依頼120『奪わさず奪う世界』
魔剣を持ってアメナガスは魔王に近づいた。
「な! ふざけるな! そんな! 馬鹿なあああ!」
と体を必死に動かそうとするが微動だにしなかった。
ナリアの方を見て
「貴様ああああ!」
と怒鳴るがナリアはニヤッとして
「無駄だよ、それは体じゃないからね」
その言葉に魔王は考えた。
(今なら間に合う! 絶対に! 殺されてたまるか! こんな子娘に殺されてたまるか! ふざけるな! この我を誰だと思っている! この世界を支配する魔王であるぞ! こんなところでええええ!)
「死ぬんだよ、君は……魔王ハーデス」
「!!」
「有名だよ、君は1000年前の敗北者としてずっと語り継がれるんだから」
「きっ貴様あああ!」
「それしか言えねえか! 情けねえ! ひゃあハハハハ!」
「じゃあ死のうか」
「や! 止めろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
必死に考えた結果魔王は
「そうか! 脳に! 直接か! 今なら間に!」
「動くのも分かるよ」
ブス!
「あが! ぐぐっぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
と全身に痛みが走った。
そして、魔王の体中に色欲という文字が刻まれていった。
そして
「イギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア! ぐそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! このわだじがあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
と悲鳴を上げて体が崩れていった。
デマフォスはその姿を見て
「かああああ! 良いねえええ! とても良いよおお!」
興奮しながら腹を抱える。
べクレール王は
「倒した……これで世界は救われる」
と涙を流した。
デマフォスは
「ああ、この世界は救われる、俺の世界に変わり救われるよ、感謝しろ」
その言葉にべクレール王は
「は? 何を言っている……そんな事許されるわけが……」
「はああああ! 契約書に書いていることを破るのかあああ! そうは出来ねえぜ! これはこの世界と我々魔界の規則であり人間も守るべき理だ! 貴様らにそれを避ける術はない!」
指を差しながらデマフォスはべクレール王に契約書を見せた。
そこには
『報酬は暗殺者の貰う予定だった物を渡して貰う』
と書いていた。
それを見てべクレール王
「はあ! ならば金だけだ! 貴様は金で世界を救って自分の仲間を殺したんだ! 金ぐらいくれてやる! ありがとうよ!」
デマフォスは嗤いながら
「なあ? 君達は金意外に何を願った?」
「一つお願いを聞いてもらう権利」
その問いに答えたのはアメナガスであった。
デマフォスはニヤリと嗤いながら
「つまり、我がこの世界を欲すればこの世界を貰う権利を頂けるってことだ! 契約は絶対! その為に全世界の代表である王に契約をさせたのだからなあ!」
その言葉にべクレール王真っ青になった。