01
ーーおい、いつになったら働く気だ。
ドアを乱暴に叩く、その言葉は聞きなれたものだった。
「そのうちバイトでも始めるよ」
暗い部屋にパソコンの明かりが顔を照らす。
ドンっと強くドアを叩かれる。
「何度同じことを言えば気が済む、この出来損ないが!!」
「出来損ない」その言葉にマウスを握る手が強くなる。
ーーじゃあなんで産んだんだよ
葉山響平。僕は高校の時、いじめを受けていた。
机に落書きされたり、水をかけられたり、殴られたり……。
そして、高二の夏、僕は心を病み、部屋に閉じこもるようになってしまった。
それから4年。
21になっても尚、外の世界へ出られずにいる。
働けなんて、自分がいちばんわかっている。
だが、またあの時みたいなことが起きたら…。
なんて考えると胸の奥が痛み、足が動かない。
「勝手にしろ」
父はそういうと、荒々しく足音を立て、去っていく。
「死にたい」
思わずつぶやく。
このまま、生きている意味なんてあるのだろうか。
涙が頬を伝う。
死んでしまえば、親にとやかく言われることも、悩むこともない。
ふと、パソコンに目をやる。そこにうつされているのは、僕が好きなファンタジーゲームだった。
異世界。
高校生の時から、マンガやアニメを見ていた。
いつか、異世界に転生できたら。
なんて、そんな事ばかり考えていた時期もあった。
しかし、現実はそんな簡単じゃない。
願って転生できるなら、きっと多くの人が転生を望むだろう。
…僕も、その1人なのだから。
「疲れた」
僕はそう言うと、ドサッと後ろに倒れる。
明日もきっと、同じことを言われるのだろうか。
そう思うと、心の奥が痛んだ。
「出来損ないなんて、そんなことわかってる」
エリート一家と呼ばれている我が家は、代々さまざまな成功を収めている。
それは、兄弟たちも例外ではなかった。
…僕を除いて。
体の力が抜け、意識が遠くなっていく。
時計を見ると、まだ21時。
いつもはこんな時間に眠たくならないのに、どうしたのか。
無意識なのか、体が大きく跳ねる。
不快な感覚が体を巡り、少し不安がよぎる。だが、今日は考えすぎて疲れたんだろう。
そう思うと僕は、体に身を任せ、静かに眠っていく。
「…明日は、バイトでも探そう」
力なく呟き、僕は眠りについた。
初小説投稿です。言葉が変だったり展開が変だったりするかもしれませんが、その時は教えてくれると助かります。




