プロローグ
魔法使いの僕は悲しかった。
とても悲しい。
なぜなら好きだった彼女が死んでしまったから。
彼女のことが好きだ。
僕が愛していた彼女。
大好きだった。
どうして僕を置いてよりにもよって天国に行ってしまったのか。
僕は悲しい。
彼女には死んだ理由があるのだ。
それは悲しい理由。
物静かだけどどこか魅力を持った彼女と過ごした日々。
僕はずっと好きで彼女を追い続けて、そして最後に死んでしまうのだ。
そんな話は追いておいて僕がこれを書かなきゃいけないのは、というかこれを書く理由は、ただ僕の好きな彼女に読んでもらうためだ。
この話は死んだ彼女と僕の非日常の回想に過ぎない。
色白で黒髪で胸が大きくて少し背が高くて細身で、そんな彼女のことが好きで、いつの間にか愛してしまっていて、僕はただ彼女のことだけを思っていたのだ。
彼女の名前は玲奈と言った。
「ねえ、聴いてる?」
彼女が僕に言った言葉を思い出す。
「何?」
僕はその時返事をした。君のことをずっと思っていたのを君は気づいていたのかな。
愛していたからこそ僕は君が天国へ行くのを許してしまった。
僕らは結局一つになれなかったんだとその時僕は思い続けた。
彼女が死んだのには理由があった。
それは本当に悲しくて許しがたい理由だった。
吸血鬼がこの世界には住んでいる。
そして彼女は吸血鬼の犠牲者となった。
僕は今ただ死んだ彼女のことばかりを考えて生きている。