06
草木を踏む音が、やけに大きく聞こえる。
歩き始めてから、僕たちは何も話していない。
だが、僕から話しかけるなど、不可能に近い。
歩きながら、ふと、彼女の後ろ姿を見つめる。
ーー彼女も、なぜ、この森にいるのか。
彼女が言っていたあの言葉、この森は、一体なんなんだ?
やはり、この森は普通じゃないのか?
下を向き、考えていると、彼女は振り返って、話し出す。
ーーもうすぐ出られるわ。
その言葉に、思わず顔を上げ、鼓動が跳ねる。
あれだけ一人で、歩いていたのに、もう出口なのか?
彼女と歩いて、それほど時間も経っていない。
前方が、少しずつ明るくなる。
差し込む光が強くなり、僕は目を細めながら、ゆっくりと足を進めた。
ーー外だ……。
初めて、この世界を見る。
小さな町がいくつも並び、その奥には城のようなものもある。
アニメやマンガでしか見たことの無い景色が、今、目の前に広がっている。
その景色に、目を奪われていると、彼女が口を開く。
「初めて世界を見た。って反応するわね」
ハッとなり、彼女を見ると、クスッと笑っていた。
彼女は、僕の心が読めるのか?
図星をつかれ、少し戸惑う。
「そ、そんなわけ……」
焦った僕を見て、彼女は口に手を当てながら笑う。
「そう、初めてなわけないものね」
彼女はくるっと踵を返し、歩き出す
そして、振り返って、口を開いた。
「近くの町に行くから、ついてきて」
そう言うと、彼女は歩き出す。
彼女は、僕を知ってるのか?
それとも、たまたまなのか?
わからない、だが、彼女について行って悪いことは無いだろう。
そっと、彼女の後ろを歩き出す。
この世界に来て、初めて、まともな道を歩く。
見渡せば、田んぼや家があり、少し遠くに、街がある。
現代で言えば、田舎、と言うのか。
「少し遠いけど、頑張ってね」
彼女はふふっと笑い、僕の顔を見る。
僕はいつの間にか、彼女の隣を歩いていた。
ーー誰かの隣を歩くなんて、久しぶりだ
そんなことを思いながら、僕は頷く。
彼女は、悪い人じゃない。
だからなのか、隣にいても、怖くない。
「私の顔を見つめて、何かついてる?」
その言葉に、僕はハッとして、顔を逸らす。
無意識に、彼女を見つめていた。
その事に、鼓動が早くなる。
僕の焦る姿を見て、彼女はクスッと笑う。
「変な人ね」
クスッと笑う彼女。
僕は恥ずかしさでいっぱいになり、歩く足が早くなる。
ーーほんと、変な人。
※裏話
ほんとはガチガチの戦闘をする異世界系にしたかったんですが、書いていったら主人公の性格が思ってた方向とズレていって、戦闘に入るまでまだかかりそうです。
第6話は少し短めです。
第7話は今夜投稿します。




