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淫魔の脅威

意識が覚醒し、朝の日差しが目に入ってきた。

─やはり、夢ではないのか…

すると、雫と逆の方がなにか、ごそごそと動いていた。捲ってみると着物を着た幼女だった。その幼女の髪は鮮やかな銀髪で、狐の耳を模したものがついていた。と、その時に、幼女が目を覚ました。

「うーん。おはよう~」

どうすればいいものか困った顔をしていると

「んー?どうしたの?」

眠そうに目を擦りながら首を傾げる

「お、お前は一体誰だ?」

それを聞き、あぁ、と、正座に成り話した

「私はね、狐の妖怪、出雲って言うの。おにぃちゃん達のことをよーく知っているんだよー。」

何故、素性を知っているんだ?とか、何故、今なんだ?聞きたいことは山積みだが、まずは、雫を起こさないと、

「しーずーくー起きろー」

それを聞いた雫が目をパッチリと開けた。そして、出雲を見て口をポカンと開け数秒放心常態になった後、口を動かした

「しょ、しょうにぃ、まさか、とうとう幼女に手を出したの?私と言うロリ兼妹が居ると言うのに。なんと言うロリコンだ…」

「んなわけねーよ」

ま、いいか。と、雫が話を切り上げ、ところで。と、繋げた。

「今、思いついたんだけど」

いつものように楽しそうに話し始めた

「魔法が使いたい」

それを聞いた出雲が尻尾を振り、俺の膝の上にすうっと自然に乗り、

「それなら、魔法、教えますけど?タダで」

と、雫に話し掛けた。其れに反応している雫も膝の上だ。

「おぉ!マジすか!」

しかし、盛り上がってるのはいいのだが…

「とりあえず膝から降りようか。」

それを聞いて、二人が目を会わせて同時に返事をした

「うん!!」



外に出ると、やはり今日も今日とて、賑わっていた。宿屋で地図を貰って、此処が何処なのかが、ようやくわかった。この街は「アルゲイラス」と言って、この大陸一、大きな街らしい。

「いずもぉぉぉぉぉ。どうしたら魔法使えるのぉぉぉぉぉぉぉぉ」

という風に、雫は先程から、前を歩く出雲にずっとそう繰り返し、ねだっている。

「…あぁ、もう!わかった、わかった。だからそれやめて!」

「よっしゃあぁぁ」

今朝出会ったばかりの、この二人は楽しそうにしている、がしかし、俺の背中にはずっしりと重いものが、のし掛かっていた。

「流石に荷物全て俺に持たせるのは無いだろ」

話を遮るように言葉を挟んだ。すると、

「あはは。それくらい、兄としてはねぇ?」

と言う風に流されてしまった。しかしまぁ、こんな大型のリュックをどこから持って来たんだよ。

そんな会話も、すぐに消し飛ばされた。

落ちてきた奴によって

其は人型であるがその肩甲骨付近からは黒色の小さな羽が生え、頭には小さな角が二本、生えていた。服の布地は少なく、髪は鮮やかだ、とも言い難い、しかし、とても綺麗な乳白色だった。

その時、出雲が顔色を変えて其に喋りかけた。その口調は今までの軽率な口調ではなく、とても緊張の走った声色

「貴様、[サキュバス]だな?」

出雲が言った[サキュバス]は淫魔と言う名前の所謂所の悪魔であった。

「うふふ。そこにいるお兄さん、あなたからいい匂いがする。私と来ない?」

出雲の言葉を無視し俺のことを誘い出した。

「はぁ、君と行った所で何になる」

更に近づいてきて

「イイコトしてあげるだから…」

「はあ、断るといっているだろ?」

そう答えることにより雫が、喜ぶなら本望だ。

「ふぅ~んその雫って奴の、なにがいいのかねぇ?」

と、睨み付ける先には俺の後ろに居る雫だ。多分心が読めるかなにかだろう

「この糞餓鬼さえ居なけりゃ貴方は私のモノなの♡だからてめぇみたいな糞餓鬼は私のために死ね!」

雫の方へ走りだそうとしたサキュバスに対して頭に来た。堪えていたがもう、限界だ。

淫魔(サキュバス)、貴様は俺の大事な妹を侮辱(ぶじょく)した。それは、俺を侮辱(ぶじょく)したのと同じことだ。」


ーこれは自分の意思では無いと思う、否、ある意味では俺の意思かも知れないー


俺はいつの間にか拳がサキュバスの左頬を捉えていた。

サキュバスはそのまま回転しながら建物の壁に叩きつけられていた。

「しょう、にぃ。だいじょうぶ?」

心配そうに後ろから雫が覗く

「あぁ大丈夫だ」

兄として心配は掛けるべきではない

「く…くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

そう言ったかと思うと既に後ろに居た。そして、淫魔(サキュバス)に攻撃をされたかと思われた、が、その瞬間に淫魔(サキュバス)の体は跳ね返されていた。顔を青ざめさせた淫魔(サキュバス)は、

「なん、だと?打撃反射(バリア)固有能力(アビリィティ)だと?馬鹿な攻撃反射(バリア)を使えるものは後にも先にもあの英雄(ガナー)だけの筈じゃ…ちっ、これでは、こちらが殺られてしまう。逃げるしかないか。じゃあね。また近いうちに。殺しに来る」

そう言い、淫魔(サキュバス)は瞬きをする間も無く姿を眩ませていた。

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