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スライム狩り

そして黒一色になった世界に再び色が戻ったときには、先程いた家とは違う場所にいた。そこは大きな草原だった。それだけ見れば俺達の世界と何ら変わりはないが、目の前に居たのは、


プルプルとしていてコロコロと移動する蒼色(あおいろ)の物体だった

「[スライム]…」


そう、口に出してしまったのは雫か俺かはわからない。しかし、次に声を出したのは確かに、俺ではなかった。


「ほ、本物だ…本物の[スライム]だ!しょうにぃ!しょうにぃ!早速(たたか)おうよ!」


雫のテンションが異常だったが、当たり前だ。今までは画面越しにしかいなかった生物が、目の前にいるのだから。ゲーマーとしては興奮せざるを得ない。


実際、俺も少々興奮気味であることも確かだ。


しかし、[スライム]と、言ってもここはゲームの中ではないし強さがどの程度かわからない。ここは避けるべきか…


ドゴッ


「いよっしゃー!倒したったー!」


そこには拳を突き上げる雫と潰れて白くなり、光の欠片のようになり粉砕(ふんさい)するスライムの姿があった。


その光の欠片が、消えると同時に小さな布袋と小瓶に詰まった青い液体が雫の手に収まった。布袋の中身はどうやら金貨のようで、合わせて50枚あった。


「はぁ、雫。危ないから何もわからないのに戦闘を仕掛けるのはやめなよ。」


それを聞き、しょぼんとして、


「はーい」


と、返事をした。


「まぁ、今みたいな[スライム]だったらやっててもいいよ」


と、その瞬間、物凄い勢いで飛び出していった。と、思ったすぐ後に、戻ってきた。その手には先ほどと同じ小瓶と金貨の入った布袋(ぬのぶくろ)を大量に手にしていた。


「狩ってきた!」


笑顔で言う雫、しかし、


「速過ぎだろうが、それは、まぁ、お前だったらやりそうだけどさ流石に…と言うかお前、全部素手でやったか?」


と聞くと雫は首を横に振り、


「ううん。台座に突き刺さってた剣があったからパクった」


…………


「え?それってまさかとは思うけど…」


つい声が出てしまう。


「うん。抜けなかったら止めようと思ってたけど抜けちゃったから仕方ないよ」


「は、はぁ。仕方ないってお前、もう言葉がでねえよ」


本気か…。見てない内に伝説の剣(仮)を抜いて大量のスライムを一瞬で倒して来るとか。


と、そんなことを考えていると、雫は唐突に不敵(ふてき)な笑みを浮かべ


「只今よりスライムを一時間でどこまで倒せるか選手権を開催したいと思います!」


と、叫んだ。勿論俺と雫がやるのだろう。


「雫、やらないぞ?誰得(だれとく)だよ。そんなこと。」


と、言ったところでへこたれる妹ではないのは、わかっていた。


「にぃ。これはレベリングも兼ねてるんだよ。いい?ここでレベルを上げていかないとこれからもっと強い奴と戦うかもだからね?それに、戦闘の感覚もね?」


確かに、今回は、雫の言う通りだ。この世界、異世界で生きていく為には、この世界の流れに逆らわないように生きる


「そうだな。わかった。で、ルールは?」


待っていましたと、ばかりに説明を始めた。


「ルール()の1

攻撃手段は素手のみ。そこら辺の枝って武器にはいるかな?まぁ、うん。無しかな?じゃあ、

ルール其の2

この真上にある太陽があの山に差し掛かったら終わり。その時に合図出すからさ。

ルール其の3

討伐数はスライム瓶の数で数える。スライム一匹に対して一個出るからね。以上。なにかある?……ないね。じゃあ前置きはこの辺にして始めるよ?」


すらすらと今考えたであろう内容を言い終わるとすぐに


「いくよ!スタート!!」


と、その掛け声と同時に走り出した。


気付けば辺りにはかなりの数のスライムがPOPしていた。


────1時間後……


「はぁ、はぁ、はぁ、や、やるじゃんしょうにぃ。」


息を切らして手を両膝につき、笑っている妹


「ははっ。そんなので息切らしてるのか。まだまだだな。ほら数えるぞ。」


と、手の中からいくつもの小瓶を出した。


「俺は158体だ。雫は?」


と、言うと雫はむっとした様に


「…132体…あーもー。やめた。疲れたし、そろそろ街かなんか行こおぶってー」


と、ペタンと座り込んでしまった。確かに疲れただろうし

「だけど何処にあるんだ?」


背におぶられてる雫が北を指差し


「向こうに街があったよ。でっかいのが」


と、手で大きさを表す。


「そうなのか。じゃあ行ってみるか」

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