碧天高校の状況と碧天のメジャー・マイナーな部について。
大陰影帝国西側に在る有名高等学校、その名も碧天高校。碧天はあらゆるジャンルのプロを輩出する学校。学校と呼ばれているが職業能力開発機関というのが周りの評価。授業はおまけ。建前上、授業を行っているがその実、生徒たちは席に座って自分の専門分野について研究している。
国にも学校と呼ぶからには定めた規律が存在する。
だが規律というものが曖昧で緩い時代だった。
その偏った校風に異議を申し立てる者、又、逃げ出そうとする生徒もいる。
しかし学校は閉鎖的で敷地の周りは先ず有刺鉄線が張り巡らされており、その奥にはエリート部隊に所属した元軍人が人間を一瞬で気絶させるスタンガンとゴム弾を発射する模擬銃を所持して生徒が逃げ出さないように24時間巡回し、その奥は5メートルの高い塀で外部との接触と外部の者が中を見ることを物質的に遮断している。
学校というか巨大な牢獄、刑務所に近い。スタンガン持った警備員。取り押さえるのではなく、倒しにきてる。
学校の敷地はとても広い。屋内屋外合わせてグラウンドは20後半ある。
お金がかかる。普通の学校ではありえない。
碧天高校に存在する部活は60以上で皆、将来その職種で生きていくのに一生懸命なのでその気持ちを経営側は汲んでいる。
これは碧天が特別なのであって他の学校は普通だ。部活数が10くらいで顧問も一度も来ない部もあれば3年最後の公式戦前日にテニス部はバスケしてる高校もある。
やる気はない。プライドもない。見方を変えれば青春。
梅雨時ではないのに梅雨時のような陰鬱さが漂っている学校も存在する。碧天高校には60も部活動があればマイナーな部も多い。
たとえば、坐禅部。坐禅をして心の調子を整えたい、という家庭や勉強や友達との関係など悩む生徒が入部する。
これだけ裕福な学校の生徒でも悩みは尽きない。スポーツ選手が丸刈りにする感覚でインドア派の生徒たちが坐禅する。
隣接する、といっても徒歩では遠いが山がある。そこには天然の滝が出来ており、体育会系の部活を行う部員たちも年明け最初は滝に打たれるが坐禅部は月に数回、不定期で滝に打たれている。
滝に打たれても解決しない。それでも滝に打たれるために遠い山まで移動し、山を登り、滝に打たれて帰る。悩みを解決したいというハングリー精神があるのは分かる。
そのほか、ヨガ部やアイドル研究会なども存在し、アイドル研究会に至ってはただアイドルの情報を記録するという日記を書くことと意味合いがほぼ同じである行動が活動と呼ばれ、その集団によって会が成立している。
他所でもマニアの会はある。だが部員数はそんなに居ない。
碧天のアイドル研究会、部員数は50人以上。
比較すれば圧倒的。これだけの人数が居れば中小企業と呼んで良い。
そう言うなら碧天の部活動60の内のほとんどが中規模団体になる。メジャーな部活になれば100人200人になる。
マイナーな部なら部員数が5人のところもある。5人は5人で自由。仲が良くなれる。1つになれる。それはそれで楽しい。ただ、マイナーというだけで他の生徒の目を恐れだす生徒もいた。
碧天にはけん玉部が存在する。見た目が地味という理由でマイナーに見られがちだがけん玉のけんの重量・玉の重量と大きさ、玉とけんを繋ぐ紐の長さまでイメージを高めるために数字で把握している者もいる。それにけん玉というスポーツが他のスポーツと決定的に違うのは動さの種類の少なさ。体育会系なら筋トレやランニングや実践練習など色々出来るがけん玉はただただ、カツカツし続ける。常人には出来ない。マイナーと一蹴するのは善くない。
そんな感じに、碧天高校2年1組の平原全世界は思っていた。マイナーと呼ばれビクビクする他人が可哀そうだと平原全世界は思っていたから。「わーわーわーわー」「ありがとうビッグ平原!」「サンクスワールド!」彼のスピーチに拍手喝采。そんな夢をニヤけながらベッドの上で彼は見ていた。