登場兵器の解説 Ⅰ
これはタイトル通りの解説であり、物語の本筋とはあまり関係のない設定をさらすものです。反応を見つつ、各章の最後に挿入していく予定です。中には現実離れした設定もあるとは思いますが、平にご容赦を。
暴徒鎮圧用特殊装甲車『洗浄車』
正式な名称は「PS-AC30」(※1)
魔法の普及前に設計された警察用車両。暴徒鎮圧用に組織された部隊への配備を想定している。砲塔のノズルからは高圧の液体を噴射でき、水、液体催涙ガスの他に可燃性オイルを用いた火炎放射も可能。しかし火炎放射時に内部が非常に熱くなるという欠点(※2)があり、実際に使用されたのは前二者だった。内部に運転手、助手席を除いた四人まで載せることができ、後方のドアから出入りさせる。運転手は上部ハッチから出入りする。また、運転や放水などの操作はすべて一人でもできる(※3)ように設計されている。
防御面はそれほど頑丈なわけではなく、暴徒が主に用いると思われる火炎瓶やレンガ、コンクリートブロック、角材、ロケット花火、拳銃弾などの攻撃に対しての防御性能を持つのみである。即ち、突撃銃以上の武装をした敵を想定しておらず、仮に敵がそのような武装をしていると発覚した場合撤退するのが正解である。タイヤも同様である。
また側面の死角が広く、随伴する人員がいない場合その隙をつかれてしまう可能性がある、なお、敵がよじ登ってくる場合はノズルから出る水で撃退できる。しかし爆弾などを仕掛けられると大変なことになる。その場合は、そのようなことにならないように努力するしかなかったとあきらめることである。ただ、仮想敵が暴徒程度であるために、そのような状況に陥る可能性は薄いと思われる。
トゥ・ドゥ
極めて一般的なポンプ式ショットガン。装弾数は4発。魔法の採用前は主に世界中の警察組織にこの銃か、そのコピー品が採用されていた。
一般的な弾の他に硬質ゴムでできた鎮圧用の弾が装填できたために用途はもっぱら暴徒の鎮圧と木製のドアなどの破壊(※4)だった。
見た目通りの頑丈な作りにより、規格外の弾でも銃口を通るのであれば一応発射できる。しかしその場合に生じうる問題は未知(※5)であり、あまり好ましくない使い方とされる。
働きバチ
正式名称は「三八式鎮圧弾」。警察に採用されていた。標的に当たるとその圧力で放電装置が作動し、痛みによるダメージではなく神経撹乱による動作の封印を目的とした電流が流れる。名前の通り、パトロール中の現行犯を逮捕する場面や暴徒鎮圧作戦での活躍が期待された。
しかし専用の銃『ハニー・スティング』でしか撃てなかったこと、撹乱電流の効果が狭いこと、弾単価が高いこと、心臓付近に命中すると殺してしまう危険性があることなどから採用数は年々減り続け、晩年には闇市場に流れて不健全な市民(※6)のおもちゃとなっていた。
(※1)識別記号の意味
PS→ Police-Special 警察特殊部隊用。一般の警察用だとPだけになる。
AC→ Anti-Citizen 対市民用。
30→ XX30年に最初の一台を完成させたという意味。30式。
(※2)火炎放射機能の実装を迫られたものの過剰武装であると考えて、あえて使い物にならないようにしたと設計者が証言している。
(※3)当初の設計ではハンドルや各種レバーの代わりにゲームパッドのようなものを採用する予定だったが、細かい入力に対処しにくいという理由で却下された。
(※4)ドアの破壊に用いる場合は専用のアタッチメントを銃口に装着し、跳弾を防ぐことが推奨される。
(※5)暴発、内部構造の変形などの問題が報告されている。
(※6)一応護身用にと正規の手続きを経て買う市民もいることにはいたが、やはり値が張ったためにその数は少なかった。