王国のダンジョン
「わぁ~ここが迷宮かぁ。思ってたのより広いし明るいね。」
そう、この迷宮は、洞窟と言うよりかは、神殿のような石造りで、薄橙色の壁はかなり昔のものだと思う位のボロボロさだった。
「確か、ここのボスはまだ討伐前だった筈だから。今回はお兄ちゃんが戦うんだよね?」 と、私のとなりに居る出雲が、しょうにぃに話しかける。
「あぁそうだな。この前の昂灼馬のときが雫だもんな。そういえばだけど、ここのボスってどんな奴なんだ?」
それには後ろに居るシャルが答える
「確か|双角梟《クロムナウ》だったと思います。その他に奥の奥には海蛇龍、そして熔岩獣がいます。気を付けましょう!」
最後尾であるシャルが言うと説得力に欠ける気がする。まあ、そんなことは良い、
そんなことを考えていたら早速、初戦闘の始まり。私は、手を出さないけど、
「ほらしょうにぃ、行ってこい」
と、武器屋で貰った剣を渡した。しょうにぃの相手は赤の大蛇が数体だった。
「ふぅ、さぁ、いくぞ?はああ!」
気合いを入れ直し、剣を構えた。
「まずは頭を狙って。っと」
構えた剣で、頭を跳ねる。しょうにぃは、そのまま消滅したことを確認して次の敵へと標的を変えた。
「一気に畳み掛ける!」
しょうにぃが囲まれた。と、思った直後、円状の斬撃の波動と共に一気に相手が倒れた。
「さすがだねしょうにぃ。」
さらに続けて、出雲が言う。
「剣撃がここまでのものとはね。どこかで振ったことはある?…ないか。」
と、少し驚いていた。
その調子で特に苦戦なく、戦利品も宝箱も目立ってはないが、順調に進んだ。進んでいく道は、下層部の方へだ。進むに連れて明かりも減り、血の痕などが、増える一方、敵の数は無くなっていった。そしてたどり着いたのはひとつの大きな扉の前だった。
「ここが双角梟の住みかだよ。あいつには幻惑魔法が使えるの。それには今はお兄ちゃんは弱体化してるから気をつけて。」
心配そうに言う出雲だが、後ろにいた私が、反論した。
「なに言ってるの?しょうにぃは負けないよ?だって、私のお兄ちゃんだもん。」
そういうと、シャルも、同調するように、
「わ、私も翔さまは負けないと思います。根拠も何も無いですが、」
出雲は、ふふっ、と笑い
「お兄ちゃんは信用されてるね。じゃあ、私も信じる。そうだなぁ、ノーダメくらい、余裕かな?」
と、ふざけている風もなく真面目に言った。
「あぁ、そうだな。よし。行くか!」
そう言ってしょうにぃは扉を開けた。
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中は暗く、灯りも点々と、約十数個位しかない割に、中はとてつもなく広い。これが一室か。と、思うほどだ。部屋の素材は先程とは打って変わって、綺麗な石畳で出来ていた。
自分の背中にはカムイに作って貰った剣を携えその剣に手を添え一歩づつ進む。すると天井から気配を感じ、上を見ると何かが居た。それに気づくと、その何かは下へと降りてきた。その瞬間。回りの灯りも強くなりその全貌が露になった。
それは、鳥の嘴に、色彩は見事なまでの蒼色の鍬形虫の角。目は梟のような真ん丸の目、全体を見るととてもアンバランスな形。そして背中には鳥の羽毛、足は四足で、鉤爪の、言うなれば梟と鍬形虫の合成体のような姿だ。あれが、双角梟なのか。
「来たね。あいつは幻惑魔法以外に罠も使うかーー」
出雲の声は途中で聞こえなくなった。双角梟の声によって。
待っているのに飽きたのだろうか。こちらを見ていた瞳を大きく見開き、羽根を大きく広げ鳴いた。それと同時に辺りが暗くなっていく。灯りが消えたわけではない。後ろに居たハズの雫、出雲、シャルは消えていた。何が起こったのかは、すぐさま理解した。幻惑魔法を掛けられたのだ。幻惑魔法と言う名前にしては随分ちゃっちいが、音さえ聞き分ければいい。
目を閉じ視覚を無くし、聴覚に頼る。何か見つけろ。羽ばたく音、足音、何か、何か無いか。
その時、丁度、真上から羽ばたく音がした。剣を構え、その音に向かって切りつける
「せいや!」
キュルアアアア
双角梟の鳴き声と同時に、視界が回復する。剣は胸部の中心を刺していた。手の中には幾つのも素材があった。
「お疲れ、しょうにぃ。えーっと、タイムは三十秒もう少し行けるかな。」
結構、辛辣な事を言う妹だ。
「お疲れ。やっぱりノーダメいけるね。おっ、うん。じゃあ預かっておくね。」
ニコッ、と笑う出雲に素材を渡し、雫のほうへ顔を向けた。
「ここまで出来るんだな。この世界。この剣だけで、どんなモンスターも倒せると思うか?」
それを聞いた雫は、うん!と、言った。
「そうだ。お兄ちゃん、刀剣技を使ってみたら?」
出雲からの提案である刀剣技ってなんだ?
「あぁ、そうか。刀剣技術って言うのは。ちょっと剣貸して」
出雲は剣を受けとると、剣を持っている手を手前に引き、軽く腰を落として、持っていない方の手を前に軽く出し、ハッ!と言う掛け声と共に剣を持つ手を前に突き出す。すると、剣を青い光が包む。そのまま奥まで突き出すと、その衝撃で風圧ができ、目の前の岩が粉々になった。
「ふぅ、こんな感じ。今のは上級刀剣高度技術の風神、お兄ちゃんだったら、このくらい行けるかな。やってみて。」
剣を渡され、言われた通り、見よう見まねでやる。 剣を持っている手を手前に引き、軽く腰を落として、持っていない方の手を前に軽く出し、ハッ!と言う掛け声と共に剣を持つ手を前に突き出す。すると、剣を青い光が包む。そのまま奥まで突き出すと、剣から風圧が生まれた。すると、その風圧がこの部屋の壁を十メートル程削った。
「す、凄いよ。風神でここまでの威力が出るなんて。」
と、感嘆を漏らしていた。
「そろそろ戻りますよ。」
と、シャルが、言う。もっと奥までいきたいが、確かに、身の安全のため、ここらで引き上げておいた方がいい。
ドッカーン!!!
上から爆発音が聞こえたのはそんな時だった。急いで上がると、上では悪魔が待っていた。