依頼102『アメナガスのやり直し』
売られた私は敗北した。
もうすでに何の意味もなくなってしまった。
それはとてもとても苦しくて
何も考えたくない様な敗北。
もう何もかもが終わった。
あの後国はどうなったのだろうか……魔王はどうなったのだろうか……
まあ……それはどうでも良いか……
そう考えながら私は揺られていた。
妹も私の様子を見て何もかも諦めたようだ。
私達にはもう何もない
ああ……何て無駄な人生だったのだろうか……
「誰がお前等を助けるって言った……お前等は自分で勝利を得ようとしないだけだ、それが決定的に私達に敗北したんだ、そんなお前達を助けて私に何の得がある?」
その言葉を聞くまでは本当にそう思っていた。
彼女は確か主任の娘のナリア……そして妹のノリアだ……
彼女達も売られたのか……
きっと王と大臣の仕業だ……王は自業自得だが魔王が復活した際大臣は責任を取れるのだろうか?
この二人がいるという事はそういう事だ。
二人の目は私は輝かしくて輝かしくて羨ましく思い始めた。
彼女達は続けて言い放つ。
「お前等はこれから私達に奴隷として売られる、お前等は私とノリアが人生をやり直す為の資金として役に立つんだ」
「な! なんでえええ」
「だってお前等負け組だもん、だからあああ! あんた達は私とノリア姉の幸せの糧になるんだよ! だって君達負け組だもん! 私達みたいに自分達で何とかしようとも思わずただただ揺られてただけの奴隷でしょう? だったらいいじゃん! だから大人しくしてるんだよ?」
そうだ私はそうだった、今も……ただ揺られていた。
負けたぐらいで揺られていた。
奴隷を受け入れて揺られていた。
何もしようとせずに揺られていた。
ただ負け犬として揺られていただけだ。
その時私の心に少しだけ、
いや光が徐々に入り込み始めた。
一回負けたぐらいでただ揺られて奴隷に成り下がるなんて……私らしくもない。
私の目に光が戻る姿を見て妹もやる気を出したようだ。
だからこそ今は揺られよう。
私は二度目の敗北を彼女達に譲ることにした。
今じゃない、今勝利を掴むタイミングじゃない。
そして、彼女達もその警戒を解かない。
ならば、警戒心の薄い奴を狙え。
姑息に狙え。
そうすれば必ず活路が見えるはず。
今は待つための時間、我慢の時間だ。
さあ、私と妹を売ってください。
そしてお金を貰って貴方達が出た後私達は
「ウワアアアアアアアアアあああ!! 何をする! 止めろ! 警備ぶhばあ!!」
私は初めて人を殺した。
何てことのない殺人であった。
私と妹は元に戻れはしないがやり直せる。