寒い夜の日の恩返し
「はぁー... 。」
白くなっている息の前で、冷えきってしまっている手をあたためている。コートを着てマフラーを巻いているが、今日は手袋を忘たため、いつもよりも大分寒い学校の帰り道。そんななか。
「にゃー」
段ボールにはいった猫が鳴いているのが目にとまった。しかし、家に連れて帰るわけにもいかない。これからあるバイトに遅れてしまう。しかしかわいい黄緑の目をした猫をよくよく見ると、寒さで凍えてしまっている。私は仕方なく、自分に巻いてあるマフラーを、猫にかけて、足早にその場を離れた。
バイトも終わり、時刻は22時半。そこから駆け足で道を駆け抜けていった。 向かった先は病院。三階の、301号室には、一人の名前があった。いまだに横たわっている、自分より小さい少年を見て、少女は、涙を流した。
「ゴメンね。ごめん... 。後ちょっとだから。それまで待っててね。」
一人悲しく泣いていると、窓からひかりが入ってきた。顔をあげると、そこには、先ほどの猫がいた。
『ありがとう。お姉さんのマフラーとっても、とってもあったかかったよ。これは、僕からの恩返しだよ。それじゃあ、さようなら』
キラキラと光、猫はいなくなってしまった。その直後。
「ぅ、う... ん?」
先ほどまで横たわっていた少年が目を覚ました。その後少女は、大泣きしながら喜んだそうだ。
その三年後、少年と少女のこたつのなかでは、黄緑の目をした猫が丸まって寝ているそうだ。