前編
「見よ、勇者よ。なかなか異世界で人として紛れ込むのも楽しい物だなぁ…」
と人忌み嫌われる魔王サタンは好奇心に顔を紅潮させて人間の町に紛れていた。それを。
「へいへいへい…。それはよかったなぁ」と渋い顔の勇者。
何で倒す相手であるお前と仲よく街を出歩かなければいけないのか?
遠い目をしながら勇者はとぼとぼ歩いていた。
・・・そもそもの始まりはいつものごとく、「魔王サタン!今日こそお前を倒してやる!」
と乗り込んだのがきっかけであった。ただいつもの玉座の間ではなく、色彩鮮やかな渦巻いた
足場の悪い空間であった。たまたま奴の気が一番感じるところへ乗り込んでいっただけなのだが…。
サタンは何やら時空をいじっているようで渦巻いていてぶよぶよとした壁に手を突っ込んでいた。、
「よくここまで来れたなぁ…、伊達に勇者ではないってわけか。感心感心。悪いが今日は帰ってくれ。
こっちは今お取り込み中だ」と首だけ勇者に向けて振ることで追っ払おうとする。
そもそもサタンは今時空に気を取られていて外部への警戒心がすこしばかり緩んでいて、
城のバリアが緩んでいたことも勇者が乗り込めた理由である。
だが、相変わらずのマイペースな自己勝手さにキレてしまい、勇者は前に踏み出した
「勿論、お前を倒してからいつでも帰ってやる!」
と一歩出た途端、サタンは「まずい!ちょっと…」と思わず顔をしかめて止めようとするが遅かった。
ぐにゃり…
なんと二人がいる空間がよじれ渦を巻き始めたのではないか?そして魔王と勇者は弧を描くように回り始め中心に向かっていた。
「何だ!これは…?」と目を回しつつ勇者は驚く。
「ここは次元の狭間だ。最近、時空の様子がおかしくてな…。それで私はどうしたものだが調べていたんだ。…ったくまさかへボ勇者がここまで来るとはな。ちょっと見くびっていたか」
対照的に落ち着き払って仇敵(彼にとって何のその、ただいじりがいのある知人でしかないだろうが)を褒める。「そんな悠長に構えている奴あるかたわけ!」「まぁ…何とかなるだろうから、落ち着いて身を任せろ。このまま無闇に暴れては却ってまずいことが起きるかもしれん!」
すっともんだしながら渦に吸い込まれていった。
さて、どうなることやら?
二人は異世界のとある人間の町にいた。サタン曰く、異次元にのりこまれたとのこと。
時空が安定するまでひとまず帰れないとのことであった。
とは言ってもいつ落ち着くかわからない時空を待って悠長に待てない。
そこで2人は異世界訪問に乗り出した!
勇者は帰れる方法が奴しか分からないため張り付いていることしか出来ず嫌々向かうことになった。
今回はここまで




