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地球外生命体が魔法を持ち込んだ世界線  作者: 月影魁斗
第一章:魔導大会編
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Ep.5 魔導大会 2

今回のお話は、梨絵VS雷人の決着!!

そして、天音VS朝菜の対決です!!

本格的にバトルシーンを書くの、難しい…

「何故梨絵ちゃんが!?どういうことだ!!」

魁が氷牙に尋ねる。

「本人の希望でな、空きが出来たので入れておいた。見ての通り実力も申し分ない」

「だが彼女は一般人だ!!」

「そういう差別は嫌いじゃなかったのか?」

「それは...」

魁は答えれなかった。

『覚醒者』という差別言葉は嫌いだ。

その言葉のせいで、魔導師が縛られてしまう。

だからこそ教える立場についたというのに。

「今はとにかく、貴様は教師として彼らを見守れ、雷獣」



「月夜さん、あの子は一体何者なの?」

朝奈が月夜達に尋ねた。

「剣梨絵さん。雷人の幼馴染です。魔力は持っていませんが、魔力感知と魔力視が使えます」

大樹がそれに反応する。

「それって、ありえるのか?」

「霊感、といわれる類の一種かと。魔素の存在で霊的要素は証明されてますから」

人の強い思い、いわゆるこの世への未練に魔素が反応し、霊として現世に留まるのだ。

「梨絵の感知力は月夜に匹敵するからね、雷人じゃ裏をかくのは不可能ね」

天音が説明を付け足す。

しかし、朝奈がもう一つの疑問を投げかける。

「そうだとしても、あの攻撃を耐えれる理由にはならないわ。魔装具の質が高すぎる。あんなものが存在すること自体が信じられないわ」

月夜がそれに答える。

「魔装具は本来、ある程度の魔法防御を得る装備。魔力を持たない人間や、コントロールが出来ない魔導師が着けるのが一般的です。ですが、あそこまで強くなる魔装具はあり得ません。あんなものが世の中に出回れば、軍事バランスが崩壊します」

魔装具は補助的な役割しか持たない。一般的に使われているのはその類いだ。

レベルもプラス10程度が限界だ。

「レベル1をレベル185くらいにしてるよねー。まあ、梨絵のセンスもあるんだろうけどさ」

と、天音が答えたところで、朝奈がもう一つの疑問を投げかける。

「それにあの魔装具、何だか変ね」

「変?どこがだ?」

大樹が分かっていないのか、尋ねてくる。

「防御してるってことは、ある程度ダメージは入ってるはずなのに、本人は勿論、魔装具自体にダメージが見られない」

「極端に防御力高いんじゃねえの?」

「それだけだといいけど...」



「どうやってその魔装具を手に入れた?」

「私に勝ったら、教えてあげる」

梨絵は余裕な返事だ。

何度か雷で牽制しているが、木刀で雷を切っている。

しかし、ある程度飛び火しているはずなのに、ダメージが見られない。

何かがおかしい。

「...ちょっと試すか」

雷人はただ魔力で強化した殴りを入れる。

「おっと!」

梨絵は腕で殴りをガードする。

やはり見切られるか。だが...

魔法を帯びてない自分の腕力分のダメージは通ってるようだ。

少しだが痛がってる。

ただ、魔力で強化された分のダメージがない。

「女の子に殴るとか、酷くない!?」

「あれ、女の子なんていたか?」

「はい殺すー」

梨絵は一瞬で距離をつめ、連続で斬りかかる。

「待て待て!なんでそんな速度で!?とても人間とは思えねぇ!」

「また悪口!もう許さない!」

隙のない連撃が雷人を襲う。

だが、雷人は笑っている。

「かかったな!この距離なら避けれないだろ!」

「え?」

梨絵には申し訳ないが、ちょっと強めの技だ。

攻撃を受けながら手に溜めておいた魔力を一気に放つ。

「雷魔法『雷波(らいは)』!」

射程は短いが、広範囲に拡散する雷だ。

これはさすがに...

「それがどうかした?」

完全に油断していた雷人に一撃が入る。

「...っ!」

雷人は梨絵に目をやる。

全くダメージが入っていない。

「ふう、今ので確信した」

間違いない。

あの魔装具には『身体強化』と『魔力無効化』が付与されている。

前者は、魔装具なら比較的付いてる効果だ。ただし、今の梨絵ほどの強化は異常だが。

問題は後者。『魔力無効化』は魔素を媒介する全ての技のダメージや効果をカットする。魔導師キラーそのものだ。

そんなチート級な効果を付けれる魔導師は、この世に一人しかいない。

「あのくそ姉貴...」



「バレたねー」

「バレましたね」

神奈と波鈴が横目で玲華を見る。

「そりゃバレるわよね」

玲華は全く態度を変えることがなかった。



「姉さんがどうやって梨絵を出場させたか気になるところだが...!」

雷人は梨絵に向き直る。

「今は集中だな」

「魔法もダメ、身体強化しても魔力視で丸見え、どうするのかな?」

梨絵が余裕の表情で雷人を見る。

「そんなの一択しかないだろ?」

雷人が構える。

「素手あるのみ!」



梨絵の高速の連続斬りに素手で対抗する。

あーくそ痛えええ!!!

木刀で撲られてるのと一緒だ。

魔力で痛み軽減の回復魔法を施しながら戦うのがやっとだ。

「まさか梨絵がここまでやるとはな」

「でしょ?でも、もう終わりだよ!」

雷人はステージ端まで追いやられた。

あと一撃喰らえば場外で負ける。

こうなったらもう...奥の手を!!

「終わりー!」

梨絵が上から渾身の一撃を振り下ろす。

雷人は片膝付いて、両手でガードする。

「諦め悪いね!まだ戦うの?」

梨絵が問いかけてくる。

作戦実行!

「あんまり木刀振り回すなよ、せっかくの可愛いところが台無しだぞ?」

「か、可愛い!?」

梨絵な頬を赤くし、表情が緩む。

やっぱりな。

身体強化で素早く後ろに回り、梨絵を軽く押す。

「あ!!」

「些かズルいとは思うがまあ、許せ」

と雷人が言うと、梨絵が服を掴んできた。

「え?」

「みーちーづーれーだー!!」

えええええええ!!

まあ、そのまま落ちれば俺の勝ち...

と思いながらも、無意識に梨絵を庇うように下に落ちた。

「場外!剣聖選手の勝利です!」

会場が歓声で沸く。

「...ねえ雷人、どうして庇ったの?そのまま落ちれば勝ちだったのに」

と、上に抱き抱えている梨絵が尋ねる。

「さあな、無意識に梨絵を守んなきゃってな」

と、雷人が笑いながら答えた。

「もう...ばか...」

梨絵は赤くなりながら返事をするのであった。




拍手を受けながら、二人は4人のもとに向かった。

天音が近付いて労いの言葉をかける。

「さすが梨絵!雷人ボッコボコだね!ぷぷー」

雷人は「うるせー」としか返せなかった。

「今回ばかりは当たらなくてよかったと思ってます」

次に月夜が声をかける。

「ふっふっ...雷人の攻撃なんて単調で簡単だもんね!」

「でも最後は意外だったろ...いって!殴んな!」

梨絵が雷人を遮るように一発かます。

「あれはズルい!」

「雷人何かしたの?」

天音が二人に尋ねる。

「いやな、木刀振り回すからさ、せっかくか...」

「あーあーあー!言うなー!!」

4人が会話してるところに混ざってきた二人。

「...さっきの戦いが嘘みたいですね」

「あ、貴女は...えっと、朝奈さん?と大樹さん?雷人がお世話になってます」

「母親かよ」

梨絵がお礼をしてるところに雷人が突っ込む。

「もっと軽くでいいわよ、梨絵さん。貴女の剣術素晴らしかったわ」

「そうかなー?」

えへへと梨絵は手を頭の後ろにやる。

「朝奈も結構強いんだが、それに劣らなかったぜ!」

「いえ、正直私以上だったわ。あれを全て受けきるのは難しそうだもの」

「そんなストレートに誉められると照れるなー」

三人が話してる様子を見ている三人。

「梨絵は仲良くやれそうだな」

雷人が天音をからかうつもりで言う。

「うるさいなぁ、向こうが張り合うんだもん」

「貴女も張り合ってるでしょうに...」

月夜も天音をからかうように言う。

「いいの!それより朝奈!覚悟はできてるでしょうね!?」

天音が朝奈に指を指す。

「ええ勿論。光だからと負けるつもりは毛頭ないわよ」

朝奈も腕を組んで答える。

司会のアナウンスが聞こえる。

「15分間の休憩の後、第二回戦を始めます!」


「あれ?そいや大樹、お前の試合は?」

「お前らが長かったから、別会場で終わったよ!勝ったけどさ!」




「さあ、二回戦第二試合です!」

天音と朝奈がステージに上る。

「ライトサイド!一回戦でグリズリー選手を瞬殺!世界で一人の光属性の魔導師!魔法少女アマネ選手!レベル180!」

この大会で一気に人気者だな。

それだけ光属性のインパクトがあったのか。

「対してレフトサイド!一回戦では華麗な水魔法を使いこなし勝利!汐朝奈選手!レベル182!」

月夜曰く「洗練された力強い魔法を使います」とのことだ。

さて、どんな戦いになるのやら。


「さーて、私の攻撃、耐えられるかな?」

天音が手を前に構えて、魔法を放つ。

「光魔法『光の矢(ライトアロー)』」

「くっ...!」

朝奈は何とか回避する。

「よく避けれたね。まだまだいくよ!」


「へぇ、あれをかわすのか」

雷人が感心していると、

「だろ?うちの村で祀られてる水神様の加護を受けてるからな!」

と、大樹が自分のことのように自慢する。

月夜が何か引っ掛かったのか、質問する。

「と言うことは、村で一番の魔導師ということでいいのですか?」

「ああ、大人もあいつには敵わなかったぜ」

確かにそうだろうな。ただ...

「そうだとしても光魔法を避けるには、タイミングを完璧に掴むか、魔力視で先読みくらいしか...」


天音は『光の矢(ライトアロー)』を次々に放っている。

朝奈は防戦一方だ。

「...ふう」

朝奈は動きを止めた。

「あれ?諦めたの?思ったより早かったなー、じゃ終わらせるね」

天音が先ほどより溜めに入っている。

「私の魔法をあそこまで回避したのは、誉めてあげる。そこそこ楽しめたよ」

朝奈は、水の球体を作り出す。

魔力球(マジックボール)?」

「いい?光と水では、水のほうが強いのよ」

朝奈が不敵に笑う。

「じゃぁ、見せてみてよ!『光の矢(ライトアロー)』!」

光速で放たれた魔法は、微動だにしてない朝奈を逸れて、あらぬ方向にぶつかった。

「なっ...!どうして!?」

朝奈が笑って答える。

「光の屈折。習わなかった?」

会場は盛り上がってるが、天音は不満な様子。

「でも、正確に魔法の位置を把握して、的確な角度で...まさか!?」

朝奈は自分の目を指しながら答える。

「魔力視。付け焼き刃で精度はいまいちだけど、避けながら何とかマスターしたわ。これなら戦える」

「このぉ...!」

天音が『光の矢(ライトアロー)』を連続で放つが、全て逸らされる。

「当たらない...!」

「どうしたの?自慢の光魔法はこの程度?」


「朝奈さんすごいね!魔力視使いこなしてるよ!」

梨絵が感心してるなか、月夜は冷静に分析する。

「光魔法は性質上、直線にしか放てませんからね。魔力視と光の屈折を組み合わせるとは、非常に面白いです」

新たな戦法を見れて、月夜も嬉しいようだ。

「だろ!?朝奈すごいだろ!?」

大樹が自慢する。

「だから何でお前が誇ってるんだよ」


「...ふふふ」

天音が笑った。

「なによ?なにかおかしいの?」

朝奈の問いに天音が意味深に答える

「いやー雷人か月夜に残してた『アレ』を使うことになるのかーってね」

朝奈が少し不満そうに反応する。

「残してた?本気じゃないとでも?」

「まあねー...これ、朝奈に止められるかな?」

天音が両手を前に構えて、呼吸を整える。

「すぅー...はぁ...」

朝奈は感じ取った。感じ取ってしまった。

「魔素が天音に集まってる...何をするの?」

「はぁっ!」

と天音の掛け声と同時に術が完成する。

「...冗談じゃないわよ」

朝奈は笑うことしかできなかった。

「光魔法『光装(こうそう):オーディン』」


大樹は軽く腰を抜かしている。

「嘘だろあれ...」

「『光装:オーディン』周りの魔素を取り込み、魔装具を作り出す。」

雷人の説明の後、月夜が続けて言う。

「魔法防御は勿論、物理防御も梨絵さんが着けてた魔装具と比べ物になりません」

魔素100%の魔装具は、魔素との繋がりが深くなければならない。

繋がりが強ければ強いほど、魔装具も強くなる。

「私のは『無効化』が付いてたから戦えたけど...」

と、梨絵が言うと、雷人が答える。

「それも十分チートなんだがな、あれはそういうんじゃない」


「くそっ...!」

まるでびくともしない。

攻撃は当たっている。無効化されている様子も見えない。

純粋な魔力の差。

「ほらほら!曲げてみなさいよ!」

天音自身も亜光速で動いている。

「魔力視で...!そんな...」

朝奈には、あらゆる方向からの光魔法の攻撃が見えた。

月夜や梨絵同等の精度があれば、『どの順番で攻撃が到達するか』も見ることができる。

だが、付け焼き刃の魔力視では、見ることが出来ない。

「このままじゃ...」

圧倒的敗北のイメージ。

朝奈は、村での類いまれな才能の持ち主で、村の守り神として祀られてる『水神龍』の加護を受けた。

水神龍が作ったとされる刀を使うため、剣術も磨いた。

彼女の村は、魔素の濃度が濃く、魔導師が多かった。

その村の魔導師の誰よりも強かった。

大人にも負けたことがなかった。

なのに、自分より強い魔導師を見た。

自分より強い剣士を見た。

今まで築き上げたものが崩れ去りそうだった。

なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!!

「力ヲ...欲スルカ...」

何でもいい!強くなる力を!

「力ガ...アレバ...!!!」

もうそこに朝奈はいなかった。

いかがでしたか?

ちょっとだけシリアスな内容になってしまいました…

一応、続きはすでにある程度完成してるので、そこまで待たせずに公開できるかなと思います。

ぜひご期待ください!!

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