表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

四季の恋シリーズ

夏の恋

作者: 尖角
掲載日:2011/06/04

「春の恋」に引き続き、今度は「夏の恋」です。

まだ、春の方を読んでない方がいましたら、どうぞそちらの方もよろしくお願いします。

 「いったぁ~」


 「誰よ!!ちゃんと前向いてなさいよね!!」


 私は自分の行いをを棚に上げながら、ぶつかってきた子に文句を言った。


 そう…。


 私は前を向いていなかったのに、前を向きなさいよねっと人に注意したのである。






 そのことを突っ込まれるかと思った。


 しかし、ぶつかってきた子はそんなことを一言も口にしなかった。


 「ごめん」


 「下を向いて走っていたから…」


 「本当にごめん」


 私はその言葉を聞いて「わかればよろしい!」っと調子に乗った。


 「あの…同じ学校の人だよね?」っとぶつかってきた子が言う。


 見た感じだと、同じ学校の野球部の子。


 その子はぶつかったことを「先生には言わないで」と口にした。


 『野球部の顧問ってそんなに怖い人だっけ?』


 私は少し不思議に思ったが、先生情報なんて詳しく知らないので、考えるのをやめにした。


 しかしである。


 ぶつかってきたことを先生に言って何の得が私にはあるのだろうか?


 私にはわからなかった。


 だから「言わないでおくよ」っと口にしておいた。











 次の日である。


 私は意外なことを知った。


 ぶつかってきた子はなんと同じクラス。


 私は元来(がんらい)、人の名前と顔が覚わらない体質なのである。


 だから仕方あるまい。


 まだ春に出会ったばかりで、季節は一つしか過ぎていないのだから…。






 そんなことはさておき、


 「あの…」


 「昨日のことなんだけど…」


 っとぶつかってきた子が話しかけてきた。


 だから私は『どんだけ気になるんだよ!!』っと私は心の中で軽く突っ込み、「どうした?」っと言葉を発した。


 すると、「岩坂(いわさか)さん…」「言ってませんよね??」っと言う野球少年。


 ここで、私は野球少年に回りくどい言い方をする。


 それには、理由がある…。


 それはズバリ!いまだに名前がわからないから!!


 仕方ないことなのである。


 だって同じクラスというのは顔をクラスで見かけたからわかっただけで、名前なんて聞いてもいないんだから知るわけがない。


 だから私は言った。


 「あなた私の名前(フルネーム)知ってる?」っと…。


 はたして野球少年は「はい」というだろうか?


 少し意地悪な質問だっただろうか?


 かわいそうだっただろうか?


 しかし、彼はそんな私の気持ちを差し置いて言った。


 「わかります」


 「岩坂嗄江(いわさかさおり)さんですよね?」っと…。


 『こいつストーカーか!!』


 私はそう思った。


 じゃなかったらわかるだろうか?


 わかるわけがない。私がわからないのだから…。


 私はそう思った。


 『私がわからないことは皆わからない』


 それが私の考えだった。


 別に(かしこ)くもなんともないのに…。






 そんなことを思いながら「さては君は変態という類の人間かい?」っと私は聞いた。


 「ふぁい?」


 彼は奇妙な声を上げた。


 そりゃあそうである。


 彼はもっともなことを言ったのである。


 意味がわからないことを聞かれて素直に「はい?」と聞ける人間がいるだろうか?


 ほとんどの人は素っ頓狂な声を上げるに違いない。


だから私は言葉をつぎ足した。


 「あぁ、ストーカーか私のことが好きなのかい?っと言いたかったのだよ…」っと…。


 「ふぁい?」


 再び素っ頓狂な声を上げる野球少年。


 まぁ当たり前か…。


 私は少し(あき)きれながら口にした。


 「私は君の名前を知らない」


 「教えてくれるかい?」っと…。


 すると、いかにも野球部らしい元気な声で答えた。


「はい!」「僕の名前は小淵尚填(こぶちひさみ)です!」っと…。


 私はため息をついた。


 なんだか“野球部”というテンションについていけない…。そう思ったからである。


 そして小淵君は私のため息を聞いて言った。


 「一応把握しているつもりです…」


 「クラス全員の名前は…」


 「だから、ストーカーなどではありません!!」っと…。


 それを聞いた私は「クククッ」と思わず笑ってしまった。


 だって、可笑(おか)しくて仕方がない。


 否定のタイミングといい、テンションの変わりようといい、私は“小淵”というものが可笑しくて仕方がなかった。


 ここからである。


 私が“小淵尚填”という人間に興味を持ったのは…。











 ある日の晩。


 私たちは2人で食事をした。


 その日はとても暑かった。


 実に暑かった…。


 その日、私が食べたのはミラノ風リゾット。


 彼が食べたのは、プッタネスカという謎のパスタだった。


 私たちは静かに食事をする。


 まるでお互いの食事姿を監視するかのように…。






 その日はただ帰っただけだった。


 食事の後、何もすることはなかった。


 ただ私は一言言ったが…。


 「君のことが気になって仕方がない」


 「夏の火照りから来るものかはわからないけれど、君を見ていると胸のあたりがグッと苦しくなるんだ…」


 「私と付き合ってくれないか?」


 「それとも私じゃダメかい?」「こんな私じゃ…」っと…。


 「えっ?」


 彼は少しの驚きを見せた。


 そして「もしろんOKだよ!」


 「僕も君のことが好きだからね!」っと言った。






 私たちは真夏の星空のもと結ばれた。


 それが“幸”か“不幸”かはわからない。


 しかし、これから2人で歩んでいくことは決まった。


 だから、《幸せ》というものを2人で探していきたいと思う。

夏はいかがだったでしょうか?

次は「秋の恋」ですね…。

そのうち上がるので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ