は瞬間見えた。

ロメイトの足から光る何かを、そして刃が少し出てきた。

舞はその瞬間気付いた


(しまった! こいつ! 意識を逸らして啓示を!)


その刃を使って啓示の首元を狙って何かを飛ばそうとする。


「危ない!」


そう叫んで舞は啓示を突き飛ばす。


シュン!!


風邪を切る音がして舞の頬を何かが切裂いた。


「く!!」

「舞!」


啓示は驚いて尻餅をつく。

舞は頬を抑えながら


「大丈夫だ、頬を掠めて切っただけだ」

「へええ……いて……斬っちゃったんだあああ~」


とニタニタと嗤いながら舞をロメイトは見ていた。

そんなロメイトを不審に思い舞は切れた頬を見ると


「何だ……これは」


頬から何かが浮き出てきた。

何かの文字だった。

それは異世界で学んだ文字でこう書かれていた。


『強欲』


その文字が体中に広がっていった。



「アハハハハハハハ!! それはねえ! 悪魔から貰った魔剣なんだああ!!」

「魔剣だと……」


啓示も舞もその言葉を聞いた。

魔王を唯一倒せる武器は聖剣と魔剣の二つであると

魔剣については神様から詳しく聞いてはいないが悪魔から気に入られた者が貰う事が出来る武器だと聞いていた。

舞に広がる強欲の文字から


「いっつ!!」


激痛が走る。

その文字が舞を覆い始める。

ランチェルは


「舞! 大丈夫か!」

「糞! 何だこれは……」


そんな苦しむ舞を抱きかかえる。

しかし、ドンドンと苦しむ一方であった。

啓示は


「一体何をした! 魔剣とはなんだ!」

「え? ああ知らないんだあ! それを使うとね! 絶対にどんな存在も悪魔も魔王も神様も! 死んじゃうんだよ! 貴方の聖剣と同じようにねえ! 神の最強武器が聖剣なら悪魔の最強武器は魔剣なんだよ! だからその女は死ぬんだよおおおおおおお!! その絶対からは外れる事は出来ない!」


その言葉にランチェルは絶望した。

他の者も全員恐怖に落とされる。


「まさかそんな……」

「舞! 糞……どうして」

「嫌だ! 舞! 死なないで!!」


レジリア、ダべダルド、リストアは舞に寄り添う。

ランチェルは


「そんな……舞そんな……いやだ……」


と絶望しながら舞を見つめる。


「舞……すまない……俺が早く殺さなかったから」


と啓示は責任を感じながら膝を付いた。

舞はそんな二人を見て舞は笑顔で


「気にするな……魔剣があるなんて誰も思っていなかった……私も捕まえた事で安心しきっていた……油断するべきではなかったんだ……啓示……すまない……」


と申し訳なさそうに謝った。

ランチェルには


「お前にもすまなかったな……ちゃんと告白を答えてやれなくて……」

「そんなの良い! そんなの!!」

「いや……言わせてくれ……私もお前が好きだ……愛している……リストア……黙ってくれと言った事伝えてくれ」


リストアは舞を見ながら


「分かっダ……」


と泣きじゃくりながら頷く。


「あーあ、つまんね」


その空気を壊す様にロメイトはぼやいた。

ランチェルは


「何だと……」


と言うとロメイトは


「つまんねって言ったんだよ……絶望しないとか、もういいやお前もう死ね」


本気で呆れたようにロメイトは舞に言った瞬間


「ふざけるな……お前に……お前なんかが……舞を語るな……この! 糞野郎がああああああああああああああああああ!!」


そういってランチェルは拳を握ってロメイトの顔面に向かって放った。


ゴシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


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