Ep.3 レクレーション
今回は、今までの倍の量になりました(文字数的に)
レクレーションを行うので、登場人物たちの強さがわかります!!
中には規格外も…?
レクレーション当日。
雷人、天音、月夜は驚愕した。
てっきり本気で戦えると思っていた三人は、目の前の光景に落胆した。
そこには、パソコンとディスプレイが一台ずつ置いてあるのみ。
しばらくして、魁と一人の女性が入ってきて、生徒を席に着かせた。
「今日は、この魔力測定器でみんなの魔力を測定する。こいつに手をかざすんだ」
そういうと、水晶玉を取り出した。
魁が教壇で解説している。
魔導士の力量は、魔力をレベルとして指標化し、決められる。
数年前まで、戦ったり、伝説の5人が魔力感知で鑑定するくらいしか、計る方法がなかったのだが、最近になって、魔力測定器が開発された。
魔導士がこの水晶に触れ、魔力を注ぐことで魔素が運動し、その運動量をレベルにして表示する。
魁が、説明している間、女性がパソコンと水晶を繋ぎ、カタカタと準備をしている。
「レベルを計る目的だが、レベルに応じてクラス分けをするためだ。自分に合った修行をしないと、身に付くものも付かないからな。何か質問はあるか?」
咄嗟に天音が手を挙げる。
「試合とかはないの!?」
「初日から怪我するかもなのにするわけないだろう。それと、なるべく敬語でな」
ごもっともな回答だ。天音はしゅん、と落ち込んだ。
「準備、終わりましたよ」
と、準備をしていた女性が、魁に報告し、横に立つ。
「おっと、忘れるところだった。彼女の紹介がまだだったな」
そういうと、少し前に出るように彼女を促した。
「彼女は『万屋波鈴』。この学校で、図書室の管理をしている」
大人しめな大学生のような恰好で、黒く長い髪を後ろで結っている。
「よろしくお願いします」
と、彼女は一礼した。
「彼女には、記録係を行ってもらう。因みにレベル60くらいが平均的な魔導士のレベルだ」
「よし、そしたら水晶に魔力を流し込むイメージを…」
男子生徒が、少し腕を力ませる。
「レベル63。Cクラスだな。それと火属性だ」
生徒は一息つくと、席に戻っていった。
魔力測定と同時に、その人の属性も診断することができる。
魔力のコントロールを学ぶだけなら、属性を知っておく必要はない。魔法を使うことがないからだ。
しかし、魔法学校で魔法を習うならば、自分が持つ属性を知る必要がある。
「お、レベル75。なかなかの魔力だな」
次の女子生徒は、そこそこの魔力の持ち主のようだ。
「それと、風属性だな…うん、君はBクラス」
次の男子生徒が手をかざす。
「…おお、レベル83、土属性か。Aクラスだな」
そうやって淡々とレベルを計っていく。
そして、ラスト5人になった。
残ったのは、雷人、天音、月夜。
それと、女子生徒と男子生徒が一人ずつだ。
「さて、君たちは少し周りと違うからな、機械の調整が必要だ」
そう言うと、波鈴に指示を出した。
雷人は、少しだけ不思議に思った。
天音や月夜が残るのは、わかる。二人は確かに強いし、特別だからだ。
だが、残り二人の存在が不思議だ。魔力感知を使ってみたが、隠しているのか、いまいちよくわからない。
梨絵や月夜くらい高度な感知があれば分かるんだろうけどな。
そう思い、月夜に尋ねてみたが、直ぐにわかるわよ、の一言のみだった。
「名前を呼ばれたら、前へ」
魁が言い、一人ずつ呼び出していく。
「霧島雷人」
『霧島』という苗字に生徒たちが反応する。
「いいのかよ先生、息子ってばれたぞ?」
「いつかばれるんだ。早いか、遅いかだ。いいから、手をかざせ」
雷人は、言われた通り、水晶に手をかざす。
「霧島雷人。レベル183、属性は雷」
生徒たちが騒ぐ
おおーっ!と言うものや、嘘だろ!?と言うものや、反応は様々。
「さぁ、次は、光井天音」
はい!と元気よく返事し前へ向かう。
さっきまで、戦えないと落ち込んでたのに、雷人のレベルを聞いた途端に機嫌を直した。
天音が、水晶の前に立ち、手をかざす
「光井天音。レベル187、属性は『光』」
再び生徒たちが騒ぐ。
属性は一人一つと決まっており、大抵の魔導士は『火』『水』『風』『土』の4つのうちのどれかである。
因みに、『雷』属性も4つの属性ほど多くないが、珍しい属性ではない。
だが、天音が持つ『光』属性は、今まで確認されていない。彼女のみが持つ属性だ。
ほとんどの生徒が、光属性という言葉を聞いたことが初めてであろう。
ご機嫌な天音が席に戻る。
「取り敢えず、一勝ね」
天音が雷人を挑発した。
雷人はうるせっとしか言えない。何をいっても負け犬の遠吠えになる。
「静かにしろーい。次、汐朝菜」
すらっとした体で、ショートヘアの女子生徒が前に出る。
「よろしくお願いします」
一言添えて、手をかざす。
「汐朝菜。レベル185。属性は水」
レベル185!?俺より上!?
雷人は勿論、天音や月夜も驚いた。
どんなに強い魔導士でもせいぜいレベル150が限界である。
さらなる修行や、特別なきっかけがない限り、レベル150の壁は超えられない。
朝菜が雷人たち3人の横を通る際、目が合う。
お互い何も言わず、そのまま通る。
「次、谷住大樹」
見た感じ普通の見た目をしているウルフヘアの男子生徒だ。
どことなくワイルドっぽさは感じるが。
水晶の前に立ち、手をかざす。
「谷住大樹。レベル180、属性は土」
レベル180!?またかよ!!
相当だが、さっきのが衝撃すぎてリアクションできない。
自分たちに匹敵する魔力を持つ魔導士がまだ存在するとは、思いもしなかった。
雷人たちが、そう考えてると、
「最後。黒部月夜」
呼ばれた月夜は、水晶の前に立ち、手をかざす。
「あの…私の属性は…」
「わかってるよ」
魁がそういうと、結果を読み上げる。
「黒部月夜。レベル190。属性は『不明』」
さすがの一言。彼女の持つ魔力を考えれば当然だが、負けるのは悔しい。
雷人は三人の中で一番弱い、と痛感した。
これで、生徒の中では、月夜が一番強いことが証明されたわけだ。
だが…
「さて、最後の5人は、特別クラスだ。ちょっと特別な授業を行う。また、レベルはあくまでも目安だ。その日の気分や調子で、レベルは前後する。覚えておくようにな」
全員が返事するとその後、一人の生徒が質問する。
「先生たちのレベルはどのくらいなんですか?」
伝説の5人と呼ばれた魔導士のレベルだ。気になるのが普通だ。
気のせいか、さっきの朝奈という生徒も反応している。
「そうだな…ついでだしやっておくか」
魁がそういうと、水晶に手をかざす。
「波鈴ちゃん、読み上げてくれ」
「はい。霧島魁。レベル250、属性は雷です」
もはや驚くというより、恐怖だろう。
雷人もまた、父親とこれほどの差がまだあることに唇を噛む。
「流石だね、お父さんは?」
天音が雷人に尋ねた。からかってるのか、励ましてるのか。どちらかは分からないが、彼の返事はただ一つ
「ぜってー追い抜いてやる。お前らもな」
雷人が改めてそう決意したと同時に、魁が雷人たちも予想しないことを言い出す。
「波鈴ちゃんもやってくれるかい?」
「…了解です」
まじかよ、話すのか、あの事を。
波鈴が水晶に手をかざす。
「伝説の5人は、4人ともレベル250前後だ。賢者もそうだろう」
皆、話に聞き入っている。
「だが、世界には俺たちを遥かに超える魔力を持っている者がいる。彼らは『超越者』と呼ばれ、世界に3人しかいない」
この流れから考えられることはただ一つだ。
「万屋波鈴。彼女は超越者の一人で、レベル53万3200だ」
昼休み。剣ベーカリー魔法学校出張店に生徒達が並んでいる。
剣ベーカリーは、梨絵の両親が経営するパン屋だ。
霧島家とは、家族ぐるみの付き合いで、魁が売店をお願いした。
両親は、本店を離れられないので、梨絵とその姉が、販売をしている。
因みに、経営に当たっての諸費用は全て学校負担。
というよりも、ほぼ魁のポケットマネーである。
「お!来たね三人とも!」
梨絵が雷人、天音、月夜を迎える。
「よう梨絵、来たぜー」
「おっ久!梨絵ちゃん!」
「久しぶりね、梨絵さん」
数日ぶりというのに、何年も会ってなかったような気がする。
「雷人はチョココロネで、天音がメロンパン、月夜はクロワッサンだよね?」
どこからかパンが出てくる。
「もしかして取っといてくれたの?ありがとうー!」
天音が思わずハグする。
「私の作ったやつだから、お店には置いてないの。特別だぞ☆」
梨絵もウインクして、もっと誉めてアピールしている。
「ありがとう梨絵さん。お代は確か...」
月夜がお金を渡そうとすると、梨絵が止める。
「いーよいーよ、練習で作ってるから」
「ダメです梨絵さん。いつもそう言って受け取らないので、今日は受け取らせますよ!」
月夜は真面目なので、お金を出そうとする。
梨絵は今日押し負けたみたいだ。しぶしぶ受け取っている。
「ほら、梨絵も行きな!店は姉ちゃんに任せな!」」
姉の梨亜が促す。
「じゃあ、行ってきます!」
中庭の木陰に4人で座っている。
季節は春。非常に過ごしやすい昼休みだ。
「ねえ、今日は何やったの?」
梨絵が三人に尋ねる。
「レベルの測定だよ。魔力の強さを数値化するんだと」
雷人がざっくりと教えた。
「へ~。皆のレベルはどのくらい?」
「私は187!」
メロンパンを食べながら天音が答える。
「私は190です。因みに魔導士の平均は60くらいです」
月夜は、しっかり平均も添えて教えた。いつの間にかクロワッサンが手元から消えていた。
「…183」
雷人が少し顔をしかめながら答える。
「わぁ、皆すごいね!私はいくらなんだろ?」
普通の人間は魔力を持たないので基本はレベル0だが…
「『魔力感知』と『魔力視』を持ってるからー、1はあるんじゃない?」
天音が答える。確かにおそらくその結果が出るだろう。
正直、そればっかりはわからない。
「ま、いつか機会があればやってみるよ」
梨絵が魔力を持っていたら、月夜と同じくらいか?
少なくとも、魔力視がある。レベルは当てにならないか。
そういえばー、と天音が話題を変えた。
「あの二人、何者なの?」
「あの二人って誰?」
事の顛末を知らない梨絵が天音に尋ねた。
「私たちと同じくらいのレベルの魔導師がいたの!180と185で、名前はー...何だっけ?」
「汐朝奈、水属性でレベル185。谷住大樹、土属性でレベル180」
月夜が解説する。
彼女は始めから彼らの実力を把握していた。
レベルと感じた魔力を頭で上手く紐付けしているのだろう。
「え、ほんとに!?みんなと変わんないじゃん!」
梨絵も三人の強さを見ている。どれほどの強さなのかは、ある程度想像がつく。
「雷人...大丈夫?」
梨絵が心配そうに聞いた。幼なじみだからこそ感じるものがあるのだろう。
「心配ねーよ。負けねぇからな」
雷人は梨絵に笑って答えた。
「...うん!問題なさそうだね!」
答えと笑顔を見て、梨絵も安心した。
「梨絵ー!ちょっといいー?」
姉が呼んでいるのを聞いて、梨絵が席を立つ。
「あ、じゃあね皆!また明日ね!」
手を振って、梨絵はその場を離れた。
もうすぐ午後の授業。
大したことはしない。普通の高校と同じような授業が待っている。
三人とも昼食を終え、教室に向かうのだった。
次の日
特別クラスの5人が集められたのは、室内だった。
他のクラスは屋外での実習中だ。
この学校では、国語、数学などの通常の授業は、午後の時間に週二回しか行われない。
それ以外の時間は全て魔法の授業だ。
それなのに室内でとは、正直予想外だった。
「貴女は朝菜…だっけ?」
天音が朝菜の前に立つ。
「そういう貴女は天音…だったかな?」
答えてあげるだけ、優しいんじゃないか?と、雷人は思った。
「言っとくけど、私の方がレベル高いんだからね?」
「レベルは多少前後する。数レベル差なんてあてにならないわよ?」
一触即発の空気。できれば、関わりたくない。
「よっ!お前は…雷人くんだっけか?『雷獣』の息子の」
大樹が雷人に寄ってきた。
「雷人でいいよ、大樹くん…だったか?男同士、仲良くしよう」
試しに、と雷人が手を差し出している。
「だな、あと、大樹でいいぜ、よろしく!」
大樹は握手で返してきた。
意外といいやつだな、と雷人は少しほっとした。
「朝菜さんと仲がいいんだな」
「まぁ、同郷でね」
二人の関係性が知れただけ、大収穫だ。
さっきから、月夜は傍観してる…いや、観察か?
魁が教室に入ってきた。
「よし、早速このクラスの授業の説明をしよう!」
魁がチラシを5人の前に見せる。
「あっ!これって!!」
天音がチラシを奪い、まじまじと見ている。
「ちょっと!うちらが見れないでしょ!」
朝奈が天音から奪い返す。
「どれどれ...!こいつはいいねぇ!」
大樹はチラシを見てにやけている。
雷人と月夜もその後見せてもらった。
「これはつまりそうゆうことですか?」
月夜が魁に質問をする。
「そうゆうことだ。お前達はレベル180以上の魔導師だ。そんな奴らに今更教えることは何もない。強い奴との戦う。一番単純かつ、効率的だ」
軽く咳払いした後、魁は告げる。
「今から『魔導大会』に出てもらう!」
まず、月夜の属性発表できず、すみませんでした!
彼女の能力や魔法の設定上、もう少しだけ延ばしました。
その分、かなりずるい?魔法を使いますよww
そして、新しいキャラクター「汐朝菜」「谷住大樹」「万屋波鈴」が登場しました!!
雷人達と同級生になる二人もレベルが高いだけに、ちょっと特別な設定があります!
波鈴さんは超越者ということで、「チート」タグがやっと出てきますw
波鈴さんと残りの超越者たちとの関係性も、次回書くかもしれません!
実は、一人はすでに登場していたり…
次回は、魔導大会編です!