08
彼女は僕の方を見て、口を開く。
「一部屋でいいよね?」
彼女の言葉に、僕の頭は、真っ白になった
彼女の声から、悪意は感じられない。
僕は、心の中で、静かに焦り出す。
ーーいいわけがない。
一部屋、つまり、一緒の部屋で寝るということだ。
そんなの、絶対に無理だ。
彼女には慣れた。
しかし、一緒に寝るというのは、話は別だ。
僕が、ほかの人と一緒に、寝られるわけがない。
そもそも、彼女は女の子だ。
見た目的に、僕より若いだろう。
もし一緒に寝てしまえば、僕は捕まるだろう。
そんなこと、絶対嫌だ。
そんなことを考えていると、彼女は女性に、口を開く。
「連れも、大丈夫みたいです」
受付の女性は、彼女に紙を渡す。
彼女は紙を受け取り、ゆっくり書いていく。
ーー終わった。
今から止めに行くべきだろうか?
だが、そんなことが出来ていたら、こんなことになっていない。
僕はゆっくり息を吸い、覚悟を決める。
「こうなったのは、自業自得だ」
そう言い聞かせ、扉の近くのイスに腰をおろし、彼女を待つ。
ーーお待たせ。
その一言に、僕の体はビクッとなる
。
彼女は、ゆっくりと近づいて、隣の椅子に座り込む。
「準備が出来たら、呼んでくれるって」
そう言うと、彼女はぐぐっと、背を伸ばす。
今すぐ、もう一部屋用意してもらおう。
しかし、そんなことを言えるはずはなかった。
やはり、人と話すのは、まだ慣れない。
そんなことを思っていると、受付の女性が、近づいてくる。
ーー準備が終わりましたので、ご案内します。
僕の体はビクンと跳ねる。
その言葉を聞き、彼女は立ち上がる。
「行きましょ」
彼女はそういうと、受付の女性の後ろを歩く。
僕はゆっくりと息を吸い、立ち上がって、彼女達の後をついていった。
案内されるまま、階段をのぼり、二階へと上がっていく。
一階の、騒々しい空気が、遠くなっていく。
階段を登りきると、そこには一階とは違う、落ち着いた雰囲気が広がっている。
受付の女性は、迷いなく進み、部屋の前で立ち止まる。
「こちらのお部屋です」
ゆっくりと後をついていき、部屋の前で、彼女は鍵を受け取る。
「それでは、ごゆっくりお楽しみください」
受付の女性は頭を下げ、クスクスと笑い、階段を降りていく。
僕はその一言に、少しの怒りと、焦りが湧いた。
お楽しみください?
この状況から、今すぐにでも逃げ出したいのに、楽しめるわけがない。
そう思ってると、彼女は部屋の鍵を開けながら、口を開く。
「気にしなくていいわよ」
そう言うと彼女は、フッと笑い、部屋の中へ入っていく。
彼女は男と同じ部屋で平気なのだろうか?
平気じゃなければ、同じ部屋で泊まるという選択をしないだろう。
深く息を吸い、部屋の中へと入っていく。
部屋の中は、簡素な作りだった。
部屋の中心には小さな机とイスそして、クローゼットのようなものがあり、その隣には、大きな鏡もあった。
閉塞的な空間に、少しだけ、懐かしさを感じた。
そして、肝心のベッドは、一つしかなかった。
その事実に、僕は入口の前で固まっていた。
彼女はそっとベッドに座り、口を開く。
「床で寝るから、あなたはベッドでねていいわよ」
彼女の言葉に、思わず、手に力が入る。
彼女は女の子だ。
女の子に、あんなことを言わせて、男として最低だ。
そう思い、僕はゆっくりと、口を開く。
「ぼ、僕が、床で寝る…から」
彼女は一瞬、目を見開く。
おそらく、僕がこんなことを言うなんて、思ってなかったんだろう。
彼女はクスッと笑いながら、口を開く。
「じゃあ、ベッドで寝ようかな」
彼女はそう言うと、両手を広げながら、ベッドに横になった。
僕は、ゆっくりと歩いて、イスに腰をおろした。
今日は色んな事があったからなのか、僕は少し、うとうととしていた。
ふと、鏡に目をやる。
鏡に移された姿を見て、僕の頭は真っ白になった。
ーーえ……?
僕が異世界系でやりたかった展開①です。
手が動くまま書いてたら、めちゃくちゃ主人公の人間性全開になっちゃいました。
ちなみに僕ももしこんな状況になったらこうなります。
第9話の投稿は未定です。




