表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JKなのに乙女ゲーの皇子様に転生しました  作者: 涼瑚
第一章、転生先の環境改善
1/20

1、転生先が残念すぎて泣けてくる

初投稿なので、至らない部分も多いかと思いますが、温かく見守っていただければ幸いです。

 絶え間なく襲ってくる鈍痛。

 この苦行は、いつまで続くのであろうか。この脆弱で幼い身体で、これ以上耐えられるのだろうか。

 …ん?()()()()()

 それは()()()して?()を基準として?()は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とでも言いたいのか?


 思考に生まれた僅かな齟齬が綻びを生み、それが亀裂にまで発展するのにさしたる時間はかからなかった。亀裂は混乱を生み、思考は混沌に放り込まれる。

 自身でも制御不能な程に、思考が乱れ。

 突如として生じた痛みに、それらが瞬間に整列を為した。

 それまでの鈍痛とは比べ物にならない鋭さのそれ。まるで、何本もの針で脳を貫かれたかのような。

 同時に、大量の映像や感情が雪崩れ込んで来る。恐らくは「記憶」と呼ばれるもの。こことは違う異国の情景。鏡に映る、自分でない誰かの顔。それら数々の記憶は、持ち主の出生から始まり、時系列順に進んで行く。

 そして、「一生」と呼ぶには少なすぎる記憶の後、突然に、破局は訪れた。



「行ってきまーす…って寒っ!」


 早朝のキンとした空気が肌を刺し、私は身をすくませた。当たり前だが冬の空気は寒い。そして朝の5時半ともなれば更に寒い。こんな状況で駅までの20分間を歩き続けなければならないとか何の拷問だ。

 おまけに、昨夜寝たのは夜中の1時、つまり私の睡眠時間はたったの四時間半。お陰さまでこれ以上ないほど眠い。

 そんなことを考えていた私は、居眠り運転のトラックがこちらへと突っ込んで来ることに気付かなかった。


 というわけで。


 私こと桜田かなで、焦げ茶の髪と同色の眼を持つ高校二年生のどこにでもいそうな日本人。享年は16歳。


 …が、自分の前世だということを、つい先程思い出した。


 こちらはどうも所謂「異世界」らしい。文字はアルファベットに似ているが、話し言葉は日本語。因みにどういうわけか、文字は見るだけで意味が頭に入ってくる。

 そして、こちらでの「私」は、ジュエリー帝国の第一王子、クラウス・フォン・ダイヤモンド、現在の年齢は二歳。どうやら高熱をだし、それがトリガーとなって前述した内容を思い出したようだ。

 さらにここは前世の妹がやっていた、「ジュエリーラブ~宝石のような煌めく恋~」というホワイトチョコレートのごとき甘々のネーミングをされたゲームと一致している。

 そして、私ことクラウス・ダイヤモンドがゲームの中の攻略キャラの内の一人だったのである。

 ゲームの主なストーリーは、下級貴族出身の主人公、エイレン・フォン・ルビーがジュエリー帝国立学園で、王子達をはじめ、美貌と地位を併せ持った攻略キャラ達といちゃいちゃしつつハッピーエンドを目指すという超ありがちなもの。攻略キャラは四名おり、うち一人と結ばれる個別ルートと全員と結ばれる逆ハーレムルートの合計五つのルートがある。


 攻略キャラの一人は前述した通り第一王子のクラウス・フォン・ダイヤモンド。癖のないプラチナブロンドの髪とワインレッドの瞳を持つ、神の祝福を集積したかのような美青年。文武両道を体現したかのようなバランスのいい優秀さだが、突出した才能が無いことを気にしていて、自信がない。異母弟に対して強いライバル意識を持っており、冷淡に接している。性格は俺様的で、帝位継承権に執着している。


 二人目は第二王子のアレクシス・フォン・ダイヤモンド。クラウスとよく似た容貌であるが、常ににこやかにしているため、雰囲気は全く違う。ふわふわとしたハチミツ色の髪と桔梗色の瞳を持ち、社交性がある。絵と弓術が得意で、特に弓術は国内で最優秀とされる。クラウスとは数ヵ月しか歳が離れていない。皇室の血を引いていることを負担に思っている。


 三人目は次期宰相と名高い、フィリップ・フォン・エメラルド。キャラメル色の髪と青緑の瞳の真面目な青年で、大人顔負けのとても頭が切れる賢さを持つ。やや頭が固いところがあり、型にはまったような性格。切れ長の目が冷たそうな印象を与えるが、根は優しい。アレクシスの友人。


 四人目は、ジュエリー帝国軍元帥の息子で近衛騎士団長の弟にあたる、ルーファス・フォン・ガーネット。日にあたると紅く見える焦げ茶の髪と、オレンジの瞳の活発な青年。すっきりとした付き合いやすい性格で、少し考え方に単純なところがある。武術全般が天才的で、弓術以外は父親と兄も舌を巻くほどの腕前。フィリップと同じくアレクシスの友人。

 

 以上が私が知っている情報達である。自分でプレイしていたわけではないが、暇潰しに妹がやっているのを眺めていたため、この程度の知識はある。

 まあ、絵にかいたように有りがちな設定たちである。…が。

 何でクラウスだけこんなに残念な設定なの?ねえ、設定スタッフ何やってんの?他の三人に比べて精神的に未熟すぎません?てか何で一人だけぼっちなん?

 これは前世からの疑問である。

 いや、本当にクラウスのルートはろくなものがないのだ。ハッピーエンドは帝位継承権を弟に譲って市井に下り、エイレンと結婚する。

 …いや、プロフィールに「帝位継承権に執着している」って書いたるでしょーが!にも拘らず放り出して市井に下るって…。てか「皇室の血を負担に思っている」弟に押し付けるとか酷くね?いやおかしいだろ!

 前世でこの疑問を妹にぶつけたら、「それくらいエイレンのこと愛してるってことでしょ!」と返された。そういうもんなのかな?

 バッドエンドの場合は、思い詰めたクラウスがアレクシスを密かに殺害するが、フィリップに見破られ、論破され、逃げようとするもルーファスに打ち負かされ、処刑される。

 因みにこれはアレクシスルートのバッドエンドと同じ。そしてそのハッピーエンドでもクラウスはアレクシスを襲い、怪我をさせて精神病院送りになる。

 他の二人の個別ルートではアレクシスは登場するが、クラウスは名前程度しか出てこない。。ただ、どちらも最後の方で何故かアレクシスが皇帝となっており、クラウスの人生がろくなものになってないであろう事は想像できる。そして残念ながら逆ハーレムルートは私の死亡当時妹が未攻略だったためラストがわからない。

 整理すると、私の末路は、

 1平民になり、エイレンと結婚する。

 2弟を殺し、処刑される。

 3弟を襲い、精神病院行き。

 4不明。

 …まともな未来無くね?

 まず1は論外。ゲームの中の「クラウス」ならともかく、私の精神的な性別は女性で、同性愛の趣味はない。

 だからといって2と3も嫌だ。4はどうなるかわからない分余計怖い。

 さて、どうしたものだろうか。

読んでいただき、ありがとうございました!面白かったらブックマーク&評価、お願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ